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ブレストしても戦略は立てられない

会社や部署の戦略立案にブレストをやることがありますが(事前に案を作って持ち寄る方法もありますが、本質的には同じです)、このやり方で戦略がスムーズに決まったという成功体験を持つ人は少ないでしょう。その理由は2つあります。


戦略とブレストの相性が悪い理由

①やらないことを決められない

戦略とは「やらないことを決める」「捨てる」ことが重要ですが、ブレストとは周知の通り、人の意見を否定しないことが原則です。これに則ると、「Aさんの意見も良いね」「Bさんの意見も素晴らしい」と、どの意見も捨てられなくなるのです。これは以前に説明した「もったいない」精神と似ています。

どの意見も捨てないとなると、「AさんとBさんの案を統合しつつ、Cさんの案の一部だけいただき……」のような折衷案になります。これは「やらないことを決める」どころか「全方位的にやる」という、戦略とは真逆のものです。

②折衷案に対する当事者意識が生まれづらい

こういう折衷案は「皆で作った戦略」なので当事者意識が生まれづらく、「案は良いが誰もやりたくない」「リーダーシップをとる人間がいない」と、実行フェーズで問題が発生しやすいです。

一人で叩き台を作る

問題①を防ぐためには、ブレストではなく完成度の高い叩き台を一人で作ることが重要です。この「完成度の高い」というのが重要であり、「叩き台」と称して完成度50%ぐらいの粗すぎる案を作ると、皆のダメ出しが大量に出て結局ブレストのようになってしまいます。皆のフィードバックを取り入れるとはいえ、自分で完成度90%と思えるぐらいの案を作りましょう。

また、問題②を防ぐには叩き台を作った人間がリーダーとして実行責任を負う必要があります。これにより戦略だけ立てて実行を誰かに押し付けるという「立て逃げ」を防げます(逆に言えば、立て逃げしそうな人間に叩き台を作らせてはいけません)。

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