「この時期に風邪をひいた」レポ

油断するな、とか、不安を煽るな、とか、いろいろなことをがあると思いますが、この時期に風邪をひく人というのは、サイレントマジョリティなタイプじゃないか、と思いますので、経緯と考えていることをレポートさせてもらいます。なお、本日は会社をお休みしていますが、その辺も後述させていただきます。

報道や発表、社会情勢はともかく、私の記録なので、コロナウィルスに関する見解やあるべき論については、極力避けているつもりですが、それでも何かしらの私の認識フィルターを通しての記述であることをご容赦ください。

ちなみに、前提として、私は虚弱体質とまではいかないけども、人より身体が丈夫というわけではありません。年1・2回くらい風邪をひきますので、基礎体力は中の下くらいでしょうか。また、心配症なのもあって、これまでマスク着用、手洗い・うがいなどの対策は人一倍気をつけていたつもりです。(それでも風邪にかかっているので、体調管理不足は否めません)

1.会社からの指示文書

会社でコロナウイルス対策に関して、指示文書が出されたのは2月21日(金)でした。16日に政府の専門家会合で「国内発生の早期」との認識が確認されたことが指示の背景とのことです。

弊社はその出自からお役所的な気質がかなり強いので、この「お国が決めたので」というのは強力なパワーを持ちます。まあ、16日から5日も経ってますので、初動の遅さは否めません。内容は概ね次の通り。(要旨のみ記載させていただきます)

(1)予防をしっかりしましょう(当たり前)             ①手洗い、うがい、マスク、咳エチケットなど、一般的な対処      ②不要不急の会議はやめる、大勢が集まるイベントにはいかない     ③時差出勤を推奨する(7時30分出社か9時30出社)        ④私的旅行やサークル活動は禁止はしないが、気をつける

(2)湖北省へは行かないようにしましょう(当たり前)

(3)感染者・濃厚接触者が発生した場合               ①体調不良を感じた際は安易に出勤せず、所属長へ連絡         ②保健所または厚生省の電話相談窓口へ相談              ③相談結果に従う                          ④従った結果を報告                         ⑤所属長は総務部へ報告

という感じです。「その他、不測の事態は個別に指示します」の文言はあるものの、復帰の手順に関しての記述はなく、テレワークは認められていないなど、いかにも役所感のある紋切り型の文書ですが、結果として、今回この文書がかなり役に立ちました。理由は後述。

2.発熱まで(~2月24日)

少しさかのぼりますが、2月20日(木)、21日(金)は、とにかく花粉症が辛かったです。花粉症持ちの方はご存知だと思いますが、花粉症というのは突然来ます。前日まで「今年は大丈夫だな~(余裕)」と思っていても、ある朝、鼻が全く機能しなくなり「その日人類は思い出した。 奴らに支配されていた恐怖を。」という感じになります。

木曜日から口呼吸がメインになってしまい、喉にダイレクトに負担をかけてしまう、脳に酸素が行き届かずだるい、等で、風邪気味のような症状になることはザラなのです。(なお、私は、3年前にレーザーで神経を焼いたり、鼻の軟骨を除去したり、注射を打ったり、いろんな治療をして以前よりましになった方です)

22日(土)、23日(日)は気仙沼に住む友人が、DIYで自宅のリノベをしているということで、そのお手伝いがてら遊びに行っていました。東北はまだ花粉はそんなに飛んでおらず、かなり快適でしたが、慣れないことをしたため、かなり疲れがたまったのだと思います。

24日(月)も祝日で休み。三連休は素晴らしいな、とダラダラしつつ、昼から近くのスーパー銭湯に行きました。サウナにはまっているので、サウナで免疫力をつけようと思っていましたが、疲れた身体に逆効果だったようです。。。

3.発熱当日(2月25日)

21日の指示文書を受けて、時差出勤(9時30分)。8時30分~9時過ぎで、JR線を乗り継いで出勤しているのですが、通常(7時半過ぎ~8時30分)だと身動きがとれない車内が、かなり空いていました。時差出勤のたまものなのか、テレワークや外出自粛の効果なのか、定かではありませんが、通常より快適な出勤でした。

午前中は調子よく仕事をしていたのですが、昼ごはんを食べている時に、口内炎に気づきました。「マスクをしているので息苦しい」+「そもそもの花粉症」+「口内炎」 これだけで、とにかく、だるい。昼休みに薬局でトラフル錠とリポDを購入しました。

その後、昼過ぎは「だるいな~」くらいだったのですが、夕方になってくるといよいよだるさが増し、少し寒気がして、風邪感が強くなってきました。16時くらいで、違和感に気づいて早退させてもらうべきでしたが、普通の風邪の感じでいくと、風邪薬を飲んで早めに寝て、翌日何もなければ出社、発熱していれば休もう、位の感じです。

結局、仕事が立て込んでなかったと、単純にこれはヤバイと思ったのが半々くらいで、定時で帰宅。20時前に家に着いて、体温を計ると37.6℃、、、かなり体感どおりの体温です。と同時に、やってしまった感が半端ない。

ですが、しんどさが勝って、何もやる気が起きず、1~2時間ベッドで横になっていました。しっかり寝付くこともできず、寒さに耐えつつ、ぼんやりといろいろ考えていました。そんな中で、

「もしコロナウィルスによる肺炎だったら、、、会社(おそらくビル内でも)で第一号が自分だったら、どうなるんだ、、、自分のせいで週末に会った友達や会社の人にうつしていたら、、、電通は全員テレワークを決めたらしい。そんなことできる会社でもないし、もしかしたら自分のせいで会社が2週間休業とか、、、」

といった不安が一気に押し寄せてきて、一時は「明日まで待って、熱が下がれば、何もなかったように出社すればいいか」という考えも頭をよぎったのですが、最悪のケースを想定して、22時ころに、会社の自分の部署メンバーに発熱のある現状と明日お休みをいただく旨をメールしました。

そして、休日に会った友達や実家・彼女に熱が出たことを連絡して、家にあった解熱剤を飲んで、その日は就寝しました。

身近な人を驚かせて、心配させることになってしまうことは重々承知だったのですが、これでコロナウィルスに感染していたら「なんでもっと早く言わなかったんだ」ということのほうが心配になったので、大袈裟すぎるくらいで、ちょうどだったと思いたいところです。

4.翌日(2月26日)

朝方6時になるまでずっと寝ていました。夜中に汗をがっつりかいていたと思います。それで、目覚めて熱を計ると37.0℃。寒気はなく、体の調子は昨日よりずっと良いけど、さてどうしたものか。

と思いつつ、もともと昨日時点で会社へはお休みを連絡していたので安心していたのもあり、気づいたら二度寝していました。9時過ぎに起きて、熱を計ると36.9℃。

ここから指示文書の活躍です。まず、厚生省の「新型コロナウィルスに係る厚生労働省電話相談窓口」に電話しました。(「帰国者・接触者相談センター」とは別物です、こちらはもう少し可能性高い人向けだと思います)

「昨日熱が出て、すぐ下がったのに、相談て、、、向こうも困るのでは?」という感じもしましたが、自分の行動に指針がない(勝手に判断するのが怖い)ので、これに従わざるを得ません。

電話はすぐに繋がり(ここが意外!かなりたくさんのオペレーターがいるのかな?)、電話口ではコールセンターの女性の方が、いかにもコールセンター対応ですという感じで対応されていました。上述の自分の状況をお知らせしたところ、

「37.5℃以上の熱が4日続く場合、感染の疑いのある人と濃厚接触が確認できない場合は、こちらでは保健所の紹介等はできないので、近くの医療機関に相談してみください」

出たよ、たらい回し。と思いつつ、正直想定内でした。軽症の人は、病院に行かないように、という話もありますが、弊社の「誰も責任取らない、決めたがらない体質」から、この状況を報告したところで、会社は出社して良いか判断するはずない、と踏んだので、この先のコマに進めるためには病院へ連絡するしかありません。そして、近くの診療所へ連絡したところ

「相談窓口で『医療機関へかかってもよい』と言われたなら、こちらで診ることはできますよ。インフルエンザの検査もできますし。」

と言ってもらいました。医療機関へかかってもよい、と言われた覚えはないですが、そこはゴニョゴニョと話ししているうちに、「病院へ来れますか?」という流れになったので、診察してもらうことにしました。

政治や行政、企業や個人、あらゆる社会が指針がない中では、普通なら「風邪が1日寝て治っただけの人」が社会復帰するのも一苦労する、ということは何となく想像してました。しかし、自分の判断の際に依って立つものがある(指示文書や相談先等)があることはそれだけ少し安心感があります。

とはいえ、そんな手続論的なアリバイづくりのため、健康な人が病院に来られても困るだろうな、と申し訳なさ半分に病院へ行くと、正門に出てこられた看護師さんは、

「不安だったでしょう?時期が時期だけにこの対応は仕方ないです」

とおっしゃってくださいました。で、普通の外来入口とは違う感染症疑いの人向けの裏口を通されて、そこから特殊な待合室(というより空きスペースか?)で、診察を待ちます。自分以外にそういった面倒な患者はいなさそうでした。。。このあたりのリスクヘッジは大袈裟といえども、しっかりしており、安心しました。

お医者さんの診断もいたって冷静でした。(ただ、この冷静さは、通常に知り得る情報をもって合理的に診察する、という点においてであり、「想定外」に通用するようなものではないでしょう。また、「今後の私の容態や今後の社会情勢を鑑みてもこの診断が正しいものであった」かどうかということは、現時点では判断しようがないことを申し添えておきます)

・念のためインフルエンザの検査をしたが陰性であった。

・これまでの症例の報告からコロナウィルスにかかり、熱が1日で引くということは考えづらい。

・これまでの行動を聞いても、屋形船に乗った等、極端に感染リスクの高まるようなことはしていないし、感染者との濃厚接触の可能性は(他の健常者と比べて)高いわけではない。

・そもそもこの時期には、風邪やインフルエンザが流行しており、(現時点では)圧倒的にそちらの疾患の方が多い。

⇒「確証を持ったことは言えないが、上記の理由から普通の風邪であるという診断が妥当」ということで、風邪の際にもらえるような薬を処方してもらいました。

そして家に帰り、再度上司に報告。上司は総務部と相談して折り返し電話する、とのこと。就業時間間近に、上司から電話がありました。

「1日で熱が引き、病院で診察してもらっているなら大丈夫だと思うが、熱がぶり返したりすると怖いので、明日1日様子を見てもらって、大丈夫そうであれば、金曜から出勤して良いよ」

ということでした。この時期に何を悠長なことを言って、、と非難されるかもしれません。実際にはテレワークできる環境が整えば、テレワークが一番安心だと思いますが、現状、社内のシステム上それは厳しそうなので、また業務への支障というところも踏まえれば、これくらいが「ちょうど良い」対処なのではないかと思います。(「自分が安心したい、許されたい」という理由で、あえて自分なりの見解として「ちょうど良い」と記載しています。)

なお、昨日の昼時点で一時、36.2℃くらいでしたが、夜の時点では少し熱があがり、36.9℃、37.0℃あたりで推移していました。(体感的には元気)

5.本日(2月27日)と雑感

本日もお休みをいただいて、せっかく頂いた時間と思って、こうやってここまでの記録をしています。ちなみに、先ほど体温を計ったところ、36.1℃でド平熱です。むしろ平熱高めなので、低いくらいです。さらに言うと、あまり外に出てないので(昨日病院行ったのと、今日食材買出しに薬局に行ったくらい)、花粉症の症状がほとんど出ておらず、体調的にはすこぶる調子が良いです。

周囲の方にはご心配をおかけし、申し訳ありませんでした。

自分の現在の仕事は1日・2日休んだところでめちゃくちゃに迷惑をかけるような類ではないので(1週間・2週間になると少し心配、だけども、悲しいかな特に問題なく回るでしょう)、悠長なことを言ってられますが、そうでない方、サービス業(特に介護・教育・医療系)の方やプロジェクトのリーダーみたいな人の場合は、無理して出勤しちゃう人が多いと思います。

パッと見、普通の風邪と変わらない、けど長引く、というのが新型コロナウィルスの症状とのことですので、初期で風邪とは区別がつきませんし、かかっている間もタフな人なら普通に活動できちゃうと思います。気づかずのケースもあるでしょうし、意図的な感染隠し等の危険性もあるでしょう。

人によっては「こうやって記事書いているけど、お前も感染者疑いありだから、2週間社会に出てくんな」という方もいると思います。あらゆる経済活動をストップすべきという強硬な意見もあります。

検査数の少なさも指摘されています。検査できるキャパの話や検査の意義や陰謀説など、様々な話が飛び交っています。

日本の政治や行政、マスコミに対する日頃からの不信感、もっと広い範囲での社会そのものに対する不満、プロと素人の情報の非対称性、その非対称性に関する想像力の欠如等により、ますます人は疑心暗鬼になっていきます。

楽観論も悲観論もエビデンスは双方で用意できますし、未知定数が多いものに関する事項の確からしさに白黒をつける鍵は「統計論」が握っていると思っていますが、「統計論」に長けた人は少ないです。私も偉そうなことは言えないので、ここでどちらかの論の肩を持つような記事転載はしません。

そもそも「確率」「統計」といった分野は、不確実な世の中で安心するための手法であるはずなのに、これらの手法そのものへの信頼の前提を崩されると、不確実な世の中に安心して依って立つものがなくなります。現状、SNSやヤフコメで見ているのは、そういった確率論の前提や目指すべきゴールを共有できずに起きている意見の食い違いではないでしょうか。

震災、それに伴う原発事故の際のニュースやネット記事、いろんな人のコメントでも辟易としてしまいましたが、一人で引きこもって、ネットニュースやSNSばかり見ていると本当に精神衛生上よくない。これが結局一番言いたかったことかもしれません。

自分が触れる情報には、必ずバイアスがかかっている。からいろんな情報にいろんな方向からアプローチして総合的に考えることが良いのだろうけども、考えすぎて疲れたら、精神衛生上良くないので休憩するのが良いです。これ以上話をしても堂々巡りで、まさに疲れるので、この辺で。(本当はこの下に+1000文字くらいの文章書いてた)

皆様もお身体には気をつけてください。

ざれーご

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