2010年くらいに住んでる人

最近、出先でPS VITA版のMGSPWをはじめた。
前々から聴いているヒデラジもちょうどPWの発売前、ちょうど2009年あたりのところまで到達した。2009年当時の、PW発売を目前に控えて浮き足立つファンらのコメントに自らを重ねて、まるでこれからPWが手に入るかのようにワクワクしながらラジオを聴き、その高揚を一寸も損なうことなくPS VITAのPWを点ける。こんなにもぜいたくな遊び方はなかなかない。もちろん、ゲーム自体はひどい画質の30fpsで、いまのスマホゲームにすら及ばないレベルなんだが、それでも小学生の砌に友人らと遊んだ当時の興奮が蘇るような、鮮烈なゲーム体験としていまの僕にとっても非常に魅力的に感じられるのだ。一応、PS3版のHD EDITIONも持っているのだが、PS VITA版とではトランスファリングでデータの共有ができないため、もっぱら出先での楽しみとして遊ぶようにしている。ひととおり遊んだらPS3版に移行して、また一からストーリーを味わいたい。

やはりPS VITA版(というか携帯機版)にしかない面白さがあることは、このゲームをやっていてつとに感じるところだ。すごく手軽だし、一瞬で周囲の喧騒から隔絶したコスタリカの世界に飛び込めるというのは、他の媒体ではちょっと得難い感覚だ。箸休めしたければブリーフィングファイルズから個性的なキャラクター達の何時間にも及ぶテープファイルの数々を聴いて世界観に深く没頭することもできるし、ちょっとした史学の勉強にもなるので枯渇しがちな知識欲の充足にも一役買ってくれる。僕は一切ソシャゲの類いをやらないし、スマホゲーもほぼまったく触れてこなかった人間なので、もしかしたらスマホゲーにもこういった種の体験を提供してくれる作品があるのかもしれないが、いまのところ2010年に発売されたこのゲームをやっていれば、その手の作品に手を出す必要性は皆無だなと感じる。

とはいえ、PS VITA版がトランスファリングに対応していないのはややお粗末な点だと思う。発想じたいは2022年現在も通用する、というかプラットフォーム間のセーブデータ共有は特定のゲーマーのもっとも望んでいる要素のひとつでもあるし、先見の明があるシステムだと思うのだが、それが完全に達成されなかったのは批判すべき点だろう。やるならとことんやってほしかった。SONYの携帯ゲーム機としての最終形態であるPS VITAでそれが実現していないというのが残念でならない。リモートプレイは別途通信が発生するし、むしろこのトランスファリングにこそ通信費のクソ高い日本では未来ある技術だと思うのだが。

小島監督が手掛けるクラウドゲームは、そうした点でも先をいくゲームになるんだろうか。いまから楽しみだ。

生きるわよ