見出し画像

VR ZONEは施設まるごと体験型だった

先週末に、前々から行きたいと思っていたけど行っていなかったスポット、VR ZONE SHINJUKUに行ってきました。

前日に仲間内で盛り上がって「エヴァやりたい!エヴァ!」というノリの突発で行ったのですが、体験設計の観点からみてもなかなか学びのあるものだったので、noteに書き残しておきたいと思います。

(エントランスの様子)

VR体験はインスタ映えしない

個人的なイメージで、VR体験というのは他人に共有しづらいものだなぁという先入観がありました。

基本的に三次元の体験なので、Twitterやinstagramで画の共有もできないですし、VRの体験レポートなどをみても、イメージし辛いのであまりわくわくできない。

レポートではVR体験をしている人の写真が載っていたりもするのですが、正直に言って、ゴテゴテしたゴーグルやセンサーなどを取り付けている人間の姿を見ても「なんかハイテクっぽいね」ぐらいの感想しかわかないです。

なので、個人的に「VRはめっちゃ面白いんだけど、他人と共有しづらいし、基本はひとりで黙々とやって、同じものをやった同士で初めて共有できるものなんだろうな」と思っていましたし、今までの自分自身のVR体験においても、実際にそういうものでした。

しかし、VR ZONEに行ってみて、この感覚は良い意味で裏切られることになります。

臨場感のある"VR体験をする人"

(ドラクエコラボ中なので、こんなスポットが所々に)

まずは、アクティビティを体験している人の姿が"臨場感のある形で"見えるということ。ほとんどのアクティビティでは、VR体験中の人が施設内を歩く人々から見えるようになっています。

さきほど「VR体験している人の写真が見えたところで...」といったようなことを書きましたが、実際にVR体験している人が動いていて、大声をあげたり腕を振り回していたり、笑顔になったり驚いたりしているのをリアルに体感すると、これは事前のイメージとだいぶ違うものがありました。

いわゆるロジカルな意味の情報ではなくて、ダイレクトに感情に訴える情報が大量に飛び込んでくる。

「あのアクティビティをやってるあの人、すごく笑ってて楽しそう」
「あのアクティビティめちゃくちゃ地味だけど凝ってそうだな...」
「うわーめっちゃ怖がってるじゃん!やばそう」

一周してみるだけでも、そのVRアクティビティがどういう体験になりそうなのか、想像を掻き立てられます。

これに関しては、家庭用VRで友達と数人でやった場合でもある程度似たような感覚はあるのですが、人の量も違うしコンテンツの量も違うので、情報量の違いが圧倒的でした。

特に重要だなと思ったのが、場所がどこであるかです。VR ZONEは、自宅とは違って、心置きなく大声を出したり大きく腕を振り回したりしていい場所です。そうやって楽しむ場所です。そういう意識の差からか、家庭でやるよりも皆オーバーアクションで思い切り楽しんでいるような気がして、この違いは大きいなと思いました。

実は事前に「だいたいこの辺のアクティビティが面白そうだよね」という話をして体験するアクティビティの目処をつけてたのですが、その場の"VR体験をする人"の様子を見て、かなり変更することになりました。

想像と共有がうまれる空間

VR ZONE内では、人気アクティビティは30分以上並んで待つこともよくあるのですが、待ち時間がまったく苦になりませんでした。

その理由は、会話が盛り上がって終始尽きなかったからです。

なぜ会話が尽きなかったのかというと、VR ZONE全体がものすごく話のネタを生み出し続け、かつ共有できる空間だったから。

特に象徴的だったのは、ホラー実体験室 脱出病棟Ω(オメガ)というアクティビティ。

いわゆるVRととても相性のいいホラー系のアクティビティなのですが、壁際一列にずらーっと筐体が並んでいて、プレイ画面は見えないけど体験者の叫び声などは全部筒抜けに聞こえてくるようになっています。

「うわ!」とか「めっちゃこわい!」とか「ふううううう!」とか「きもいきもいきもい」とか「こっちこっち!こっちだって!」というような声が常に聞こえてきます。

面白いもので、体験している人が違うと叫ぶこともバラバラ。そして、それを聞いた自分たちの反応も様々です。

「きっとこういうことが起きてるんじゃないか?」「いやこういうことでは?」といった想像の話が尽きません。そこに新たなパターンの叫び声が飛び込んできたりすると、「え?なにそれ?新しいなw」みたいになったり。

並び列の先頭のほうでは、スタッフの方が体験前の説明をして下さるのですが、説明の声をかき消すぐらいの音量(野太い)で「うおおおおおお!!」という叫び声が聞こえてきて、スタッフの方とその場のお客さんみんなで笑い合ったり、といった一幕もありました。

ある種、VR体験(もっと言えば、VR体験している人の様子)を媒介にした局地的なコミュニティがここに生まれてるんだな、と思いました。

またVRならではのポイントとして、VR体験をしている人はヘッドホンをつけていて視界もゴーグルに覆われていることが皆わかっているので、忌憚なく素直に反応しやすいんですね。ここで笑うと気分を悪くされてしまうかも...みたいな心配がなく、素直に笑ったり、疑問を言い合ったりできる。そういう発見がありました。

VRがコンテンツからコミュニティになった

(施設内ではフードも食べられます)

VR ZONEに行くまでは、VRに対しては「コンテンツありき」という風に無意識に捉えていた部分がありました。エンジニアの界隈にいると、技術的側面や、インターネットサービスへの活用という側面にフォーカスして語られがちだからかもしれません。

こういうことを言うとアレかもしれませんが、正直に言ってVR ZONEにあるコンテンツは常識を覆すほどのものではありません。
私もエンジニアなので、VRコンテンツには比較的親しみのあるほうですが、これまで見てきたVRコンテンツの認識を根底から覆すほどのものでは正直なかったです。

でも、VR ZONEで一番重要で面白い部分は、VR ZONEという場所の特殊性だと思います。

皆がVRコンテンツを体験していて、その様子を見て、同じ空間を共有しながら、会話をしたり、笑い合ったりして、楽しんでいる。仲間内の数人だけじゃなくて、施設全体で共有できる。こういうことは、家庭で一人でVRコンテンツを楽しんだりするのとは別次元の体験です。

VR ZONEは、VRをテーマに掲げたテーマパーク。主体はVRコンテンツそのものより、むしろその場所性にある。

そう感じた、VR ZONE初体験でした。

ありがとうございます! いただいたサポートはもれなくクリエイターさんに還元されます。