『義妹生活』第8話小考
やはり異常アニメかもしれない……。
行間を撮る、間合いを撮るということを、異常ライティングや異常空間設計といっしょにずっとやり続けているのがこのアニメの妙だと思っており、その意味では窓から光が差すところがピークで、そのピークがホットミルクの膜を掻き混ぜる描写とズレているところが、私はむしろ良いと思った。
なぜなら、「開かれ」や「聖なる瞬間」と、それが到来したということを知る瞬間はつねにすでにズレるから。いや、“汗をかいた” “冷たい” “夜中の” コーヒーの氷と対比的に、“湯気のたった” “温かい” “朝の” ミルクに膜を張らせた時点でだいぶ及第点という感じはあるにせよ。
マンション(?)の階段の照明の位置とか意味分かんないし、沙季の部屋のライトを恣意的に海の色にしてしまうことは、明らかに “文法” 的にはダメなのかもしれないが、最初から異常ライティングのこのアニメなら良いと私は思った。
沙季がベッドで “泳ぐ” ところとか、ある程度映像を見慣れている人にとっては、なんなら口説いのかもしれないけれど、反射して揺蕩う照明も相まってやり過ぎなくらいで、むしろ良いと思った。もう全部やってほしい。
最後に全方向から照明に当たる「外」に出るのは、窓から日が差すピークが終わってるので映像的には要らないのかもしれないが、木漏れ日という選択と沙季が追い越していく運動、それからED越しという飛び道具でもった感があり、でも、やっぱり追い越してゆく瞬間が好きだから私は好きかな。
で、ちゃんとカセットの伏線を回収する。これはめちゃくちゃ大事なパートだと思ったけれど、原作にはないのかしら。小林さんのお芝居が好きなので、むろん好きなパートだけれど、やっぱ両親のキャスティング、映えるなあ。
さりげなく上田麗奈フィルムでもある。ところで冒頭の沙季母の「好きな好物教えてあげる」みたいなのも、てっきり今話で回収された伏線かと思ってたけれど、違うのかしら?
とにかく、ちゃんと一貫して撮ろうという気概があって良くない? と、私は思う。今期とくに好きなアニメ。
あと、電話番号書いて勉強しないとだから、みたいなところも良かった。このアニメっぽくもある。
※引用した画像はすべて『義妹生活』第8話に拠り、権利はすべて「©三河ごーすと・Hiten/KADOKAWA/義妹生活製作委員会」に帰する。
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