見出し画像

今日の夕方からが本番

「日曜日だから何もしなくていいか。」と昨日は近所のガンワーフ・キーズで紅茶の試飲をしたり、家族のクリスマスプレゼントを調達したわけだけれど、快晴の月曜日である今日も特に何をする、というわけでもなくただ近所を散歩をしてお腹が空いたので家でパスタを茹でている。

こんなときにふと何か哲学的な気の利いたことを言えればいいのだけれど、村上春樹の小説の主人公ではないので「この電気コンロ、火力が弱いからなかなかお湯が沸騰しないな。」と思ったくらいである。

待てど暮らせどお湯が沸騰しないので、ふと息子が帰宅している時間なのでは、と電話を入れてみた。すると珍しく元気そうな声で応答があった。「ママ、何してんの?」よくぞ聞いてくれた。特に何もしていない。

パスタを茹でようとしているが、なかなかお湯が湧かない、といったことを説明すると「もうパスタ食べたで」という返事が返ってきた。もちろん息子が聞きたかったのは、パスタがどうこうという事ではなく、イギリスで何をしているか、という方である。

「ベルリンとやっていることはほとんど変わらないけど、英語で話をしてるのがいつもと違うかな。やっと晴れたからその辺を散歩したり、ほんとは博物館にも行った方がいいんやけど、何時間も歩く元気がないねんなぁ。」久しぶりにドイツからわざわざ飛行機に乗って、イギリスくんだりまでやってきた人とは思えない。それくらい今はオフモードになっているということにしておこう。

冬のポーツマスはロンドンとは比にならないほどのんびりした港町だが、観光シーズンの夏は人でごった返すのかもしれない。クルーズ船で周辺の島を巡ったり、海で泳いだりできるビーチもあるからだ。とにかく、今回は滞在先のアパートから港を一望できるため、うちカフェが捗って仕方がないのである。

アパートからの眺め

滞在先のアパートから徒歩2分くらい(ほぼ隣接)の場所に何やら歴史的建造物が建っている。ある人の旅行記をのぞいたら「英国海軍の敷地内にある」博物館群とあって、それで入り口付近で持ち物検査をやっているのか、と納得がいった。王立海軍国立博物館という重厚な響きの博物館である。

日本から来たというその方のブログにはポーツマス滞在は1日で、ガンワーフキーズやスピンネーカー・タワー、そしてこの王立海軍国立博物館の内容が記されていて、やはり観光するならこのくらい動くべきなんだろうな、と少しだけ反省した。

王立海軍国立博物館の外壁

毎回そうなのだけれど、パリには数回行っているのにまだシャンゼリゼを歩いていないし、エッフェル塔も遠目に眺めただけ。今回の僅かなロンドン滞在も何が何だかよくわからないうちに列車の時間になってしまった。ポーツマスでもイギリス風の朝食を食べたくらいである。昔から観光が苦手なのだ。ただ、街をブラブラするのは好きなので、散歩にはよく出かける。

玄関先が可愛い

このあとまた外出するが、実は今晩のライブが今回の旅の1番の目的なのである。そうでもなければ、なかなかロンドンからポーツマスに来る機会もなかっただろう。おかげでいい発見に繋がったのだから不思議なものだ。子どもたちとイギリスに来る機会があれば、またロンドンからポーツマスまで足を伸ばして次こそ博物館を訪れてみたい。ロケハン、という意味ではよい旅になったのではないだろうか。

ポーツマスはのんびり過ごせる気持ちのいい街だった。明日はポーツマス・ハーバー駅から直接ロンドン・ガトウィック空港に向かう予定。行きの列車では乗客にこう尋ねられた。「ここはポーツマス・サウスシー駅ですか、それともハーバー?」まさかこんなところで誰かに質問されるとは思いもしなかった。

「ポーツマス・ハーバー駅ですよ。」

*タイトル写真はHMSマーボロー船首像




サポートは今後の取材費や本の制作費などに当てさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします!