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少女革命ウテナ 個人解釈用世界観考察

各所考察サイトや先達の方々の素晴らしい解釈を理解用に抜粋、編纂したものです。個人的にこうならいいな程度の解釈なので話半分で読んでください。

⭐︎王子様/お姫様システム

鳳学園という世界の根底にある覆らない理。
庇護する王子様と庇護されるお姫様の二元論。学園生徒はこのどちらかに属さなければならない。また、世界を革命する権利を持つのは〝王子様〟のみ。
このシステムに属さないものは(女であれば〝魔女〟とされ)学園から卒業=追放させられる。

⭐︎鳳暁生の目的→気高い若者の王子様の剣を奪って薔薇の門を開く(王子様の力を取り戻し永遠を手に入れる)


永遠=おとぎ話の「王子さまとお姫さまは末永く幸せに暮らしました」または「過去の栄光を再び取り戻すこと(王子様の力を取り戻すこと)」

しかし王子様(ディオス)の力を取り戻して、それが本当の幸福なのか?という疑問は無い様子。昔の話にすがる大人の象徴ですから、暁生さんは。

⭐︎鳳学園の王子様→男でなくてはならない(生徒会役員は女生徒も全員男装をする)


・冬芽、西園寺、幹→男

・樹璃→女だが枝織が好き(枝織の王子様になりたい)、しかし29話で瑠果という〝王子様〟ができたことにより樹璃も順当にお姫様区分に入ってしまったのではないかと思われる(この辺は多分に主観が入ってるのであやふやです)

・七実→冬芽の捨て駒として利用された、本来王子様の資格は有していないお姫様(樹璃のような王子様適正もないため決闘服デザインも差別化されている?)
・ウテナ→王子様とお姫様の間で揺れ動く存在。鳳暁生と関係を持ちお姫様になりかけるが最終的にアンシーの王子様となり世界を革命(アンシーを解放)する事を決意し最終決戦へ
 
⇒しかし、鳳学園の王子様は男でなくてはならない理の出来レース決闘なので、女の子のウテナはアンシーの王子様にはなれない(鳳学園という世界は革命できない)。
暁生(王子様)も拒んだのでウテナはお姫様にもなれない。結果、鳳学園内で王子様にもお姫様にもなれなかったウテナはアンシーと同じ魔女になり、千本の剣(王子様/お姫様システムから生じる嫉妬や歪みの暗喩)に刺され学園から追放される。
⇒ウテナは鳳学園という〝世界〟は革命(アンシーを暁生から解放)出来なかったが、ウテナのひたむきさによりアンシーは意識革命を起こし、自発的に暁生を捨て学園を出る。
 

⭐︎鳳学園→根室教授の研究とアンシーの魔力によって時間遅延の処置がなされている箱庭

暁生が元鳳学園長に取り入った後、王子様の剣を手に入れるための餌(決闘ゲームの舞台、蜃気楼の城、プラネタリウムなど)と鳳学園を自分にとってよりよい停滞した変化の無い箱庭(最終話のアンシー曰く〝棺〟。鳳学園は前方後円墳=墓地の形をしている)にするためアンシーの魔力と根室教授と100人の少年(人智を超えた技術を可能にするための生贄)を使い作らせる。
時間遅延の効力があるのは学園内と学園施設(学園外にある学生寮や桐生邸など)のみで度々出てくる生活感のある街は通常の時間の流れなのではないかと思われる。(街の人たちが学園や生徒たちに疑問を持たないのは魔女アンシーの魔力のせい?)
 

⭐︎暁生とアンシーの罪→近親相姦


苦しむ中でも王子様で居続けなければならないディオスを解放する(高潔な王子様を近親相姦の罪で汚して王子様で無くす)ためアンシーから関係を持ち掛けた。禁忌を犯した結果アンシーは魔女になりディオスは王子様の役割を剥奪され、大人(暁生)になってしまう。暁生が度々アンシーを憎んでいるような発言をするのはこのため。妹・共犯者として救ってくれた事を感謝し愛する一方で、 魔女として王子様の役割を奪い自分を縛り続ける彼女を憎んでいる。 
 

⭐︎その後の鳳学園とウテナとアンシー


アンシーという魔力を失った鳳学園はおそらく時間遅延が解かれ普通の学園へと戻るのではないか(影絵少女たちが将来の話をしていたり、登場人物それぞれが進級するような会話をしていたり、精神的に成長している描写がされていることから)
取り残された暁生は今度こそ本当になんの後ろ盾もない、ただの大人になってしまうのではないか。

少女革命ウテナのラストはハッピーエンドとは言い難く、しかしバッドエンドでもビターエンドでもありません。
〝少女革命ウテナ〟と言う閉じた世界から自ら飛び出していくアンシーは、鳳学園と言う居心地の良い棺から追放されたウテナをいつか探し出すのでしょう。それはもしかしたら別の閉じた世界(棺)でなのかもしれないし、私たちがいる現実のこの世界でかもしれない。
奇跡の力や突飛で素晴らしい魔法ではなく、39話分こつこつと積み上げてきた彼女たちの関係性を持って、ふたりはどこへでも行けます。どこかできっとまた、一緒に笑ってお茶を飲んだりしながら。