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  • 【エッセイ】夫と私とレズ風俗

    私の半生を振り返るだけのエッセイです。

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夫と私とレズ風俗【1話】

ある時、夫から不意に「レズビアン風俗に行ってみたら?」と言われた。 今度久々にデートに行こうという話をしている最中だった。 私は子どもが二人いる、結婚もしている世間的に見ればヘテロセクシュアルの女性に見える存在だ。 しかし、実際には女性性を自分の中では納得できない、更にむしろ今まで好きになった人は女性の方が多いバイセクシャルである。 小学生の頃、初恋の女の子が進学する学校を中学受験して、同じ学校に通った。 初恋は全くかなわなかったが、中学~高校では何人かの彼女とも交際する

    • 夫と私とレズ風俗【7話】

      話は1話に戻る。 一週間後、私と夫は、新宿のラブホテルで一人の女性を待っていた。 風俗店に行く条件は一つ。 「夫に同伴してもらう」ことだった。 正直、夫も居ないところで誰かとそういう行為をいたすことに後ろめたさがあったのだ。 夫も承知の上なのだから、これは確かに浮気ではないかもしれない。 しかし、それでも私は何となく夫に言えないことができてしまうことが嫌だった。 部屋で待ってしばらくすると、指名した女性が入ってきた。 夫と私に向かって丁寧に今回のサービス内容についてと料金

      • 夫と私とレズ風俗【6話】

        子どもが生まれてから、私はそれまでの性欲はどこへやら、全く致したいという気持ちがなくなっていた。 夫からは週5日は求められるものの、正直全く応じる気持ちになれないのだ。 2回に1回は応じることに決めていたが、それでも夫は不服そうであった。 それはそうだ。 それまで盛りのついた猫のようだった私がすっかり変わってしまったのである。 どうにも受け入れることができなかったのだろう。 また、当時の我々は絶望的にお金がなかった。 長子が生まれるまでに借金を返し終わったとはいえ、私は無

        • 夫と私とレズ風俗【5話】

          同棲と言えば聞こえはいいが、正味な話、私は当時学生だったCの家に転がり込んだ形となった。 ほとんど財布1つで転がり込んで、二人で雀荘で働きながら貧乏生活を送っていた。 私はすっかり夜の仕事を辞めて、Cとの生活をそれなりに楽しんでいた。 お気付きの方もいるかもしれないが、これが後の夫である。 彼は怖ろしいほど今までの交友関係に居ないタイプの人間だった。 まず、私に全力で尽くそうとしてくれる。 何から何まで私を優先して生活していた。 私はそれまで自分が交際者にこんな扱いを受けた

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        夫と私とレズ風俗【1話】

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        • 【エッセイ】夫と私とレズ風俗
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          私と夫とレズ風俗【4話】

          私は結局、人間になるはずだった命の火を一つ消したのである。 堕胎の手術からしばらくは体を休めるためにアルバイトを休みにしてもらっていた。 何とも言えない喪失感があったが、自分が生きるために他者を犠牲にする選択をしたのは自分であり、私が何か言える筋合いはないだろう。 私は手術から約2週間は家に引きこもって過ごしていた。 それから少しずつ外に出て、家の近くの喫茶店に行ってみたり、パチンコ店に行って時間を潰すという活動を始め、しばらくしてアルバイトに復帰した。 話をしていた店長

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          私と夫とレズ風俗【4話】

          【日記】性風俗店の性差を考えた

          これは昨日、私がレズビアン風俗に行ってきたという日記だ。 前提として私は数年間男性向けの風俗店で勤務していた。 いわゆる嬢だったわけである。 当時、利用者に対してとにかく塩対応で有名だった。 (レビューサイトを見たら、対応が塩過ぎるというレビューでいっぱいだったので間違いない。) 何せ、お金を稼ぐためだけの目的だったから、汚いおっさんを相手にするのが嫌で嫌で仕方なかったし、汚くないイケメンの相手も本当に面倒な労働でしかなかった。 それでも、時々「この人はきちんと対応しよう」

          【日記】性風俗店の性差を考えた

          夫と私とレズ風俗【3話】

          大学卒業間際になっても、卒業してからも私は就職活動をするでもなくただ漫然と日々を過ごしていた。 履歴書にある性別欄も、化粧も、画一的なスーツも全てを受け入れることができず、結局何もせずにいたのである。 周りには公務員試験を受ける、ということにしておいた。 何もしていないのでは流石に体裁が悪いと思ったのだ。 一応、公務員試験に向けた勉強はしていた。 恣意的ではないにせよ周囲だけでなく、自分自身も騙していたのだと思う。 本気でなりたいわけではないのにテキストをめくっては線を引き

          夫と私とレズ風俗【3話】

          夫と私とレズ風俗【2話】

          私の大学生活は、世間一般と同じくそれなりに堕落していた。 酒を飲み、タバコを吸い、朝までバイトにいそしんで授業をサボる。 いわゆるダメな大学生だった。 歓楽街にあるファーストフード店で深夜にアルバイトをしていた時のことだ。 徒歩での帰り道、後ろから背の高い外国人に話しかけられ、そのまま性的暴行を受けた。 あまり詳細は覚えていないが、抵抗する気も起きずにことが終わると私はそのままフラフラと家に帰った。 今思えばその足で警察と病院に行くのが筋だったのだろう。 しかし、何となくそ

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          夫と私とレズ風俗【2話】