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「ねんね改善を通じてハッピーな子育てママ・パパを増やしたい。」Sleeping Smart Japan株式会社代表取締役 愛波あやさんインタビュー(ZAKONE PROJECT NOTES #5)

私たちZAKONE(ザコネ)は、睡眠業界を盛り上げるために生まれた、企業や個人をつなぐコミュニティです。こんにちは!ライターの小澤です。

今回は、こどもの寝かしつけ改善(※)を中心に事業展開を行うSleeping Smart Japanの代表取締役として、アメリカのニューヨークを拠点とし、インフルエンサーとしても活躍される愛波あや氏に、乳幼児の寝かしつけの課題やアメリカと日本の違いについてお聞きしました。また、ZAKONEで行いたい共創の内容等々についても伺いました。

※寝かしつけ改善とは
長時間の寝かしつけや夜泣き等に代表される乳幼児の睡眠トラブルを、科学的根拠に基づいた方法で改善・解消へと導くこと。具体的には月齢別の活動時間や必要睡眠時間に基づいたスケジュールの導入・見直し、乳幼児にとって快適で安全な睡眠環境の整備、ねんねルーティーンの導入・見直しなどがある。

ーーまず、ねんね改善に取り組み始めたきっかけを教えてください。
私は、今10歳になる長男がいるんですけれども、10年前に出産をしたときに、赤ちゃんってそもそもよく寝てくれるものと思っていたんですよね。でも実際は、なかなか寝てくれないことが多くて、本当に困り果てました。一時期は育児ノイローゼ気味になっておそらく産後うつっぽくなってしまって…。毎日泣いてばかりの赤ちゃんを前に、「こんなはずじゃなかった」「なんで 生んじゃったんだろう」ってなって、もう全然可愛くなくて、苦しくて、虐待する親の気持ちが少し理解できるなと思うほどの気持ちになってしまって、「赤ちゃんの泣き=ねんね」を何とかなくしたいと思ったのがきっかけです。

ーーなぜこの事業を始めようと思ったのですか。
10年前、出産・子育てをしたのが、アメリカだったんです。周囲に子どもを預けたり話を聞いてもらえるような友人がいなくて、ほんとうに孤独で苦しかった。そこで、Facebookに登録してアメリカ人のママ友を探したら、アメリカ人のママたちは、「昨日の夜はヨガに行った」とか「夫婦で映画鑑賞した」だとか、 子どもがいてもなんだか楽しそうでした。自分は毎晩寝かしつけるのに3時間かけてずっと寝不足の生活なのに、今まで何をやっていたのかと…。(笑)それはもう、強烈な刺激を受けました。
ちょうどその頃にママ友から「あや、この本を読みな!」と勧められたのが、子どもの睡眠について小児科医が書いた本(※)で、その本が目から鱗だった。そこで、図書館に通って、15冊くらい本や論文を読み漁りました。そうして10か月の時にねんねトレーニングを始めてみました。


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ーーその本はアメリカでは有名な本なんですか。
アメリカでは定番で、500ページくらいありますがみんな読んで実践しています。で、実践してみたら4日で子どもが朝までぐっすり寝れるようになりました。そこから私の子育てが180度変わって、心から子どもがかわいいと思えるようになりました。

外資系で働いていた当初は専業主婦が夢だった

ーーそのバイブルの内容を実践したらハッピーになったというのは理解できたのですが、そこからどうして事業展開に繋がったのですか。
当時私は、外資系でバリバリやっていたんですが、実は、完璧に家事と子育てをする専業主婦が夢でした。なのでこの事業をやっているのは自分でも意外に感じています。
ただ、海外にいて日本の為に何かやりたいとは常々思っていたので、日本の寝かしつけに困っているたくさんの方の力になれるのではと思ったことから今に繋がっているのかなと思います。

ーー働いている時に、日本の為に何かやりたいと思っていたのはなぜですか。
仕事じゃなくても日本との関わりは何かしら持っていて、日本人としてのアイデンティティは海外にいながらも確立したいと思っていました。

ー-なるほど最初から日本を拠点として事業をしたいというよりは、基本海外にいて何か日本に関わろうとしていたと。
そうですね。日本を外から見ることで日本の良さにいっぱい気づくことができるんですよね。そして、こうしたらもっと日本はよくなるのではないかなと常に考えられるんです。

ー-今ニューヨークを拠点にしているのは何か理由があるんですか?
自分が育ったふるさとのニューヨークで子育てをしたいと思っていました。なので日本に来ると少し緊張しますね。日本でなくニューヨークを拠点にしているのは、故郷であることと同時にニューヨークは一流のものが集まっていて、情報も早いということも考えています。ねんねトレーニングとかはまさにその一つ。

ー-乳幼児睡眠コンサルタントや個人のインフルエンサー、Sleeping Smart Japanなど様々おこなっているかと思うのですが、行っている事業について違いなどを教えていただけますか?
私自身は乳幼児睡眠コンサルタントとしての活動をメインで行っています。Sleeping Smart Japanの代表取締役であることを前面に出していないのは、メインのターゲットがママなので、距離が近いように感じてもらうためです。その他にも、国際資格機関IPHIの乳幼児睡眠コンサルタント資格(※)取得コースの日本代表と講師をしています。資格取得コースには有資格者を合わせると約700人の受講生がいます。また、悩んでいるママ・パパと双方向のやり取りができる「愛波子育てオンラインコミュニティ」の運営もしています。そして一番最近では、寝かしつけに役立つオリジナル商品の販売をする物販を始めました。2020年に立ち上げたSleeping Smart Japan株式会社では「愛波子育てオンラインコミュニティ」の運営、日本におけるIPHI資格取得コースの運営、そして物販を主な事業として手掛けています。

※IPHI乳幼児睡眠コンサルタント資格とは・・?
2009年にアメリカ・カルフォルニア州にて設立され、世界59ヵ国で睡眠学・栄養学など様々な専門分野での国際認定資格を提供する法人、International Parenting & Health Institute(IPHI)が提供する資格の一つ。乳幼児睡眠コンサルタント資格取得コースの講義は、妊婦と乳幼児の睡眠についての科学的根拠に基づいた理論や方法を録画講義で学ぶ「1部」と、実例のケーススタディーや見習いコンサルタントとして実際にコンサルテーションを行う中で出てくる疑問・質問をライブ講義で学んでいく「2部」で構成される。1部と2部を受講後、ファイナルプロジェクトの課題を提出し、受理をもって資格取得となる。

最初に日本にねんねトレーニングを持ってきた時には苛烈なバッシングにあった

ー-ねんねトレーニングを日本に持ってきた当初の反応はどうでしたか?
「虐待だ」とか「ねんねトレーニングは添い寝文化がある日本には必要ない」だとか、「絶対成功しない」とか否定的な意見が多かったですね。
ほかにも、「困っているママからお金を取るのか」とか散々な反応でした。

ー-ある種新しいものの許容がされにくい日本ならではですね。
私も当初想定していなかったので、すごく傷ついた部分もありました。アメリカでビジネスをする選択肢もありましたが、日本が経済的に良くなるには女性の活躍が必要=子育てで悩む人を減らしたくって、必死に日本での活動をしています。

ー-当時はどのくらいの発信力がある方だったんですか。
アメブロをやっていてすごい叩かれました。元々アメリカで育ったので日本語がすごい苦手で。ストレートな表現のせいもあったのかな。
母に見せたら「これは信用されない」といわれてしまって、途中からは母に添削してもらっていました(笑)。

ー-それは面白いですね。
当初母から添削してもらったものはほぼ真っ赤でした。ほぼやり直し(笑)。

ー-10年前と今ってどのような変化どうでしたか?
10年前と今では変化は全然違いますね。女性の社会的立場も10年前と比べるとすごい変わってきていて働く女性も本当に増えています。今後は、「子育ても仕事もプライベートも楽しむ」という意味で、ロールモデルになれたらうれしいですね。

ー-素敵ですね。事業が広がっていくターニングポイントはあったのですか。
周りの友達からアドバイスがほしいといわれてアドバイスをしたのが始まりだったかな。友人から「すごい良い」「人生変わった」といわれて…。口コミでどんどん紹介されていくなかで今があると思っています。私自身は、誰か一人でもいいので、しっかり繋がっていければいいなと思ってます。それがどんどん繋がって現在の発展があるのかなと。

ー-ZAKONEもコミュニティなので是非今度ご相談させてください。ちなみに儲かっていますか?もし事業の課題感もあれば教えてください。
儲かっているかという点に関しては、まだまだですよ!もっと多くのママ・パパを救いたいと思っているので、会社としてどう回していくかは常に試行錯誤している状態です。オンラインコミュニティは毎日続けないと発信が止まってしまうので時間も労力も使います。乳幼児睡眠コンサルタント資格取得コースでは生徒さんたちを一流のコンサルタントに育てあげないといけないプレッシャーがあるため、日々どうしたらもっとよくできるかを考えています。
お金的には儲かってるとは言えませんが、私は多くの方々に支えられているので心は満たされています!それが何より大事かなと思っています。きっとお金はついてきます。

ー-世の中にはプロの方が沢山いると思いますが、愛波さんが寝かしつけのトップランナーとして活躍し続けているのはなぜだと思いますか。
経験に基づいているだけではなく、しっかり科学的根拠に基づいているところかなと思います。あとは、英語の論文なども読めるので、海外の最新の情報を厳選して紹介出来ることも強みかなと。

ー-寝かしつけの海外と日本の情報格差はありますか。
情報格差はすごいあると感じます。体感としては10~15年くらい違うように思います。文化としても日本はアメリカと比べると新しいものを受け入れるのに時間がかかると感じていて、出る杭は打たれるみたいなところもあるかと思います。また、論文や研究もアメリカの方が進んでいますね。

ー-ありますよね。ニューヨークにお住まいなので今の日本価値観に囚われないというのも大きいですか。
ニューヨークにいるとホッとする一面もあります。育った環境なのも大きいですが、文化としてダイバーシティがある部分が自分に合っているなと感じることがあります。

ー-海外で当たり前でも日本に入ってきていないものはありますか?
メラトニンのサプリは日本で法律上禁止されていますが、アメリカでは子ども用も薬局で売っていて小児科の先生に勧められて飲んでいる子もいます。「なんで日本ではダメなの?」、ということを考えたこともありましたね。
あとは、睡眠の専門雑誌もすごい多いですね。「Sleep Review」という雑誌では、睡眠に関する無呼吸症候群等の医学的な情報や新しいスリープテックの開発などを紹介するものなどが掲載されています。難しい内容ですが、私は定期購読しています。メディテーションも海外では当たり前になっていて、小学校で朝の活動として取り入れているところもあり、息子たちの学校ではヨガなどのメディテーションを行っています。

ZAKONEで色々な企業と福利厚生や商品開発などで協業したい。

ー-これまでのお話を聞くと日本はすごい遅れていることを改めて感じました。ZAKONEの参画企業は、日本企業が多いので是非海外の情報も教えてください。最後にZAKONEに参画いただいた経緯を教えてください。
最初は社員がコミュニティをたまたま発見したことです。私の著書「ママと赤ちゃんのぐっすり本」の監修に入ってくださったスタンフォード大学の西野先生の会社であるブレインスリープが入っていて、業種問わず色んな企業が入っていることに魅力を感じ、当時のブレインスリープの代表に連絡してつないでもらったのがきっかけです。やはり睡眠業界や知識はもっともっと広めていくことが大切だと思っていて、それは一人では出来ないので、是非入会したいと思いました。

ZAKONEで色々な企業と福利厚生や商品開発などで協業したい。

ー-ZAKONEではどんなことを実施したいですか?
ZAKONEに参画している企業向けに、福利厚生とかでご一緒してみたいですね。寝かしつけの大変さへの対応や商品開発等で一緒に協業していきたいと思います。パパとしてどういうことをすれば良いかというのも広めて行きたいです。

ー-先ほどのお話であったニューヨークから海外情報を広めていただくことやテックの情報を広めていただくこともすごい価値があると思う。社会的な情勢からもパパとしても、どういうことをすれば良いかなど是非ご一緒にさせてください。


具体的な協業含めて現在進行形で行っています。後編もお楽しみいただければと思います!!

(インタビュワー:尾形 哲平 執筆:小澤 昂志)


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