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暑さと短縮授業

今年の夏休みはどこかへ出掛けるたびに決まって旅先で寒い思いをした。

それが今週に入ってから連日30度越えの夏日が続いているのだ。

小学校がようやく新学期からほぼ通常再開だと胸を撫で下ろした保護者も多いはず。しかし、ここはベルリン。Hitzefreiというふわっとしたルールがあり、暑い日には授業が短縮されるのである。

暑い日とは。何度以上、という規定はベルリンには特に設けられてはいないようだ。あくまでも各学校、あるいは担任の判断によるものなのだろう。

Schule ist Pflicht. Und der Ausfall oder das Versäumen von Unterricht muss die Ausnahme sein. Darum gibt es kein “Hitzefrei” ab einer bestimmten Temperatur mehr, sondern der Unterricht soll den Witterungsverhältnissen angepasst stattfinden. Bei großer Hitze entscheiden sich Schulen deshalb oft für verkürzte Unterrichtsstunden.
Berlin.de

「学校は義務である。従って、授業がなくなったり、行われないといったことは例外でなければならない…酷暑の際は短縮授業という形をとる学校がほとんどだ。

初日から予想通りのHitzefreinによる短縮授業。これは苦情が出るだろうなぁ、と思っていたら、案の定メールで以下のようなやり取りを目にした。

heute ist hitzefrei :) Die Kinder dürfen früher abgeholt werden.

担任の先生:「今日は暑さのため授業が短縮されます(Hitzefrei)。子供たちを通常より早く迎えに来てください。(月曜日)

Gehen wir recht in der Annahme, dass auch heute Hitzefrei ist? Heute ist es ja noch wärmer als gestern.

保護者1:「今日は昨日よりも暑いので、短縮授業になりますよね?」(火曜日)

ich hoffe doch sehr, dass heute KEIN 'Hitzefrei' festgelegt wird!
Wir hatten uns gestern darüber bei der Schulleiterin Frau lott beschwert. Meiner Meinung nach, sollte alles unternommen werden, damit im Rahmen der zweifelsfrei notwendigen Pandemiebestimmungen endlich wieder so viel Präsenzunterricht wie möglich stattfinden kann.

保護者2:「短縮授業にならないことを強く希望します!先日、そのことについて校長に苦情を言いました。必要最低限のパンデミック対策以外はできるだけ多くの対面授業が可能になるように尽力すべきだというのが私の意見です。」(火曜日)

こんなに暑いと短縮授業だよなぁ、やれやれ。と半ば諦めのような気持ちでいたが、すかさず学校長に苦情を申し立てる保護者の存在を忘れていた。日本でもドイツでも教育熱心な親というものは存在するのである。

この父親だけではなく、恐らく同じような苦情が相次いだのであろう、学校から戻った息子に聞いたら「昨日より暑かったのに、授業は最後まであった。」とのこと。

主張すれば通るというドイツならでは。今回は学校側の対応も早かった。コロナによる休校が続いたこともあり保護者側の苛立ちを考慮した対応である。

ただ、長女の学校からも同じような内容のメールが担任から届いていたが、こちらは保護者からの苦情なども全く無し。学校から戻った娘に聞いてみると思った通り、短縮授業になっていた。

このように小学校によって全く対応が異なるのもベルリンらしいな、と思う。一斉に右にならえ、ということを避ける傾向にあるドイツらしい、とでも言えばいいのだろうか。

*タイトル画像はみんなのフォトギャラリーからvoice_watanabeさんの写真をお借りしています

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