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夢のような話

夜勤の時にあった、夢だったかもしれない話。

予定していた大体の作業が片付いたので、気分転換に深夜1時くらいにトイレに立った。電灯がほとんど切られ、非常口誘導灯のランプが不気味にチカチカする廊下を無心で歩いていた。エレベーターの前を通りかかった時、「ポーン」と音が鳴って、扉が開いた。

夜勤をしている人間はたくさんいたので、特に気にすることも無くエレベーターの前を通り過ぎようとした。ただ、エレベーターから人は降りてこなかった。

ゴウン…ゴウン…と低い音を出しながら、私の体(165cm)の半分くらいの大きさの、ルンバの親玉みたいなのが降りてきた。
ビルの掃除をするのにロボットを使うのは効率がいいし、いつだったか、ビルのロビーの清掃をでかいロボでやっていたのを見ていたので驚きはしなかった。

ただ、深夜1時の暗い廊下でルンバの親玉に遭遇した時に思うのは、「お掃除お疲れ様です」よりも「掃除(消)される…」ではないだろうか。めちゃくちゃ怖かった。吸い込まれるかと思った。

廊下に落ちたゴミを吸い込むデカルンバをしばらく見つめていた。いつかここにもっと吸い込むべきものがあるのに気づかれてしまうのではないのか。震えた。
もうこんなよく分からないシチュエーションでデカルンバを見る機会はないと思ったので、スマホで1分くらいムービーを撮った。
淡々と床掃除をする巨大ルンバ、それをムービーに収める女、深夜1時、ここが社会のピリオドだ。

夜勤明けにあのルンバの動画を見ようと思ってアルバムを見たら、録画されていなかった。
おそらく録画ボタンを押し忘れたままルンバにスマホを向けていたんだろう。深夜1時だし、仕方ない。

もしかしたら、本当はルンバなんていなくて、夜勤もしていなかったのかもしれない。ルンバ、また会えるだろうか。今日もまた深夜にひっそりと、床を掃除しているのかな。

美味しいものを食べたりゲームを買ったりすると思います…。