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雲上の世界・タトラ山地

「行きたい場所ってどうやって見つけてるの?」と聞かれることがある。
超メジャーな場所を除くと、私の場合はSNSなどで発見することもあるが、TVの旅番組も重要な情報源だ。
以前BS-TBSで放送されていた「地球バス紀行」という番組を私はよく見ていた。
その中のとある回で見た景色の見事さに、「ここはぜひ見たい!」と思い、実際にその場を訪れたことがあった。
今回はその場所、タトラ山地を取り上げたい。

タトラ山地はこんな場所

タトラ山地(山脈)は、ポーランドとスロヴァキアの国境に位置している山地である。スロヴァキアを象徴する山地であり、スロヴァキアの国歌及び国旗にも登場する。1949年に国立公園に指定され、避暑地としても親しまれている。

スロヴァキア国旗(国章の下部3つの山のうち一つはタトラを示している)

タトラ山地へのアクセス起点

タトラ山地への起点となるのは、ポプラド・タトリ(Poprad-Tatry)である。
首都ブラチスラヴァや第二の都市コシツェから電車でアクセスが可能だ。

ポプラド・タトリ駅

ポプラド・タトリからは、山岳鉄道でタトランスカー・ロムニツァ(Tatranská Lomnica)へ向かおう。

徐々に山岳が近づいてくるので、否応なしにワクワク感が高まってくる。

そしてロープウェイへ

タトランスカー・ロムニツァから、タトラ山脈で3番目に高いロムニツキー・シュティートの山頂までロープウェイが出ている。駅から約15分程度歩くと、スキー場にたどり着く。

訪問当時は5月であったこともあり、麓には殆ど雪はなかったが、有数のスキー場でもあるようだ。

ロープウェイは山頂に向かって登ってゆく。

そして1751m地点に到達して、ロープウェイを降りる。
しかしまだここはゴールではない。乗り換えて更に上を目指すのだ。

とはいえ、この地点でも十分に風光明媚だ。

そして天文台もある。
乗り換えに歩く間も十分に楽しめるのだが、まだまだ本番はここから、次のロープウェイで登っていこう。

いよいよ山頂へ

次のロープウェイで山頂に向かう。
途中一本の柱もなく、ロムニツキー・シュティートへ一気に駆け上がっていく。

山頂には50分しかいることが出来ないようだ。決して長くはない時間、じっくりと楽しもうと心に誓う。

ロープウェイは登る。

徐々に山頂が近づく、期待は高まるばかりだ。

頂上

そしてついに2634m地点、ロムニツキー・シュティートの山頂に到着する。
そこはまさに雲上の世界だ。

これだ、「地球バス紀行」のこの景色が見たかったのだ。
このクラスの高さの山にロープウェイだけで登れるというのは非常にありがたい。ロープウェイの料金は39ユーロと、物価の安いスロヴァキアにしてはかなりのお値段だ。しかし、十分に価値のある景色だと思わせてくれる。

特に写真を取るのに最適なのがこのスポットだ。

横から見て分かる通り、ガッツリ崖から突き出していて、

下も排水口の蓋のようにアミアミになっている。
高所恐怖症の方はやめておいたほうがいいだろう。
しかし、絶景を独り占めしたような気持ちの写真が取れるので是非カメラに収まりたい。
いい感じに映るコツとしては、奥まで行きたくなるところをこらえて、下の写真のおじさんたちのように途中で止まるのが良いだろう。
奥まで行ってしまうと、少し自分が小さくなりすぎてしまうのだ。

山の天気は変わりやすい

山頂には50分しか滞在することが出来ない。
その短い間にも天気はすぐに変わってしまう。
景色を楽しんでいた数分のうち、気づけば一気に雲に覆われてしまった。

とりあえずビールを飲んでみるが、景色よどこへ行った。

終いには雹まで降ってくる始末。慌てて室内へと避難したのであった。

この突然の悪天候のためロープウェイが止まってしまい、山頂に3時間足止めを食らうことになってしまった。もっともその日は西部の町トレンチーンへと移動するだけで、電車の予約もしていなかったので特に問題なし。50分しかいれないはずの所に長く居れたと思うと、不思議と悪い気はしなかった。

周りのスロヴァキア人達と椅子に腰掛けて待つ。時差ボケもあって、ウトウトし始めた頃、誰からともなく歌を歌い始めた。気づけば周囲は大合唱。きっとスロヴァキアでおなじみの歌だったのだろう。
足止めを食らってもその時間を楽しむ。スロヴァキア人のおおらかな気質に触れた瞬間だった。

タトラ山地のマグネット

そんなタトラ山地のマグネットがこちら。

一本の柱もなく山頂へと駆け上るロープウェイとロムニツキー・シュティートがいい感じだ。
ちなみに右のくぼみには温度計がついていたのだが、気づけばどこかへ落としてしまった。きっとベッドの下辺りにあると思うので、そのうち付け直したい。


終わりに

前回に続いて今回もスロヴァキアから取り上げたが、
スロヴァキアというこの国、誰もが知るような観光資源があるわけではない小国ではあるものの、人の優しさや景色の素晴らしさ(そして物価の安さ!)に触れ、もっと多くの人に訪れてほしいと感じた。
この旅がまた私に一人旅の楽しさを再認識させ、各地へと赴く原動力となったのであった。
皆さんにもこの小さな国の大きな魅力を感じてみてほしい。


最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
次回は、ヨーロッパを離れて東南アジアのランタンの街を取り上げられればと思います。
ではでは。

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