見出し画像

08/03の日記 (なんにもない日)

夏休みなのに、なんにもしていない。なんて言い方をするとネガティブだな。夏休みだから、なんもしていない、って言った方がいいかな。

まぁとりあえず何にもしていない。特にどこにも行っていない。近所の公園やプールにぷらぷら行く程度だ。昨日なんて、暑くて一歩も外に出なかった。

夏休みということもあって、始まる前は少しばかり張り切っていた、じつは。

今年は久しぶりの日本の夏だってことで、まぁ遠出はせずに、近場を攻めつつ過ごしましょう、と家族で決めていたのだけど、やっぱり親心というかお父さん心と言いますか、なんか特別な思い出となるようなイベントを子供たちにやってあげたいなぁとうっすら考えていた。このうっすらって、よくないね。

でも調べたりするほど、どこに行くにしてもやるにしても、数か月前の予約は当たり前。完全に初動が遅れたので、キャンプだとかBBQだとか流しそうめんだとか、色んな僕の夢は儚く散ってしまった早々に。

夏休みの間、妻が一日家を空ける日があったので、子供たちと何をして過ごそうか、どこに連れて行こうかとうんうん唸っていると、「別に無理して、特別なことしなくていいよー」と妻が言う。

無理をするわけでなくて、これは親心というかお父さん心というかなんというかゴニョニョ、ってしていたのだけど、結局言われた通り、特別なこともせずそのままの一日を過ごすことにした。

息子は朝から学校のプールだった。息子が家を出るタイミングで、僕は娘を連れてホームセンターへ。ビニールプールと布団圧縮袋を買いに行くためだ。息子がプールから戻るのが昼だから、娘と買い物でもしてゆっくり本屋でも行くかなぁ、なんて考えていたけど、なんか少し嫌な予感がしたので早めに家に戻る。

すると息子がマンションの前に立っているではないか!聞けば、暑すぎてプールが中止になったらしい。暑すぎてって…!公園の時計を見て、僕らが帰ってくるまであと一時間くらいあるだろうなと考えて、家の前で待っていたそうだ。早く帰って来てよかった…。

家に戻って早速ベランダにビニールプールを広げ、子供たちを遊ばせる。その間に素麺を茹でて卵焼きなど作る。どうして休みの日の昼間って、自分が小さいころ食べたものばっかり作っちゃうんだろう。

昼食のあともベランダプールでひとしきり盛り上がって、おやつをちょっと食べたら息子を公民館に連れていく時間だった。夏休みの間、一時間だけ習字を教えてくれるらしい。15時半から16時半の間に連れて行ってあげてねと妻に言われていたので、余裕を持たせるべく、15時15分に家を出ることにする。

僕は娘を後ろに乗せ、息子は自分の自転車で、意気揚々と家を出発する。自転車で15分ほどの道のりだ。それにしてもここまで順調すぎる。プール中止のアクシデントもなんとかリカバリーできたし、やはり灼熱のサラリーマン地獄で培われてきたタイムマネジメント能力は、こうして子育てにも生かされるのだなフフフとか考えてほくそ笑んでいたところで息子が超手ぶらであることに気が付く。家を出るまで、お習字セットのカバン持たせていたはずなのにオーマイガッ!忽然と姿を消したお習字セット。なんてことはない、家に忘れただけだ。

目的地まであと少しなのに、泣く泣く家に戻る。無駄に往復した末なんとか公民館に到着し、息子を見送る。与えられた時間は一時間、その間に颯爽と買い物へ、なんて思ったら娘は後ろで爆睡している。自転車で走っていると頭がぐわんぐわん揺れるものだから、不安定感が半端ない。

スーパーに着くと娘を抱きかかえて買い物を済ます。世のお母さんこんなときってどうしてるんですか?と心の中で泣き叫びながら、また娘を後ろに乗せて家へと戻る。単純に荷物が倍になったのに近い。

家に帰って食材を冷蔵庫に入れると、もう息子を迎えに行く時間であった。もう汗をかきすぎてプールに飛び込んだみたいな人になっている。なんならいっその事ベランダのビニールプールに飛び込んでしまいたいくらい暑い。

また娘を自転車の後ろに乗せて、15分の道のりを走る。娘は少し寝たためか超元気で、後ろでずっとパプリカを熱唱していた。頼むからちょっと音のデシベル下げてくれ。公民館に着くと、ちょうど息子が出てくるところだった。セーフ…。また息子を連れて家路につく。嗚呼!今日は何度見たことかこの景色。

晩ごはんの準備を終えた頃くらいに妻が帰って来て、思わず、「いつも毎日大変だねぇ」などと呟いてしまった。特別なことなんて何にもしていないのに、なるほどこれは毎日大変だ。

変にお父さん心を発動させて、素晴らしい思い出を作ってあげなきゃなんて張り切っていたが、そんな必要、ぜんぜんないなぁ。

子供たちが普段、どんな歌を歌って、何にケラケラと笑って、どれだけ汗をかいて、どんな風に新しいことを学んでいるか、それが知れて、僕にとってはじゅうぶん特別な日であった。週末のそれとは、また少し違う。

子供たちにとっては、どうだったろう。また何でもない日を、一緒に過ごそうねぇ。


お蕎麦屋さん開きたい。