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「制約」があってこそイノベーションが生まれる、を素でいくアメリカの中高生

芸術作品と同じで、イノベーションも制約の中から生まれると言われる。自由に何の制約もない世界と、一定の条件で縛られた世界とではアプローチが変わるため、制約を克服するためにいろいろ工夫をするところにイノベーションは起きやすい。

スタートアップの場合はこの制約は主として人的・金銭的リソースである。しかしこれが限られているがゆえにスタートアップはリソースがある大企業では考えられないようなやり方で問題解決を図り、時には大企業のビジネスそのものを破壊するようなイノベーション(いわゆる disruptive innovation)を起こすこともある。

こちらの記事が大変面白かったので紹介したい。

The Hottest Chat App for Teens Is ... Google Docs

アメリカのティーンたちは学校の外ではSnapchatやInstagramなどのアプリやiMessageなどでチャットすることはよくやっているが、学校の中、特に授業中になるともちろんスマホも使えないので友達とチャットしようとしても通常の手段ではできない。そこで彼らが考え出したのが授業で使う Google Docs をチャットツールにしてしまうという裏技である。

アメリカの学校では Chrome Book が普及していて、Googleのアプリでレポートを書いたり、先生が宿題を出したりというのが普通に行われているので、授業中でも Chrome BookでGoogle Docsを開いているというのはよくあることだ。そしてこのGoogle Docsは他の生徒とも共有されているので、そのコメント機能を使ってチャットをするらしい。もちろん先生と共有されているドキュメントではなく、それをコピーしたものを友達だけで共有する設定にし、コメント欄でチャットしあう。先生が画面を見に来たらコメントは "Resolve"ボタンを押してしまえば一瞬で消えるので見つかることもない。そもそもSnapchatのようにチャットした内容が保存されずに消えてしまうのは前提なので、そこで消えてしまっても何も困らない。

学校だけでなく、家でもこれが使える。親が見ているところでも一見すると宿題をやっているように見えるからだ。

もちろんこういうことをやっているだけでは肝心の宿題は終わらないわけではあるが・・

インドで電気が通っていない田舎の少女が自転車を漕ぐことで動作する洗濯機を発明したり、やはり何らかの制約がある中で物事を考えるといろいろ斬新なアイデアが浮かぶものだ。まさに必要は発明の母。

Choppedという私の大好きな料理番組がある。これは与えられる3つの食材を必ず全て使う、という制限の中でシェフが料理の腕を競うというものなのだが、その3つの食材というのがどう考えても合わないだろうというような組み合わせであっても、うまくそれを一つの料理に仕上げなければならない。だがまさにそういった制限があるがゆえに時々思いもよらないような斬新な料理を作るシェフがいたりするものだ。

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社内でイノベーションが起きない、どうやればいいのかわからないとお悩みのみなさん、もしかするとチームにあまりにも自由度が与えられていたりするのでは?とにかく新しいことをやれ!とか、既存の概念にとらわれずに自由に考えろ!とか。

むしろある程度制約をつけて、その中で何が出来るのかを考えるようにした方がいいアイデアが出てくるのかもしれない。

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