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チロと穴 感情の衝突事故

事故だった。

それは私にとって事故だったのだ、感情の衝突事故。

人生で、こんなに泣くことあるかと自分でも驚く位に泣いた。
涙は、感動して出てきたものだった。

◆チロ(しししし3)

今日(※書いていたら、日付を大きく飛び越して昨日になってしまったが)、ほぼ日さんの企画として
フェニックスブックスという企画にて神田ポートビルに行った。

双子のライオン堂を経営する竹田さんとお話をして
文芸誌「しししし3」を購入した。

この「しししし3」には浅生鴨さんが寄稿した小説「チロ」がある。

書き出しは

源之介の飼う犬は名をチロという。幼少の時分より犬が飼いたくて仕方なかったが、父の源三は

からはじまる、源之介とチロの物語。

私が感動した幹になっている部分には浅生鴨さんの凄い仕掛けがあり、それはまさに作品を楽しむ為の、ネタバレになってしまうので詳しく書けないのだが、
それを書かずに感動したポイントを説明するようにしてみる。

プラトンが書いた「国家」という本がある2500年ぐらい前の本で対話形式。
現代でも売れ続けているまさに歴史的な大ベストセラー本である。
プラトンは哲学者であるので生きる為の思想を、この本の中でも説明しているのだが、その中に【洞窟の比喩】というものがある。

私達は洞窟の奥に実は縛られており、洞窟の壁に映った影を現実のものだと思い込んでいるという話である。
映画のマトリックスでの題材そのものだ。

どこまでが現実で、また現実のこの世界が現実としてのものでない場合。
私が何かを見て感動したり、何かに対して怒ったり、それはいったいなんであろうか。

またそんな真実の現実を知った上で、生きるとはどういうことであろうか。

小説を読むと頭の中には映画のようにそのシーンが明確に投影される。
映画として見ているシーンも、実は現実のものではない。

現実は、今、わたしがこうして目で見て、手で触って感じるものを現実だと思っている。

しかし、その私が信じる現実すら実はそうではないのかもしれない。

そう考えると、私が小説を読み涙を流しながら感動しているこのことは、いったいどんなことなのであろうか。

何層にも折り重なる世界の中で、私はただ小説として書かれた文字を私の頭の中に投影している。
そして、その影をみて大きく感動して泣いている。

このことは、いったいなんであろうか。
ただひとつ、影を自在に操れる人は、本当に凄いということである。

どれだけの本を読んで、どれだけインプットをすれば、こんなに感動する物語が書けるようになるのか。

しししし3に続いてしししし4も出版される予定と聴きました。とても楽しみです。

◆穴(モノノメ創刊号)

もう1つ作品を紹介したい
文芸誌「モノノメ」に浅生鴨さんが寄稿した「穴」

主人公の修平は工場で働く男性である。今は戦時中であると聞かされて、指定の位置に穴を空ける仕事をしている。

毎日続く、代わり映えの無い毎日。

指定の位置と違う場所に穴を空けるとどうなるのか。
この工場で空けた穴は、どこに運ばれてどのように活用されるのか。

真実を知った時に修平がとった行動は…。

ストーリーをダイジェストに紹介するとこんな話である。

浅生鴨さんのこの作品「穴」についても痺れる作品です。もう感嘆のため息しか出なくて、この作品を読んだ後はしばらく動けなかった。

映画館で本当に凄いと思った作品を見終わった後にエンドロールが流れ、照明がパッと明るくなっても観客が暫し、席に金縛りのように呆然と張りついていることがある。
あのような感動と状態で「凄いものを見た」
という実感が大きすぎて言葉に文字にするのが難しい。

毎日続く、代わり映えの無い毎日。

まずこれが作品のポイントの1つかなと考えた。
誰かの指示に従って、動く。

会社員として働く私も、そうなのであるが、もしかしたらその指示が100%正しいとは限らないかも知れない。
そして正しくない情報なのであれば、会社も危機管理として正しく指摘する社員からの情報を待っているのかも知れない。

その為には『自分自身で常に考えて行動をする』ということが大事で
この作品「穴」にあるように自分自身でやっている行動は、なんのためなのか
を確認しながら自分の責任において常に立案しないといけない。

自分自身が主体的に何かを常に決めて動くということは、とてもパワーが必要で疲れる。
誰かの指示に何も深く考えずに従っていることは、
責任もなく非常に楽な行動である。

しかし、私の人生は私のもので1人1人にその人の人生がある。
人生の主人公はその人自身であるべきで、その為には
人生においての様々な選択を常に主体に自分自身で責任をとりながら行動をすることが非常に大切なことであることを作品を通じて伝えたいのではないかと感じた。

今日は偶然にも衆議院選挙の投票日である。
誰かに任せるのではなく、自分自身の人生を主体的に選択していきましょう。


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