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キンモクセイ/二人のアカボシ は別れ話に向かう心情を描写!

「二人のアカボシ」は、夜から明け方にかけて主人公が彼女に別れ話をするまでの葛藤を歌謡曲のような懐かし曲調に乗せて描いた作品です。

また、刻々と変化する風景の描写が主人公の心情の変化を促しているようにも感じられる内容になっています。

では、「二人のアカボシ」が紡ぐ物語を見ていきましょう。

『夜明けが近づいてきた。窓から見える埋立地には、まだ人の気配を感じない。

しかし、僕には物音が少し聞こえるような気がした。

少し前まで輝いていた街の光は、空に溢れる朝日に負けて少しずつ姿を消していく。

この光が消えた時、僕は君と別れているのだろうか。

一層のこと、ここから君と逃げ出せば、僕たちは別れなくて済むのではないか?

空に見えている明星から離れれば、胸を刻むようなこの気持ちから逃げ出せるのではないか?

僕は、そんなことを考えていた。

僕たちは、車に乗り込み帰路についていた。目の前は不思議なくらい青信号ばかりだった。
僕は車内の空気を紛らわすためラジオをつけた。
ラジオからは、懐かしい曲が次々と流れてくる。

君は今、どう思っているのだろうか?

信号の光がお互いの気持ちを映し出せれば、どんなに楽だろうか。
僕はそんなことを思いながら、西に向かっていた。

工場地帯が、少しずつ動き始めたようだ。
近づいてくる別れの時を思うと、僕は君の知らないところまで、この思いを飛ばしてしまいたいと思ってしまう。

また、街の光が少し消えた。
そろそろ、僕たちのこれからについて話さなければならない。

朝日が昇りつつあった。
ラジオから流れていた懐かしい曲もいつの間にか終わっていた。

君も、僕の想いに気づいていたのだろうか。
君の後ろ姿が、どこか悲しそうに見えた。

そろそろ、街の光が消えていく時間だ。

一層のこと、ここから君と逃げ出せば、僕の想いを伝えなくても済むのではないか?

僕は今でも、君が振り向くと逃げ出したくなりそうだ。
だから、僕は今のうちに話すことにするよ。

夜が明ける前に。』

このように、「二人のアカボシ」は主人公の優柔不断さや未練がよく伝わる内容となっています。

また、この楽曲は始めから終わりまで男性の目線で描かれていますが、何かを感じ取っている相手の心情もほのかに描かれています。

そのため、「二人のアカボシ」の物語の続き見てみたい気持ちさせる一曲です。

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