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組織課題の建前と本音

組織課題というのは原因を突き詰めてゆくと、経営陣や管理職に原因があることが多いです。例えば、私が以前取引した会社に離職率の高い会社がありましたが、その原因はCEOの他責思考にあったと言えます(他責思考の人とは仕事したくない)。別の会社の例で、MVVが現場に浸透していないという課題がありましたが、その原因は管理職がMVVよりも売上向上に注力したマネジメントをしており、経営陣もそれを黙認していたためです。

しかし、CEOに「あなたの他責思考では社員が辞めるから改善してください」と物申す社員、管理職に「もっとMVV浸透を意識してマネジメントしてください」などと指摘する人はほとんどいないでしょう。人間の性格や資質に原因があっても直接指摘するのは角が立つので、臭い物に蓋をすることが多いからです。その結果、「会社の風土」「カルチャー」「成長痛」といった抽象的なものが原因として扱われます。私はこうしたスケープゴート的な原因を組織課題の建前、「経営陣が悪い」「管理職が悪い」というバイネームの課題を組織課題の本音と読んでいます。

前述の通り、こうした本音は指摘すると関係が悪くなったり、マイナス評価を受けるリスクがあるので、経営陣や管理職に物申す社員はめったにいません。仮に「悪いところがあれば何でも言ってくれ」と上司に聞かれたとしても言わない人が多いはずです。この場合、解決方法としては2つあると思います。

1つは、人事部が代わりに伝えることです。例えば営業部長に問題がある場合、人事部とは直接的な利害関係が無いため伝えやすいでしょう。ただし、人事部を統括する人間(CEOや人事部長)に課題がある場合、前述のリスクがあるので人事部から伝えるのが難しいでしょう。

もう1つの方法は、社外の人間が伝えることです。社外取締役でも業務委託でも組織コンサルの会社でも良いですが、社外の人間であれば社内の利害関係に囚われないので発言しやすくなります。ただし、社外の人間が人事部に伝える→人事部が握り潰す のようなことがあっては無意味なので、当事者に直接伝えられる場を作ることが重要です。

古代中国の唐では皇帝に対して諫言を行う役職(諌議大夫)があったようで、「貞観政要」では皇帝・李世民に対して家臣が諫言する場面が何度も登場しますが、現代の会社でそんな役職を置くところは無いでしょう。役職を置かないにしても、こういう諫言の仕組みをいかに作れるかが重要ですね。

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