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ただのサボり常習犯だと思った彼は優しすぎるお人好しでした

ー昼休みー

「こちらですね。返却は1週間後なので、それまでに返してくださいね。」

男生徒:あ、ありがとうございます!
  (やっぱりかわいいなぁ~ グフフ)


ここは高校の図書室。
主にここに置かれている本の貸し出しや、室内で読書をする所。

そして、本の貸し出しをするために受付をしているのは図書委員である

普通は2人いるはずなのだが・・・


「(そういえば、さっきの人良くこの図書室に来てるなぁ〜)」

「(にしても…)はぁ…。」

「あれ?今日も1人なの?和。」

和:うん。


彼女は井上和。高校2年の図書委員で今日の受付当番である。


和:はぁ…今日もっていうより、2学期に図書委員になってからずっとだよ…

「あらら…。」

和:どうしよう~咲月~


和と話しているのは菅原咲月。
和の大親友である。


咲月:どうしようって言われても…。
   確か…お、小川君だっけ?

和:うん。



ー1学期時ー

和と小川〇〇は席が隣だったことがあり、
漢字の小テストを交換して採点をした時

和:凄い…〇〇くん満点だ。

〇〇:フフッ

和:ん?何かおかしかったですか?

〇〇:ここ、漢字読み間違えてるよ。  

和:え…あっ!?
  こんな、初歩的なミスを…

〇〇:井上さんって面白いね ニコッ

和:///



和:同じクラスで頭も良くて真面目な人だと思ってたんだけど…

咲月:注意するしか…ないよね…。

和:だよね…。

咲月:…。


ー放課後ー

和:(さてと、小川くんに注意…っていない!?)

和:(でも、バックはあるから帰ってないよね?)

和:はぁ…(探すか…)


30分後


和:全然見つからないじゃん!!


和は悪戦苦闘していた


和:(仕方ない…今日は帰って朝一に注意しよう…)


和はそう思いながら教室のある2階に上がった時


和:…あ!!

〇〇:うわっ!!びっくりした!
   井上さんか…

和:小川くん!!
  どこ行ってたの?
  探してたんだから!!

〇〇:え…

和:小川くん!!今日も昼の図書委員の仕事サボったでしょ!!

〇〇:あ…いや…

和:気をつけてよね!!

〇〇:ご、ごめん…

和:明日はちゃんと来てよね!!


和は怒り任せに〇〇に注意するとそのまま教室に入ろうとした


〇〇:…。本当にごめんね ボソッ


和:!! クルッ


和は〇〇の小声に反応し振り返ったが〇〇はもういなかった


和:…。(どうしよう…)


ー翌朝ー

咲月:怒り任せに注意しちゃって、小川くんが落ち込んじゃった〜!?

和:うん…。

咲月:でも、どうして?

和:放課後に小川くん探してたんだけどなかなか見つからなくて、イライラしちゃったんだと思う。

咲月:小川くんは何か言おうとしてたの?

和:分からない…。

咲月:これはお互いが悪いね。

和:どうしよう〜咲月〜!

咲月:(昨日よりワガママ状態になっちゃった…)


ガラガラ


咲月:あ。〇…小川くんじゃん!

〇〇:あ、咲…菅原さん。おはよう。

咲月:おはよう!!

和:…。

〇〇:…。


〇〇は和には挨拶をせずに自分の席に座った


咲月:やっぱり…気まずい?

和:うん。っていうか、咲月って小川くんと普通に話せたんだ。

咲月:あ、う、うん。同じクラスだから当たり前じゃない?

和:私は一学期に小川くんとそんなに話した事ないんだけど?

咲月:あ、アハハ…

〇〇:…。


その日のお昼休み


和:…。


この日も〇〇は図書委員の仕事で図書室に来なかった


和:(またか…今日は話し相手の咲月も用事があるから来ないみたいだし…)

和:(でも…)



〇〇:…。本当にごめんね ボソッ



和:(私のせいかも…)


和が昨日のことを悔やんでいると


男生徒:あ、井上さ〜ん!!

和:貴方は昨日の…。

男生徒:今日も1人なんだ。

和:うん…。
  なんで、あいつは来ないんだろ…。

男生徒:それはね…

僕がそういうふうにしてくれって
小川に言ったからなんだよね。

和:え…。
  どういうこと?

男生徒:もともと、僕が井上さんと一緒に図書委員になって近づこうと思っていたのに…じゃんけんであいつが勝ったせいで…。

和:そんな理由で!?

男生徒:グフフ 今日は菅原さんは部活の件でいないみたいだし…
    井上さん…小川のことなんか忘れてさ…僕と一緒にならない?


和:やだ…助けて…


「はい!!そこまで!!」


男生徒:!?

和:貴方は…

〇〇:どの道、井上さんに手を出すつもりだったんだな…?

和:小川くん!!

男生徒:な、なんでお前が…。

〇〇:とある連絡が来てな。
   お前が井上さんを襲おうとしてるのを…

男生徒:誰がそんな事を!!

「私です!」

和:確か…小川くんの妹さんの…

彩:小川彩です。
  お兄ちゃんから頼まれて、これを送りました。


すると、彩はスマホの動画を見せた。

そこには和と男生徒の先ほどのやりとりが記録されていた


男生徒:な!!

彩:これ、どう見ても脅してますよね?先生。

先生:そうね。

和:先生まで!!

〇〇:俺がここに来る前に呼んでおいた。

男生徒:お前…始めからそのつもりだったのか?

〇〇:仕方ないだろ?
   もし、お前に仲間がいたら、井上さんは余計に危なかったかもしれないからな。しばらく、お前に従っといて様子を見てたんだよ。

和:(そこまで、考えてくれてたんだ…。)

〇〇:どうするんだ?もう言い逃れはできないぞ?

男生徒:くっ…もう少しだったのに…
    もう少しで、井上さんと一緒に…

〇〇:お前…井上さんのどこが好きになったんだ?

男生徒:は?そんなの決まってる!可愛いからだよ!!同じ高校生とは思えないほど大人びいていて、綺麗だし…

〇〇:…それだけか?

男生徒:へ…?

〇〇:外見だけで決めつけるんだな、お前。
   井上さんってな。勉強もできるし、運動神経もいい。部活や委員会も、何事にも全て真面目にやってるんだよ。内面の部分も見ずに好きになるなんて…失礼じゃない?

男生徒:…。

先生:取り敢えず、職員室に行こうか?


先生は男生徒を職員室に連れていくために図書室に案内した


〇〇:ふぅ…

彩:お疲れ様。お兄ちゃん。

〇〇:あぁ。彩もごめんな。巻き込んじゃって。

彩:ううん。お兄ちゃんの力になれたんだもん。
  だから、気にしないで。

〇〇:フフッ 相変わらず可愛いな ナデナデ

彩:えへへ///

和:…。

〇〇:井上さん。大丈夫だった?

和:う、うん…。

咲月:な〜ぎ〜!!

和:咲月…。

咲月:大丈夫だった!?

和:う、うん。小川くんが助けてくれたから…。

咲月:そっかぁ〜。
   〇〇〜良かったぁ〜!! ギュー

〇〇:はいはい。咲月にも心配をかけたな。

咲月:本当だよ〜!!〇〇は他人を優先してしまうお人好しなんだから〜!!

〇〇:悪かったな。

彩:さっちゃんは相変わらずかまってちゃんだね。

咲月:ちょっと〜誰がかまってちゃんだって〜?

和:…え?どういうこと?
  咲月と小川くんは知り合いだったの?

咲月:え?あぁ…話すのが遅くなったんだけど…私達幼稚園児の頃からの幼馴染なんだ〜。

和:そうだったの!?

〇〇:うん…。なんか、言うタイミングがなくてな…咲月が公の場ではこんな甘えん坊な姿を見せるのが恥ずかしいからって…。

咲月:しょうがないじゃん!
   だって恥ずかしいんだもん///

和:…。

彩:あ〜!さっちゃん 顔真っ赤!!

咲月:コラ〜あ〜や〜!!

彩:さっちゃん怒った〜逃げろ〜


彩は咲月から逃げるため図書室から出ていった


〇〇:あ、彩!!

咲月:待て〜!!


咲月も彩を追いかけるため、図書室を出ていった


〇〇:ちょわ咲月〜!…って、言ってもだめか…。

和:…。

〇〇:なんかごめんね。あれが日常茶飯事だから。

和:…とう。

〇〇:え?

和:助けてくれて、ありがとう。

〇〇:いやいや、そんな…大したことは…

和:後、ごめんなさい…。

〇〇:…。

和:私のせいで、小川くんに迷惑をかけてた…傷つけちゃった…。
  だから、ごめんなさい…。

〇〇:…ううん。井上さんのせいじゃないよ。
   俺があいつに脅された時に対処すべきたった…。そのせいで、井上さんに図書委員の仕事、任せっきりになっちゃったし…さっきは怖い思いを…。

和:そんな…もう私は大丈夫だから…。

〇〇:じゃ、なんで体が震えてるの?

和:え?


和は無意識に体が小刻みに震えていた


和:…。

〇〇:本当にごめん…。
   お詫びになんでもするよ。
   井上さんでさえよければだけどさ…。

和:じゃ、ギュッってして?

〇〇:え?

和:そうすれば、この体の震えも止まるかもしれないから…。

〇〇:…分かった。


ギュッ

〇〇はそっと和を抱きしめた


和:…エヘヘ///
  (なんか、暖かいな…。)

〇〇:落ち着いた?

和:うん。ありがとう!! ニコッ

〇〇:っ!!
   う、うん///

和:あれ〜?もしかして、照れた?

〇〇:なっ!!照れてないよ!!

和:ほっぺは真っ赤だけどね。

〇〇:う、うるさいな///
   そういう“和”たって、顔が赤いぞ!!

和:へ///

〇〇:え?

和:今、和って…

〇〇:あ…。こめん。咲月が良く井上さんの話をしてる時に名前呼びだったからつい…

和:…ううん。嬉しい。
  これからも「和」って呼んで?

〇〇:良いの?

和:私が言ってるんだから良いの!!

〇〇:お、おう///

和:じゃ、私もこれからは〇〇って呼ぶね!!

〇〇:まぁ、それが妥当だよな。
   うん。いいよ!!

和:じゃ、これからよろしくね。〇〇。

〇〇:うん。よろしく!!


2人は互いに微笑みあった


和:それにしても、〇〇って私の事、完璧人間だと思ってたんだ〜。

〇〇:え?あぁ。あのときはそうだけど、咲月から聞くにはしっかりしていてよく場をまとめてくれるけど、抜けてる所も多いみたいだね。

和:え?咲月が?

〇〇:うん。1学期の時は漢字を読み間違えたりとか…

和:あ、あれは…たまたまだよ…。

〇〇:でも、びっくりしたのは左と右を間違えたことかな?

和:咲月、そんなことまで言ってたの?

〇〇:聞いた時はびっくりしたよ!!
   それってホントなの?

和:ホントだけど、忘れて!!

〇〇:いや、忘れられないでしょ?

和:えぇ〜ひどいよ〜

〇〇,和:フッ アハハ(笑)


咲月,彩:ジィー…


和:ハッ!!(もしかして、2人に見られてた!?)


和は〇〇と話で盛り上がってる矢先、その様子を覗き込んでいる咲月と彩が視界に入った


〇〇:ん? クルッ
   あ、彩、咲月戻ってきてたんだ…ってどうしたの?

咲月:ううん。なんか、いい雰囲気だと思いましたね。

〇〇,和:え///

彩:これは時間の問題かな?

和:///

〇〇:こら〜///お前ら〜!!

咲月:あ、〇〇が怒った〜!!

彩:逃っげろ〜!!


咲月と彩は図書室を出ていき、〇〇は2人を追いかけに行ってしまった


和:///
  フフッ 本当に…


“優しすぎるお人好しさんなんだから”



fin


(※図書室内では静かにしましょう…。)


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