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#55 サラリーマン経営者が増えたことで日本が失ったもの


1.サラリーマン経営者が増えたことで日本が失ったもの

今回のテーマは日本の半導体産業がなぜ競争力を失ったのかです。
1980年代、日本の半導体産業は世界で非常に競争力がありましたが、その力がどのようにして失われたのかを解説します。

1980年代の日本では、経営者としてのリーダーシップを持つ若手が多く活躍していましたが、次第にサラリーマン経営者が主体となりました。この時期に、半導体のCPU革命が起き、Intelのような企業が台頭してきました。アメリカの企業は、特定の分野に集中的に投資をし、特化して利益を上げる方法を選びました。一方で、日本の企業は、CPUの覇権争いに敗れ、次第に後退していったのです。

1990年代に入ると、新たな技術や企業が台頭。NVIDIAのようなベンチャー企業がGPUの市場で成功を収め、また、モバイル用のチップも重要性を増してきました。Qualcommはモバイル用チップの覇権を握り、ARM系のCPUのアーキテクチャは、低消費電力という利点を持ってモバイル市場で成功を収めました。この流れの中で、AppleやNVIDIAは自らチップを設計し、製造は外部の会社に委託するファブレスの形態を取り入れました。しかし、日本企業はこの流れに適応できず、存在感を示せていませんでした。例外として、ソニーがプレステ用のチップを製造するなどの動きがありましたが、大きな成功を収めるまでには至りませんでした。ファウンドリー系の企業は、台湾や韓国の企業がリードしており、日本企業の存在感は薄れていました。

日本の半導体産業の競争力の低下の背後には、サラリーマン経営者の決断力の不足があると感じます。スピードと資本力を要求される現代の市場に対し、適切な投資や決断を下せないサラリーマン経営者では、競争力を維持するのは難しいのです。今後の日本の産業界には、果敢な決断と積極的な投資が求められることでしょう。

2.日本の犯罪に関する特異性

日本の治安の良さについて、私は多くの諸外国を訪れる中でその特異性を感じています。特に、経済の豊かさが国の治安に与える影響についての見解を述べたいと思います。

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