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趣味は配送業者に物を与えることです

普段の作り置きの成果がここにあり、と朝からガッツポーズ、昨夜弁当の用意を忘れた愚民は先週の己の善行により5分で弁当を作ることに成功、月曜出だし好調、今ラップみたいになったのは偶然です、どうですか。え、なってなかった?え?

目まぐるしく仕事を終え家に帰る、今日は押し入れ収納ケースが数個届くのだ、押入れの中にぶちこむ衣装ハンガーも届く、布団収納の袋も届く、全て同じところで頼んだけれど全てバラバラの業者が持ってくることになっており、なんでや、と思う。
ごはんを作りながら待つ。
まず衣装ハンガーを持って現れたのはいつもやって来る愛想のいい若いお兄ちゃん、とんでもなく人懐っこくて本当にかわいい、全国民の弟。
サインかハンコお願いしていいですか、と言われたので、ペン借りていいですか、と言うと、実は僕ペンなくしてしまってこれでお願いしてもいいですか、と、見たことないようなとんでもない極太マジックを差し出してきたので、驚く。
思わず、さすがにそれは太すぎるやろ、と言うと、やっぱそうですよね、えへへ、と笑うので、ちょい待ち、と自分のボールペンを探しサインし渡す、まだあと3時間ほどは配送に回らねばならんだろうと思い、よかったらこのボールペン使ってください、あげます、と言うと、目をまんまるくして、ええ!頂けるんですか!!めちゃくちゃ助かります!コンビニ寄る時間も今日ちょっとなくて、ほんとありがとうございます!と深々と頭を下げてくれたので恐縮する、ボールペンごときでえらい徳積んだ感である。

ご飯を食べながら次の業者を待つ。
ピンポンが鳴ると上品な紳士が、皿田様でいらっしゃいますね、お荷物をお届けに上がりました、と言うではないか、まるでわたしが金持ちのお嬢様になったような気持ち、しかし金持ちのお嬢様は自ら布団収納袋を買ったりしない、渡された現実を噛み締める。

まだご飯を食べる、今日は忙しかったので腹が減っている。
ピンポンが鳴り、ふくよかな大笑顔の若い男性がどでかい衣装ケースを持ってきてくれた。
ドアを開けた瞬間に、うわ〜めちゃくちゃいい匂いですね!おいしそう!と言われたのでめちゃくちゃ驚いて大笑いした、まさかそんな感想言われるとは。
いい匂いしてましたか、すいません、あはは、はずかしいな、あはは、と言うと、はい、僕今お腹ぺこぺこなんで特にいい匂いに感じます、いいなあ、と悪びれずにニコニコする、すぐさま家にあげてこいつがわたしの作ったおかずで白飯をモリモリいくところが見たい、しかしちょっと初めて会った業者を家にあげて飯を食わすのはイカレの所業、危険すぎると判断、しかし本当に食いしん坊丸出しの子だったので、あと3時間の空腹耐えさせるのは気の毒と思い、おなかが空いてるならよかったらどうぞ、とスナック菓子の小袋を渡す。
えー!いいんですかー!!嬉しいです!ありがとうございます!と深々と頭を下げて帰って行った。
今日は業者に物を与える人間と化したが、これがもしかしたら母性なのかもしれない。

押し入れの収納をめちゃくちゃやる、明日は上司と飲みに行くので今日やってしまいたいという思いが強く3時間格闘の末とてもきれいな押入れの出来上がり、勝った。
なんだか清々しい気持ちで就寝。

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