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デザイン思考がわからんので気が済むまで調べてみた

どうも、調べ物まとめに定評のあるざわほげです。今日は、「デザイン思考」をテーマに記事を書いてみることにします。いつもよりかなり長いのでお気をつけください。

動機「デザイン思考って何やねん」

私が現在勤めている会社では、「デザイン思考テスト」なるものを開催していたり、「デザイン思考」ができる人材を増やす活動をしていたりと、何かと「デザイン思考」という言葉を日々の業務で見ることが多いです。

しかし、私自身はあくまでプロダクトの設計・開発・運用をする一人のエンジニアであり、「デザイン思考」の専門家ではないため、これを十分に理解しているかと言われると怪しいところがあります。

だって、「デザイン思考」って漠然としててわかりにくいんですもの。「デザイン」ってボタンの配置とかそういうこと?みたいな気持ちになりますよね。

知らないままプロダクト作ってるのも良くないと考えて、私は「デザイン思考」について調べてまとめてみることにしました

この記事の狙いはこちらです。

・「デザイン思考」という一つの思考法について私なりの方法で調べたものをそのまま記事として残すことで、読者の方に私の理解を追体験してもらい「デザイン思考」の理解の手助けをする

英語版ウィキペディアを軸に調べる

わかりにくい概念を理解するときの私なりのベストプラクティスは、英語版ウィキペディアを読むことです。特に、デザイン思考のような英語圏から生まれた概念は、英語版記事の方が洗練された定義が書かれていることが多いです。ただ、ウィキペディア全般に言えることですが情報の鵜呑みはよくありません。あくまで、「言葉の定義」を調べる辞書的な使い方がおすすめです。

最近は、DeepL も組み合わせることで、質の高い日本語への翻訳も簡単に手に入れられるようになったので、日本語の記事に引用するハードルが低く抑えられるので助かっています。

「デザイン思考」とは何か?

さっそく、英語版ウィキペディアで Design thinking の記事を検索してみましょう。

デザイン思考とは、デザインコンセプト(新製品、建築物、機械などの提案)が開発される認知的、戦略的、実践的なプロセスを指します。

設計思考の主要な概念および側面の多くは、実験室および自然な文脈の両方の設計認知および設計活動の異なった設計領域を渡る研究によって、識別された。

出典:Design thinking(en.wikipedia.org) (DeepLで翻訳)

デザイン思考とは、「デザインコンセプト」が開発される「認知的」「戦略的」「実践的」プロセスを指す、とあります。

なんだか、盛りだくさんの定義ですね。ただ、私の直観は、デザイン思考よりも先に「デザインコンセプト」を理解すべきだと言っています。

次は「デザインコンセプトとは何か?」を見てみましょう。

「デザインコンセプト」とは何か?

What is a design concept? How to master it? に書かれている、「デザインコンセプト」の導入を参考にしてみます。

まず、理解しなければならないことがあります。「デザインコンセプト」とは何か?

文字通り、「抽象的なアイデア」という意味です。しかし、デザイナーにとっては、どのようにして「デザインを構想するか」というステップの大まかな傘のようなものです。それは、リサーチ、分析、エンドユーザーの徹底した理解を伴うものです。

出典:What is a design concept? How to master it?  を翻訳

出ました。

「デザインコンセプト」とは、「抽象的なアイデア」という意味です、とあります。ここまで漠然とした定義では何も理解できません。

下に「デザイナー」の例が書いてありますね。うーむ、デザイナーに限った話か・・・。あれれ?

ここまで調べてみると、なぜデザイン思考という概念を理解しづらいのかがわかってきました

デザイン思考がわかりにくい理由
→日本語と英語で意味が違う!

デザイン思考がわかりにくい最も大きな理由は、日本語の「デザイン」と英語の「design」の意味の違いにあります。そもそも、デザインとdesignで単語の持つイメージが違うのです。

例えば、先程出てきた「デザイナー」を例に取ってみましょう。まずは、日本語版ウィキペディアの「デザイナー」を引用してみます。

デザイナー(英: designer)は、視覚領域において意匠計画や図案、設計を手掛ける人のこと。日本で単に「デザイナー」という場合、主に視覚的な設計を行う人物を指すことが多い

出典:デザイナー(ja.wikipedia.org)

日本語が堪能なみなさんなら、同意してもらえることと思いますが、日本語で「デザイナー」と言うと、視覚的な設計を行う人物を指すことが多いです。例えば、広告のデザインを作ったり、Webページのいい感じのUIを作ったりする人のイメージです(日々お世話になっています)。

もちろん、いわゆる「デザイナー」の方々が視覚的な設計以外をしていない、というつもりは全くないです。むしろ、視覚的な設計をするために、もっと潜在的な課題を解くことを意識されている方もいるかも知れません。

ただ、日本語で「デザイン」と表現した時、それはあくまで 視覚的な設計 が中心になっているのです。

一方で、英語の designer を見てみましょう。

デザイナー(designer)とは、何かを作る前に、図面や計画書を作成して、その見た目や働きを計画する人のことです。

より正式には、デザイナーとは、「設計対象物の構造的性質を指定する」代理人のことである。実際には、有形・無形の物体、製品、プロセス、法律、ゲーム、グラフィック、サービス、体験などを作成する人をデザイナーと呼ぶ。

出典:Designer(en.wikipedia.org)

英語版designerとは、「設計対象物の構造的性質を指定する」代理人である、とあります。なんだかかっこいいですね。

また、英語版designerの意味の中には、有形・無形の物体、製品、プロセス、法律、ゲーム、グラフィック、サービス、体験などを作成する人 という意味もあります。

先程の日本語の「デザイナー」と比較すると、その対象範囲が大きく異なっていて、視覚的な設計を超えた大きな領域をカバーした言葉のようです。

私は、ここまで来てようやく、日英の「デザイン」という単語のイメージの違いが、「デザイン思考のわけわからなさ」に繋がってるのだと思い至りました。

英語版 "デザイン" のイメージを膨らませる

デザイン思考を理解するためには、「デザイン」という単語を英語圏の人が見た時、どのように感じるのかを知ることが大事だと私は考えました。

ということで、英語版ウィキペディアの Design のページを見てみましょう。

デザインとは、オブジェクトやシステムの構築、または活動やプロセスの実施のための計画や仕様、またはその計画や仕様の結果をプロトタイプ、製品、またはプロセスの形で表したものである。

designという動詞は、デザインを開発する過程を表現しています。

出典:Design(en.wikipedia.org) DeepLで翻訳

これでもちょっとわかりにくいので、ざっくりまとめてみます。

英語版「デザイン」 とは、ざっくりいうと計画や仕様のことです

どんな計画や仕様かというと、

・オブジェクトやシステムの構築するためのもの
・活動やプロセスを実施するためのもの

に分けられます。

ようするに、何か製品の仕様を作ったり、サービスを提供するためのシステム構築だけでなく、何か順序立てて活動を行うときの計画なんかも、ぜーんぶ「デザイン」に入っちゃうのです

日本語のデザインという単語からは想像できないレベルのはるかに幅広い範囲の概念が "design" なのです。

いや、この感覚がないと、「デザイン思考」って単語がわからんわけだわ・・・。

このまま「デザイン」について深堀りすると 一冊の本が書けそう ですが、さすがに長くなりそうなので、本題のデザイン思考に戻ります。

「デザインコンセプト」がわかってきた

改めて、デザイン思考の説明に出てきた「デザインコンセプト」に戻ってみましょう。先ほどとは違うサイトを引用します。

デザインコンセプトとは、デザインの背後にあるアイデアのことです。目の前にあるデザインの問題をどのように解決するかを計画することです

ウェブサイトをどのようにデザインするのか、その根底にある論理、思考、推論です。

あなたのコンセプトは、色やタイプの選択につながります。それはあなたの美学を選択し、あなたのグリッドを決定します。あなたが行うすべてのデザインの決定は、方向性のためにあなたのコンセプトに依存することになります。

出典:Thoughts on Developing A Design Concept を翻訳

先程までは、抽象的なアイデア?わからん!!ってプンスカしていましたが、「デザイン」の意味が分かってきた私にとって怖いものはありません。

まず「デザイン」を行いたい対象があります。この引用では、ウェブサイトが例としてあげられていますね。いい感じのサイトにしたいですねぇ!

さて、ユーザに喜んでもらうためにどういうデザインにすべきなのかというのが「デザインの問題」です。

そして、これを解決するための計画こそが「デザインコンセプト」です。

この「デザインコンセプト」は、例えば、ボタンの配置はこんな感じにすると見えやすいのかなーとか、こうした方がキレイだという美学かも知れません。

いずれにせよ、あなた自身が色々考えた末、「こうやったらええ感じのデザインになるやろ!」と考えたアイデアは、「デザインコンセプト」になります

そして、あなただけの「デザインコンセプト」を元に、あなただけの具体的な「デザイン」が生まれます。デザインコンセプトが異なれば、結果としての「デザイン」も変わってくるでしょう。

これが上記引用にある、デザインコンセプトはデザインの背後にあるアイデア という言葉の意味です。

はいはい、それで結局「デザイン思考」は?

デザイン思考とは、デザインコンセプト(新製品、建築物、機械などの提案)が開発される認知的、戦略的、実践的なプロセスを指します。

出典:Design thinking(en.wikipedia.org) (DeepLで翻訳)

ここまで読んでくださった方であれば、この文(の半分)が理解できることでしょう。

ようするに、デザイン思考とは、まず「解決すべきデザインの問題」があり、それを解くためのアイデアである「デザインコンセプト」を作り出すプロセスのことを言うのです

この「解決すべきデザインの問題」というのが曲者で、日本語のデザインの意味から考えると、表面上のUIの問題なのかな?と勘違いしてしまいかねません。実際には、この記事を通して説明しているように、日本語よりももっともっと広い意味での "design" を指すのだと認識していただきたいです

もちろん、上記の説明だけでは、「デザイン思考」の定義として十分でなく、具体的なプロセスの中身も込みで考える必要があります。

ただ、具体的なプロセスの中身に触れず、今回はこのくらいで終わっておこうと思います(疲れてきたし)

まとめ

「デザイン思考」を深堀りしていくと、そもそも英語の「デザイン」の意味が日本語のデザインと違うことがわかってきました。

日本語のデザインは、視覚的な設計を指すものである一方、英語の「デザイン」は、より広い計画や仕様の意味があって、これを混同していると、単語レベルで誤解したまま概念が理解出来なくなります。

デザイン とは、システムの構築や何か製作したりするときだけでなく、行うべき活動なども対象に含めた上で作成する計画や仕様のことです。

デザインコンセプト は、「デザイン」を作る上で出てくる問題を解くためのアイデアです。デザインが生まれる背景にあるもので、これを元に具体的なアイデアが生まれます。

デザイン思考 とは、「デザイン」の問題を解決するための「デザインコンセプト」を作り出すプロセスです

デザイン思考の具体的なプロセスである「共感」とかその辺の話は、また機会があれば記事にしてみようと思います。

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