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サバンナの動物たちが、旅の喜びを教えてくれた

旅は、「喜び」と「成長」を同時に感じられる、私にとって無くてはならない存在です。

憧れていた景色を見て、飲んでみたかった本場のお酒に舌鼓を打つ。「本物」を知る喜びと、その過程での成長が旅の醍醐味です。

その一方で、旅にはトラブルもつきもの。期待していた料理が口に合わなかったり、同行人とケンカしたり、ロストバゲージに遭ったり……。楽しかった思い出よりも大変だった記憶のほうが鮮明に残ることもしばしばです。

それでも、帰りの電車に乗って近所の街並みが見える頃にはもう、次の旅に出たくて仕方なくなっているのです。

「可愛い子には旅をさせよ」という諺のいう通り、旅先でさまざまな困難や未知の経験を体感することは、人を大きく成長させる力があると感じます。

今回は、旅での「喜び」と「成長」を感じる瞬間について、私自身のエピソードを交えながら書いてみます。


19年間の人生の価値観が覆された中国留学


私は、大学生の時に参加した中国への短期留学プログラムをきっかけに、自分で行き先を決める旅デビューをしました。

2005年の中国は、現在のような経済大国になる過渡期の時期。万里の長城や故宮の想像以上の大きさに圧倒され、まるで水墨画のような頤和園の絶景にうっとり。上海の外灘を友人と歩いていた時には、人生最初で最後のナンパをされて有頂天になったこともありました。

その一方で、中国人との背景の違いに困った場面も。反日感情の高いタクシー運転手の車に乗ってしまった時には、すぐ近くの宿に行くのに30分も遠回りをされた上、法外な運賃を請求されて半泣き。戦後何十年たっても残る憎しみを肌で感じた瞬間でした。

今までの人生で培った価値観が覆される喜びと衝撃の連続が病みつきになり、そこから一気に海外旅行の虜に。当時の彼(現在の夫)を旅の相棒にヨーロッパ周遊やアジアへの旅を重ね、これまでに計29の国と地域を訪れました。

これまで旅した場所をHOLICC旅ジェネレーターで画像にしました


「本物」を知る喜びに目覚めたケニア旅行


旅の一番の喜びは本物を体験できることです。見たことのない憧れの風景を見る喜び、人や歴史との出会いを通じてものごとを知る喜びなど、旅ではさまざまな形で好奇心が満たされます。

ケニアへの旅で訪れたマサイマラ国立保護区では、『ライオンキング』さながらの動物たちとの出会いがありました。動物が活動する早朝と夕方になると、ジープでサバンナへ出発。標高1,600m近い高原地帯の冷たく乾いた空気を頬に感じながら動物を探していると、キリンの群れがサファリカーのすぐ横の林を並走していきます。

テレビで見る動物番組そのままに、川で水浴びをして泥を体にこすりつける象の家族。狩りで捕らえたガゼルを食べるチーターや、観光客の車にも動じないライオン。時間にも場所にも縛られず、人間のエゴから離れて生きる動物たちの素の姿を肉眼で見られた興奮は、今も強烈に記憶に残っています。

水浴びする象の家族。子どもの象もいます
ガゼルを食べるチーター


「本物を知る」とは、そのものが本来あるべき姿を実際に見聞きしてこそ、胸を張って「知っている!」と言えるのだと思います。

日本はとても便利な国で、わざわざ旅行に行かなくても体験できることがたくさんあります。しかし、もしあなたが一度でも本物を知る喜びを知ってしまったら、きっと新たな本物を求めて旅に出かけてしまうはずです。


旅が人を成長させるワケ


「そうは言っても、旅行中って面倒なことが起きるから嫌なんだよね。」

旅が苦手な人は、旅行中に起こる想定外の変化や普段と異なるコミュニケーションをストレスに感じてしまうことがあります。

かくいう私自身も、以前は海外旅行に対する苦手意識がありました。旅の手続きは面倒だし、治安も心配。飛行機の機内サービスで、ビーフかチキンかを一言答えるだけでも緊張で疲れてしまうほどでした。

当時の私は、初めて挑戦することでの失敗を恐れていたのだと思います。間違えた英語を話して通じなかったらどうしよう、恥ずかしい。周囲の人に変な目で見られるかもしれない。

でも実際には、私の言動に注目して覚えている人なんていませんでした。
自意識過剰な自分に気づいたことで挑戦へのハードルがぐっと下がったことで、今では旅先で通行人に声をかけて道を聞けるまでに成長しました。

相手は私がネイティブではないと分かっているから、拙い英語でも気にしません。むしろ一生懸命に耳を傾けて、画像や翻訳アプリを駆使してコミュニケーションを取ってくれ、温かい気遣いに助けられることがほとんどです。

もしあなたが現状に特に不満がないならば、わざわざストレスを感じる旅に出かける必要はないと思います。しかし、「何か新しい経験を得たい、成長したい」と心のどこかで感じているなら、旅に出ることを強くおすすめします。

旅は、自分の安全地帯から外に出て見知らぬ世界に出会える、簡単な方法のひとつです。旅は世界の「今」と「過去」を教えてくれます。

訪れる場所の現状や過去の歴史に触れて既存の価値観を崩されることで、多様な価値観や考え方への理解が深まり寛容になれます。また、世界の現状を知ることで異文化への偏見からも解放され、世の中で起きている変化にも気づけるようにもなります。

クロアチア旅行でドブロブニクを訪れた際には、美しい世界遺産の過去にある内戦の歴史を知る機会がありました。

ドブロブニクは「アドリア海の真珠」とも呼ばれ、『魔女の宅急便』の舞台にもなった有名な観光地。青い海沿いに並ぶオレンジ色の屋根の旧市街は、絵のような美しさです。

『魔女の宅急便』の舞台にもなったドブロブニク

そんなドブロブニクですが、今から約30年前にはクロアチア独立の紛争により危機遺産リストに登録された過去がありました。クロアチアの街では、壊れた建物の壁一面に銃痕が残る廃墟を見ることができます。自分が生まれた後の時代に起きていたとは思えない光景にショックを受けました。こんな体験ができるのも旅の醍醐味です。

また、旅先では大小何かしらのトラブルが起こります。移動中にスリに財布を盗まれそうになってショックを受けたり、土産物店や観光地で値段を吹っ掛けられて交渉をすることもしばしばです。

トラブルに向き合い状況判断をするという経験は、日常でも役に立ちます。旅行で大変な思いを何度も経験すると、日常で起こる些細なトラブルが気にならなくなります。

他者への思いやりが深まり、絶えず変化する予測できない未来に適応する力が鍛えられる。旅は、成長促進にぴったりのツールなのです。



大切な人が「喜び」と「成長」を感じる姿を見届けたい。

先日、1歳になった娘と2人で東北にある実家に帰省しました。約1㎏の子どもをだっこ紐に抱え、子どもと自分の荷物を詰め込んだリュックとトートバックも持ち、いざ出発。

重い足取りで何とか新幹線にたどり着き、この日のために用意したシールブックとお菓子を駆使して、子どもの機嫌をキープ。想定15㎏を抱えながらの約2時間の電車旅は、控えめに言って修行でした。

この日のために100均で買ったシールブックに集中する娘

実家で過ごした数日間で、歩き方が安定していなかった我が子は小走りで歩けるようになりました。

初めて歩く庭や畑を歓声をあげながら探検し、落ちている小石や拾ってじっと観察する。新しい発見への喜びにあふれた後ろ姿を追いかけてるうちに、ここに来るまでの苦労は吹っ飛び、「ああ、また子どもと帰省しよう」と心に誓ったのでした。


大切な人が「喜び」と「成長」を感じる姿を見届けたい。
私の新たな旅の目的ができました。

次の子連れ旅に向けて荷物の軽量化を図るべく、早速モバイルPCを軽量なものに買い替えました。移動中にオムツ替えができるスポットも調べ、旅を快適にするツールも日々チェックしています。

こんなご時世だからこそ、その時その時で楽しめる方法でこれからも旅をしたい。そして大切な人と一緒に、自分ももっと成長していきたいです。


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