見出し画像

トゲトゲせずユルユルいこう

今日もよく寝た。暗くて寒いこの時期、寝不足は大敵なのである。さて、昨日の外出中に電話連絡が入ったので、市役所に息子とドイツのパスポートを受け取りに行く。日本のパスポートはまだ期限が先なので更新の必要はない。これで、いつでも好きなときにサッと旅立てる体制が整ったわけだ。パスポート更新のタイミングだけは、子どもたちが日独それぞれ2冊ずつ持っているので気をつけるようにしている。更新の予約も非常に取りづらくなっているからだ。

強風で風も冷たい今日はクリスマスマーケットもどこか閑散としている。市役所から徒歩圏内のマーケットで簡単に昼食を済ませる。ここの焼きソーセージは値段は上がったもののまだ長いままだった。

5ユーロ(約800円)の焼きソーセージ

クレープにしようか、焼きアーモンドにしようかと言いながら歩いていたら、焼栗のスタンドが。昨年と同じ男性が販売していたので、焼き栗を買うことにした。息子がチップを渡すために「お釣りはいいです」と言った。「あの人は昨年もいたし、なんかいい人やから」。全くその通り。彼がとても丁寧に栗を焼いていたのをよく覚えている。

焼き栗のスタンド

観覧車に乗ろうかとも考えたが、あまりの寒さと中途半端な空模様で乗る気が失せてしまった。それにしても年明けのこの時期までクリスマスマーケットが開いているとは驚きだ。

今日も相変わらずの空模様

焼き栗を食べながらクリスマスマーケットを後にし、スーパーで買い物をすることにした。鶏肉の値段を見て息子が驚く。たまに子どもと一緒に買い物をするとインフレの様子などもわかるのでいいと思う。「肉が高すぎるな、ママ。なんかビーガンとかベジタリアンになる人が増えるのもわかるな。」

いいタイミングでトラムが来たので寒い寒いと言いながら乗り込む。次の停留所でバギーを前に押しながら乗車しようとした男性がいた。操作に慣れていないのか持ち上げて乗ろうとしている。自分が先に乗り込んでから持ち上げた方がスムーズに乗ることができるのだ。困っていたので手を貸したのはよかったが、なんとその男性、なぜか運転手のキャビンをノックし、文句を言い始めたではないか。車道とトラムの高さのせいでうまく乗れなかったことを訴えているようだ。

「え、運転手に言っても仕方ないのでは?」と思ったが、女性の運転手も逆ギレして同じように怒鳴り始めたではないか。まさに売られた喧嘩を買う形である。

男性が何に対して文句を言っているのかよくわからなかったが、どう見ても外国人で助けた私に何も言わずに、いきなり運転手に苦情を捲し立てたので少し呆れてしまった。もしかすると普段から街中であまりいい経験をされていないのかもしれない。悪いことが続くと喧嘩っ早くなるのはなんとなく理解できる。

それにしても。ふと横を見ると息子は黙ってその様子を見ていた。

そして後で一言こんなことを言った。「なんで運転手にわざわざ文句言ったんかな。ママにありがとう、って言ってそれでおわりやん。まぁ、あの運転手の人もちょっと怒りすぎやったけど。あの子(バギーの赤ちゃん)は優しくなったらいいけどな。」

怒りが怒りを呼ぶ悪い例が目の前で展開されたわけだ。運転手の女性も「新年早々、なんで文句を言われなくちゃいけないのか!」とブチギレていたが、彼女の気持ちもよくわかる。夜間のバスの運転手なんてどれだけ嫌な乗客の相手をしなければならないだろう。想像しただけでもうんざりしてしまう。

少し落ち着いたのか、怒っていた男性は私に向かって「さっきはありがとう」と思い出したように言った。「いろいろあるけど、とにかく良い1日を!」と言ってトラムを後にした。

インフレを初めとする社会情勢がいろいろなところで摩擦を生み出しているのだろう。できるだけトゲトゲせず、ユルユルと歩いていたい。





サポートは今後の取材費や本の制作費などに当てさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします!