見出し画像

私を構成するアルバム⑤Gamma Ray『Blast from the Past』

まだ5月7日の来日公演のチケットを買っていません。
っていうか会場がどこかも調べていません。
どうも、ザルソバです。

Judas Priestでヘヴィメタルに入信した続きの話。


1.これサビ?って思った話


人類史において最高である名盤『Painkiller』に衝撃を受けてJudas Priestを聴き始めました。
当然、どのアルバムもカッコいい。人生を変えてしまうほどに。

ただ、あくまで当時の感想ですが、同時にこうも思いました。


「もうちょっとサビ盛り上がってほしいな」

『Painkiller』以前のアルバムだと「ん?」と魅力に気付けない曲がいくつかあったのが正直な感想でした。
いや当時は何にも分かってないガキだったから仕方なかったんです。
あとアホ、しかもバカ、世間知らず、持久走女子に抜かされる、ドッジボール避けるのだけ上手い。

J-POPや、ヴィジュアル系から音楽を聴き始めた身からすると、すべての脊椎動物には背骨があるように、曲の中に分かりやすく盛り上がるサビがあるのは当然のことだと考えていたのでしょう。

特にこの「Breaking the Law」に驚愕しました。

これサビでいいんだ?????

2024年の今ではもちろんこれ以上ない名曲だと思っていますし、親の声より聴いている曲ですが、Xとかラルクに慣れ親しんでいた当時としては驚きました。
Misfitsとかマンソンとか、プリーストより前に聴いてた洋楽だってサビらしいサビはありましたからね。

00年代初頭といえばまだまだガラケー全盛。
しかも着うたなんて無くて、16~32和音の着メロの時代でした。
好きな曲を着信音に設定するのは当然として、知らない曲の着メロを聴いて、メロディーが好きになったからCDをレンタルする……なんて曲の見つけ方もしていたので、自分にとって歌メロが分かりやすいことはかなり重要でした。

もちろんJudas Priestはカッコいい。世界で一番。
でも歌メロがもっと分かりやすいメタルってないのかな、とボンヤリ思うようになりましたが、その頃の自分にはそれを探す手段が思いつきませんでした。


2.暗黒の破壊神

相変わらずJudas Priestばかり聴いていたある日、当時よく行っていた古本屋でセット売りコミックのセールをやっていました。

もちろん漫画は好きでしたが、友達から貸してもらうばかりで当時はあまり数を持っていなかったので、いっちょ読んだことない漫画でも買うかと選んだのが『BASTARD!!ー暗黒の破壊神ー』。
表紙がカッコいいし、なんだか今まで読んできた少年漫画とは違ったハイファンタジーかと思ってしまったんですね。
おいお前、それ少年ジャンプで連載してたゴリゴリの少年漫画だぞ!!

帰宅して早速BASTARDを読むと、一つ大きな特徴に気付きました。
舞台となるのは「メタ=リカーナ王国」
主人公ダークシュナイダーが使う魔法は「爆裂(ダムド)」に「天地爆烈(メガデス)」。

はは~んなるほど、洋楽のバンド名をもじった名前がいくつか使われているのか。

知識の無かった当時の自分は知る由もありません。
いくつか使われているどころか呪文は全部メタルバンドの名前であることを。
ダークシュナイダーはドイツのメタルバンドAccept他で活躍するボーカリスト、ウド・ダークシュナイダーから取られていることを。
ダイ・アモンそのまんまのキング・ダイアモンドというボーカリストが実在することを。

初めてキング・ダイアモンド知ったときに「本物かよ!!!」って声が出ましたからね。
『ダークナイト』のメイキングで縦に吹っ飛んだトレーラーがCGじゃないと知った時と全く同じ声量で。

そんな知識が何も無い当時の僕でも、20巻あたりに出てきたある呪文で真実に気付きました。
「へえ、超原子崩壊励起(ジオダスプリード)……カッコいい名前だな。
ジオダスプリード……
ジ・オ・ダ・ス・プ・リ・ー・ド……
ジ・ュ・ー・ダ・ス・プ・リ・ー・ス・ト…………?????」
まさかマサ伊藤の心の刺れ墨がヒントになって答えにたどり着くなんて。ゴールデンカムイか?

そう、ここで初めて全ての呪文がメタルバンドである可能性に気付いた僕は、ガラケーでBASTARDの呪文をタワレコのサイトで検索し始めます。

絶対冷凍破(テスタメント)…いる!

盲死茨棘獄(ブラインド・ガーディアン)…いる!

爆流渦炎陣(マーシャル・ロウ)…いる!

アークエネミーもナグルファーもいる!!

これ全部メタルバンドの名前だったんだ…

じゃあJudas Priestの次に聴くバンドはカッコよさげな呪文から決めよう。

そして僕が次に検索した呪文は
封神八十七式烈光流星乱舞(ガンマ・レイ)でした。


3.パワーメタルサンダー

困った時のツタヤ三年坂。
ガンマ・レイを探したらあっさり見つかりました。しかもアルバム6枚くらい。
とりあえずレンタルの値段が一緒だったので、曲が多い2枚組のアルバムを借りました。浅はかですね。

それがGamma Rayの『Blast from the Past』。
全く予備知識なくレンタルしたら、都合のよいことにベストアルバムでした。

帰りの車の中、早速カーステレオにCDを挿入。
序曲「Welcome」に続いて流れた「Lust For Life」で思わず車を路肩に停めました。

心地よい速さ、分かりやすい曲展開、盛り上がりつつ覚えやすい歌メロ……
自分の理想の音楽を見つけてしまった衝撃で、しばらく運転できずに聴き入ってしまいました。
雷に撃たれたような…とは正にこのこと。
パワーメタルサンダーストライク。

ラピュタは本当にあったんだ!
いや2曲目が「Heaven Can Wait」だからこの世の天国を発見した気分でした。
その後も「Tribute to the Past」に「Man on a Mission」に「Land of the Free」に名曲ばかり。
初めて聴くのに初めての気がしない、まるで前世からこの音楽を聴く運命だったかのようにどの曲も細胞や心に染みわたる。
Gamma Rayのリーダーでありボーカルのカイ・ハンセンは神だと思いました。
……今にして思えば、自分の好きな日本のアーティストが実はGamma Rayやこのジャンルから影響を受けてただけだと思いますけど。

『Blast From The Past』を数回聴き終わり、早速検索。

なるほど、Gamma Rayみたいな音楽をジャーマンメタルと呼ぶのか!

……ジャーマンメタルって90年代くらいの呼び方で、00年代当時はメロディックパワーメタル(メロパワ)と既に呼称が替わっていたのを知ったのはしばらく経ってからでした。
遅れてメロパワの情報を知ったから、情報も古いのばっかり見つけてました。
Viperにアンドレ・マトスはもういないし、そのマトスが起ち上げたAngraでも既に本人は脱退済みでしたし。

GAMMA RAYを知ってからは、正に芋づる式。
「あの頃」のビクターが推していたバンド群にすぐたどり着き、
Stratovarius、前述のAngraやBlind Guardian、あとはRageにたどり着き、ハマるのに時間はかかりませんでした。
メロパワじゃないけどImpellitteriとか。
趣味にハマることを「沼」と形容しますが、時間をかけて沈むのではなく。この時は源泉かけ流しに飛び込んでそのまま潜水している気分でした。

メタルを知ってる方なら「Helloweenの名前が無いじゃん」とお気づきでしょうが、初めて聴いた彼らの曲「Where the Rain Grows」のアンディ・デリスの声が当初は苦手でスルーしました。
そのせいで『守護神伝』聴くのも数年先になることに。
いやーバカですねー。愚か。センスも才能も無し。髪型ダサい。バイトの面接すぐ落ちる。歩くのは早いのに走るの遅い。

カイ・ハンセンの一部で魔女ボイスと呼ばれていたボーカルはありがたがって聴いてたのに、デリスが苦手なんて今思い返してみても我ながら意味が分かりません。
あ、今となってはHelloweenは勿論Gamma Rayに劣らないくらい好きですよ。

ちなみに『Blast from the Past』、全曲でカイ・ハンセンが歌っていますが、実は1stと2ndアルバムではラルフ・シーパースという歌唱力と腕の太さが天下一の方がボーカルやってたことを後に知りました。
オリジナルアルバムを聴いたものの「確かにラルフの方が上手いけどカイの歌が好きだな」と思ったので、刷り込みというのは恐ろしい。
あ、もちろんラルフも彼がGamma Ray脱退後にやってるPrimal Fearも大好きです。


4.(パワー)メタル・イズ・フォーエバー

Gamma Ray、Stratovsrius、Angra、遅れてHelloweenとハマったら、Rhapsody、Nocternal Rites、Dark Moorと定番の流れを追っていきました。
メトロイドで言えばモーフボールのあとにボムを取るくらい定番。
そしてSonata ArcticaとDragonforceに度肝を抜かれ、そこからの派生でNight Wishを…という多くの方が経験したであろう順番でメロパワを聴き続けました。

幸い、ここ日本ではメロパワの人気が高いために、ちょっと深呼吸してからネットの海に顔をつけたら情報がバンバン出てきましたから。

私見ですが、ネットのブログや動画投稿サイト流行った時期、そしてファイナルファンタジーやサガシリーズの音楽に影響を受けた世代がそれらを使いこなし始めた時期と、たくさんのメロパワバンドが発見された時期がちょうど嚙み合って(一部で)流行ったのではないかと考えています。


メロパワ好きは現在も、四捨五入すれば20年続いていています。
一時は自分のリサーチ不足もあって刺激的なメロパワを見つけられない頃もありました。
しかし今はTwilight  Force、GloryHammer、Victoriusの令和鎧パワーメタル御三家(完全に適当に名付けました。今)が名盤を連発して、さらにはSabatonやPowerwolfも世界で大人気というメロパワ好きには最高の時代です。

昨年は最高の年でした。Twilight  ForceとVictorius、そして武道館でHelloweenを観られたことは我が人生のハイライトの一つでしょう。

今年はRageを観に行きましたが、Gamma Rayの来日も間近。
しかもEvoken FestでGloryHammerやDerdianやHibriaも観られる最高の年 第2章になろうとしています。楽しみ。

音楽や映像や本、風景や人との出会いと、人生に力を与えてくれるものはたくさんあります。
時にはバカ、時には泣かせてくれるこのパワーメタルというジャンルに、僕は文字通りパワーを貰いながらこの先も生きていくことでしょう。
そしてパワーメタルと出会うきっかけとなったGamma Rayとカイ・ハンセンは自分にとって無くてはならない存在の一つです。

だから早くGamma Rayのチケット買え自分。

おしまい




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?