Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【5月8日㈬~5月14日】
5月14日から第77回カンヌ国際映画祭が始まりました。4月の当通信で何度か触れた通り、私は今年は参加せず。会社を立ち上げたのが1989年10月で、翌年1990年の第43回(デイヴィッド・リンチ監督『ワイルド・アット・ハート』がパルムドールを受賞した年です)に初参加。2019年まで30年連続で参加していたのですが、2020年からは3年連続不参加(2020年はコロナ禍で映画祭自体が中止、2021年は7月に時期をズラしての開催、2022年は通常開催になったものの、ザジとして海外出張はまだ“様子見”でした)。そして去年の映画祭に4年ぶりに復帰しましたが、今年はStaff Oのみ単独参加で私は参加を見送ることにしました。
劇場配給作品のLINE UPが来年半ばまである程度固まっていることが、不参加を決めた一番大きな理由ですが、この歴史的な円安状況(会社設立して以来の最安値!)や航空運賃の高騰も、もちろん大きな理由。そして13年連続で定宿にしていた快適なアパートがコロナ禍の3年の間に借りれなくなり、去年初めて借りたアパートが快適とは言い難かった…、というのも、行くのがやんなっちゃった要因の一つ。潤沢な予算があったり、大きな出費を覚悟すれば、ロケーションが良くて快適なホテルやアパートは見つかるのでしょうが、限られた予算で探そうとすると当然制約が出てきます。リーズナブルな宿を欲するあまり、トラブルに巻き込まれてしまうこともあり…
単身参加のStaff Oから、カンヌ到着日の5月13日の夜、LINEが入ってきました。「無事カンヌに着いたのですが、予約していたアパートのオーナーから鍵をピックアップするために連絡してるんですが、何時間も携帯が繋がりません。騙されたかも…」。あちゃー。そこは某大手予約サイトで見つけた物件。会場までは徒歩15分以上かかりますが、相場に比べれば安め、ということで予約したのだそうですが、その“相場に比べれば安め“が一番ヤバいのが世の常。アパート詐欺、以前からカンヌ現地ではたまに耳にしていましたが、Staff Oが引っかかってしまうとは…。あ、でもStaff Oは、何年か前のAmerican Film Market参加のためのサンタモニカ出張の際も、ワン・ベッドルームのアパートを予約したはずが、到着して鍵を開けて中に入ると、既に先客のツーリストの若いカップルがリビングでくつろいでいた、というのを経験しています。実際の間取りはツー・ベッドルームで、いわゆるルームシェア型だったそう。でも今回は、鍵すら入手するまでに至りませんでした。
大手予約サイトを通して予約しているので、もちろん保障してもらうべくアクションをおこすことになりますが、そういうのも面倒ですよねぇ。そんな話をリアルタイムで聞くにつけ、あぁ、行かなくて良かった、と思ってしまう私です(笑)。Staff Oのその後ですが、幸いニースに入る同じ便に親しくさせて頂いている会社の方が同乗していて、その晩はとりあえずその方の滞在先のアパートのリビングに泊めてもらい、翌日新たなアパートをネットで探して予約、そこにはちゃんと入れたそうで、今頃はカンヌで平常運転で仕事に励んでいるはずです。良かった。
一方、東京に残っている私は何をしているのかというと、せっせとセールス会社からのDMをチェックしています。実際に現地に出向いている場合は、マーケット会場のブースを巡って、直接セールス担当者の話を聞いたり、その場でプロモを見せてもらえば良いので、会期中一日に何十通も受信するセールスメールにはほとんど目も通さないのですが、今回は一通一通じっくりチェックして、興味ある作品があれば、オンライン試写のリクエストメールを出したりしています。で、日がな一日PCに向かっているので、日のあるうちに着替えて、気分転換に駒沢公園に走りに行ったりも(トップに貼った画像は、ここに繋がります。笑)。
後は現地からの情報をマメにチェック。いつものように詳細な映画祭レポートを届けてくれる某Y氏のnoteは当然のこと、映画ジャーナリストさんたちが各ウェブメディアに届けてくれる日々のニュース、それに加えて同じジャーナリストさんたちが、観た映画の感想の自身の個人のXのアカウントにポストするのも要チェック(こっちは個人の立場なので本音が聞けて面白かったりします)、同業の配給会社の方たちのFacebookやインスタの投稿(こちらは、仕事の性格上、観た映画の話題には敢えて触れず、当たり障りのない食事ネタが多かったりします)などを見ながら、「あぁ、今日のカンヌは雨なのね」とか「こんな豪華なレストランディナー、一体いくらするんだろ?」などと彼の地に思いを馳せる10日間です。
今日は現地時間の午後、監督週間に出品されている『オオカミの家』のクリストバル・レオン&ホアキン・コシーニャ監督コンビによる新作『Los hiperbóreos(『THE HYPERBOREANS』)が公式上映されます。Staff Oが観て報告をくれる算段になっているのですが、どんな報告をくれるのか?ちょっとドキドキです。
最後に。5月3日㈮から絶賛上映中の『ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ』ですが、今週末17日より公開劇場が増えます。新たな上映館は、栃木 小山シネマロブレ、福島 まちポレいわき、名古屋 伏見ミリオン座、京都シネマ、福岡 KBCシネマ、鹿児島 天文館パラダイスの6館。お近くにお住まいの皆様、どうぞお越し下さい!
texte de daisuke SHIMURA