12/12の日記 (健康診断)

今朝起きて妻に「おはよう」と言うと、ほぼそれに被せるような形で、

「ねぇねぇ、うんちって毎朝出る?」

と聞かれた。まだ朝6時台の会話である。

そういえば毎朝うんちが出るかなんて考えたこともない。昨日の朝は出たか?はたまた一昨日の朝はどうだったか?一年365日のうちに何回うんちに行く日があるのか、それとも行かない日があるのかを、僕は知らない。「うんこ」ではなく、「うんち」と言うと、ちょっとだけ可愛くなる理由も僕は知らない。

「ねぇねぇ、うんこって毎日出る?」と聞かれると、は?ちょっと朝から喧嘩売ってます?となりそうだけど、

「ねぇねぇ、うんちって毎日出る?」と聞かれると、あ、この人は何か困ってるんだなぁ、ちょっと話しでも聞いてあげようかなぁ、と思えるから不思議である。一文字の差なのにね。

妻の質問に真面目に答えると、「だいたい出てると思う」というものだった。人の記憶というのは曖昧なものだ。自分が毎朝うんちしているかどうかも、覚えていないのである。

妻がどうしてこんなことを聞くかと言うと、今日は健康診断であった。検便が必要なのだ。今どき検便なんて、日本ではやっているのだろうか。(そう思ってちょっと調べたけど、普通にやるようだ)

だから彼女は、うんちが出るかどうかで悩んでいる。人が毎朝うんちが出るかどうかを確認したところで、便意をもよおすものでもないだろうし、でもまぁそれでも聞いてしまう人間というのは、本当に一人では生きていけない動物だなぁ。

夫婦そろって健康診断に向かい、受付で手続きを済ます。おばちゃんから小さなカップをほらよと渡される。検尿である。予想はしていたけど妻をチラリと見ると、「ねぇねぇ、おしっこってそんなすぐ出る?」。

ここで僕は自信を持って、「出るよ」と答えた。妻の目が一瞬怯む。10年近く連れ添った旦那が珍しく自信満々だからであろう。「え、出るの?」という目をしている。「出るよ」となぜか聞かれていないのに、二回答えた。そして僕が宣言通り検尿をさっさと済ませるものだから、妻は僕に尊敬の眼差しを向けていた。ちょっといい日だ、今日は。

毎朝うんちが出ることや、検尿カップを渡されて直ぐにおしっこが出ることが普通か普通じゃないかはわからないけれど、最終的には僕も妻もそれらをこなし、無事に健康診断は終了した。特に問題もなければいいのだけど、検査結果を待とう。

終わってからは、少し早かったけど二人でランチに行った。病院の近所でおっきなトラックがハンバーガーを売っている。美味しそうだからそこにする。でも外で食べるには寒いよなぁ、なんて考えていたら、隣に停まっている二階建てバスの中で食べられるよ、とのこと。ダイナミックだなぁ、でもじゃあそうしましょう。バスの中で食べるも、外と変わらないくらい寒い。むちゃくちゃ寒い。映画「into the wild」をふと思い出す。こんなとこで死にたくないな。

食べ終わって家に帰る途中、「ビール飲めばよかった」とぼそっと言ったら、「わたしもそう思ってた」と妻。あんなにくそ寒いのにビール飲みたいとかちょっとおかしくないですか、お互い様だけど。

家に帰ってコーヒー飲んで、ようやく温かさを取り戻す。朝のうんちの話を急に思い出して、朝から変なこと聞くよなぁとおかしくて二人で笑う。検査結果を待たずとも、心は健康のよう。

お蕎麦屋さん開きたい。