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【音色の秘密】

小さな町に、ハルカという無名のピアニストが住んでいました。彼女の演奏は町の人々に深い感動を与え、彼女の音色は町で最も美しいと認識されていました。

ある日、大物音楽プロデューサーのジョージが町を訪れました。ハルカの演奏を聞いたジョージは、その美しい音色に感動し、ハルカにレコーディングの提案をします。

しかし、レコーディングが始まるとすぐに問題が起きました。スタジオでのハルカの演奏は、町で聞いた時の美しい音色を出せなかったのです。確かに音は美しいものの、町の人々を感動させていた特別な音色はどこにも感じられませんでした。

ジョージは混乱しましたが、ハルカは穏やかに微笑み、ジョージを町の中心にある小さな公園に連れて行きました。そこには、ハルカがいつもピアノを弾くベンチがありました。

そして、ハルカは言いました。「私の音色は、この町の風、鳥たちの声、そして人々の笑顔から生まれています。それらがなければ、私の音色も存在しないのです。」

ジョージはハルカの言葉に深く納得しました。彼はその場でハルカのピアノ演奏をレコーディングし、その美しい音色を世界中に届けることができました。

そして、ハルカの音色は、その町の風、鳥たちの声、そして人々の笑顔と共に、世界中の人々の心を揺さぶり続けたのです。


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