複合体チャンネル運営・制作大手 ディスカバリー 財務分析
株の分析をしていく記事を毎日投稿しています。
今回はディスカバリー(DISCA)です。
基本情報
米国株。番組制作・チャンネル運営会社。「ディスカバリーチャンネル」「ユーロスポーツ」「アニマルプラネット」などの26チャンネルを運営。220以上の国・地域、50言語でチャンネルを展開。収益のうち65%が米国。
財務分析
損益計算書
売上高
売上高は15年間で695億から11000億にまでに成長していますが、今後もこのレベルのスピードで成長することは考えにくいです。
ですが10年平均15%ぐらいなら考えられます。
また、テレビ業界は下降業界ですがこの企業は上手くインターネットに溶け込めると思います。
粗利益
15年前まで30%だった粗利益率が65%にまで成長しました。
現CEOのデビット・ザスラフ氏が就任してから急激に利益率が上昇し、売上高も成長させたのがこの人ですので、ディスカバリーがこの規模になれたのはこの人のおかげだと言っても過言ではないです。
ヤフーの掲示板では役員報酬25億とかもらいすぎじゃね?という意見もありましたが、この人はこの企業に就任してから2兆以上の価値をもたらした人物と考えれば毎年25億は安いと思います。
営業利益
営業利益率も粗利益率と同じように
-15%だったのが25.6%に上昇しました。
15年前まで1億の赤字だったのが今では3000億も生みだしています。
安定感はそこまでではないですが、悪すぎるわけではないので大丈夫です。
純利益、EPS(1株当たり当期純利益)
15年前まで46億の赤字だったのが2000億にまでに上昇しました。
また、EPSは純利益よりも若干遅いことから、株式を新規発行して資金調達していることが分かります。
新規発行することは株主に損害が出る経営政策ですが、それ以上にその資金を上手く使って成長しているこの企業なら全然問題になるような事ではありません。
ROE
ここ10年間10%~20%で推移
今現在は20%台
PER
この企業の成長に株価の成長がついていけておらずPERは減少傾向にありましたがここ3か月で倍に株価が上昇してPER13倍から23倍になってしまいました。
貸借対照表
現金同等物
現金1500億というのは総資産33700億と比べると低く見えてしまいます。
また、ここ15年で現金同等物は250億から1550億にしか増えていません。
もちろん普通の企業と比べれば高いんですが、利益の上昇スピードと比べれば見劣りしてしまいます。
ディスカバリーはフリーキャッシュフローが毎年4000億以上出る(純利益2000億)超優良企業ですので、貯めようと思えばできる企業です。
つまり、この企業は現金をそこまで貯めずとも経営できる企業体質と言うことです。
のれん代
この企業の保有しているチャンネルの半分以上が買収で得た物なので、のれん代が13000億という巨額になるのも納得できます。
2005年に1500億だったのれん代が2019年には13000億に増えていることから買収を積極的に行う企業なのがよく分かります。
長期負債
15000億という莫大な負債を抱えており、純利益をすべて返済に使ったとしても7.5年かかるので優良とは言えません。
ですが、この企業は相当なスピードで成長していて、それを計算に入れた場合4~5年で返済できます。
内部留保
内部留保をよく知らない人のために説明しておくと内部留保は貯金ではありません。内部留保とは経費と株主に償還するお金を差っ引いたお金の合計
つまり内部留保が成長している企業は相当な収益力があり優良企業な可能性が高いです。
で、この企業の内部留保はというと15年前まで1180億の赤字だったのが今では7500億の黒字にまでなっています。
赤字を脱却した2011年から2019年までに7倍にまで成長しており、まだ7500憶なのでまだまだ成長は続くでしょう。
自己資本
自己資本は2.5倍程しか増えておらずパッと見利益を資本に変えられていない非優良企業に見えますが、資本を金庫株(自社で買った株の保有残高)に回しているだけであって決して経営者が無能だとか、負債に苦しめられているだとか、企業体質が悪いとかではありません。
この企業の財務
この企業の財務は成長企業の財務です。
この企業は負債は多いは、現金はないはと色々言われていますがそれもこれもすべて成長しているこの企業ならすべて許されます。
つまり、この企業の貸借対照表は成長するための資本配分をしていて、損益計算書の成長に頼っているので成長財務です。
※投資は自己責任でお願いします。
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