同時実行制御とは?
今回は、同時実行制御について解説します。
同時実行制御とは?
同時実行制御とは、複数のプログラムや処理が同時に実行された場合に、それらが互いに干渉しあわないように管理する技術のことを指します。
目的
同時実行制御は、複数のプログラムが同時に実行された場合に、それらの処理が正しく行われるようにすることを目的としています。特に、共有リソースにアクセスする場合に、データの整合性を保ち、競合状態を回避することが重要です。
手法
同時実行制御には、様々な手法があります。代表的なものに、排他制御、セマフォ、モニタ、ロックなどがあります。これらの手法を利用して、共有リソースへのアクセスを制御し、複数のプログラムが同時に実行されても、データの整合性を保ちます。
以下、それぞれの手法についてくわしく解説します。
排他制御
排他制御は、あるプロセスが共有リソースを利用している間、他のプロセスがそのリソースにアクセスできないようにする手法です。排他制御には、ハードウェアによる手法とソフトウェアによる手法があります。ハードウェアによる手法は、ハードウェア的にロックをかけたり、クリティカルセクションにアクセスできるプロセスを1つに限定したりする手法です。一方、ソフトウェアによる手法は、プログラムによって実現されます。代表的なものに、セマフォやモニタ、ロックなどがあります。
セマフォ
セマフォは、プログラムによって管理されるカウンターのことで、共有リソースのアクセスを制御するために利用されます。セマフォには、バイナリセマフォとカウントセマフォの2種類があります。バイナリセマフォは、0か1の2つの値をとるカウンターで、ロックとして利用されます。カウントセマフォは、0以上の値をとるカウンターで、複数のプロセスが同時にアクセスできるリソースの数を制御するために利用されます。
モニタ
モニタは、プログラムによって管理される構造体のことで、排他制御や条件変数などを含んでいます。モニタを利用することで、共有リソースへのアクセスを同期させ、データの整合性を保ちます。モニタは、Javaなどの一部の言語に組み込まれており、簡単に利用することができます。
ロック
ロックは、共有リソースにアクセスする前に取得する必要があるキーのことで、プログラムによって実装されます。ロックを取得したプロセスだけが共有リソースにアクセスできるため、データの整合性を保ちます。ロックには、排他ロックと共有ロックの2種類があります。排他ロックは、共有リソースに対して独占的にアクセスするために利用されます。
問題点
同時実行制御においては、競合状態を回避するために、ロックをかけたり、セマフォを使ったりするため、プログラムの実行速度が遅くなるという問題があります。また、競合状態を回避するための手法が誤って実装されると、デッドロックやスターベーションなどの問題が発生することもあります。
応用
同時実行制御は、OSやミドルウェア、アプリケーションソフトウェアなど、様々なシステムで利用されています。特に、Webサーバやデータベースなど、複数のユーザーが同時にアクセスすることが多いシステムでは、同時実行制御が不可欠となります。また、クラウドコンピューティングや分散システムなど、複数のコンピュータで同時実行制御を行うこともあります。
まとめ
同時実行制御とは、複数のプログラムや処理が同時に実行された場合に、それらが互いに干渉しあわないように管理する技術
代表的なものに、排他制御、セマフォ、モニタ、ロックなどがある
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