『オオカミ系のグリム童話part1』

オオカミ4匹が集まって話し合っていた。

狼1「で、結局、ブタが作ったレンガの家
   の煙突から家に入ったんだけど、
   火がついてて、
   お尻が焦げてすげー痛かったんだよ。」

狼2「いやいや、俺なんか、
   子ヤギを7匹食べたまで
   はよかったけど、
   母ヤギに腹切られて石詰められて、
   まじできつかったんだよ。」

狼3「あ!俺も腹に石入れられた!
   赤ずきんの子供と年寄りの代わりにさ!    
   で、しんどくて水飲もうとしたら、
   川に沈んで死んじゃったんだよ。」

狼2「うわ、お前のラストえぐいな。
   原作版?」

狼3「どういう意味?」

狼2「いやわかんないけど。なんとなく。」

森の中は、
オオカミたちの声しか聞こえなかった。
三匹を、ヤギ狼、ブタ狼、赤ずきん狼とする。

赤ずきん狼「まぁまぁ、とにかく、
      俺たちオオカミって、
      嫌な役回りだよな。
      最後は悪者として退治されちゃう
      っていうかさ。」

狼4「そうかもな。」

ブタ狼「お前は?
    どんな嫌な目にあわされた?」

狼4「俺は嘘つき少年のいる
   村の家畜を全部食べた。
   うまかったなぁ。」

ヤギ狼「ズルくね?」

ブタ狼「お前、きたねぇぞ!」

赤ずきん狼「ゆるせねぇ!」

狼4「いや、そんなこといわれもさ。」

言い合いになる4匹。
ここから話は、狼4:少年狼が軸になっていく。

ヤギ狼「痛い目にあわず、
    肉にありついたって、
    どんだけうまくやったんだよ。」

ブタ狼「レンガの家を壊せるほどの
    パワーがあるのか?」

赤ずきん狼「変装の達人なのか?」

ヤギ狼「とてつもない嘘つきなのか?」」

少年狼「いや、普通に。」

ヤギ狼「普通に!?ありえねぇよそんなの。」

ブタ狼「俺らがバカみたいじゃん。」

赤ずきん狼「コツを教えてくれよ。」

少年狼「ほんとに何もしてないから。
    あ、でも、しいて言えば、
    噓つき少年のおかげかもな。」

ヤギ狼「さっき言ってたな。
    噓つき少年のおかげで
    平然と村に入れたって。」

赤ずきん狼「わかったぞ!」

ブタ狼「どうした?」

赤ずきん狼「嘘つきが本当のことを言っても、
      信じてもらえないんだよ!
      だから嘘つき少年には良くない
      ことが起こった。
      この話からは、
      そのようなことが学べるんだ!」

ヤギ狼「なるほど。」

ブタ狼「なんてタメになる話なんだ。」

少年狼「じゃあ嘘はつかない方がいいってことだな。」

赤ずきん狼「いや、そうじゃない。
      嘘をついた結果、
      徳をしたやつがいる。」

少年狼「俺の事か?」

赤ずきん狼「誰かに、
      先に悪いことをさせる。
      そうしたら俺たちオオカミが
      得をする結果になるんだよ!」

ブタ狼「・・・俺、リベンジしてくる!」

ブタ狼は、一週間、何も食べなかった。
そして三匹の子ブタのもとへ戻った。
三匹の子ブタは、
レンガの家で仲良く暮らしている。

ブタ狼「おい子ブタたち!」

子ブタたちは驚いた。

長男ブタ「おいオオカミが来たぞ!」

次男ブタ「どうする!?」

三男ブタ「このレンガの家にいれば安心さ。」

ブタ狼は、かまわず叫び続けた。

ブタ狼「頼む、腹が減ったんだ。
    もう悪さはしないから。
    食べ物を恵んでくれ。」

ブタの兄妹は、ずっと窓から様子を見ている。

長男ブタ「嘘に決まってる!」

次男ブタ「僕たちが外に出た瞬間に
     食べられるぞ。」

三男ブタ「無視しよう。」

ブタ狼は哀れな声で叫んだ。

ブタ狼「そんな、
    このまま俺を見捨てるというのか。」

ブタ狼は、嘆き、その場で立ちすくんだ。

長男ブタ「かわいそうなことしたね。」

次男ブタ「でもしょうがないよ。
     このドアは絶対に
     開けないようにしよう。」

三男ブタ「さ、気にしてもしょうがない。
     焼いていたケーキでも食べながら
     オオカミが死ぬのを待とう。

暖炉を見ると、火はいつの間にか、ごうごうと燃え盛り、テーブルや椅子に燃え移っていた。

長男ブタ「目を離したすきに、火が!」

次男ブタ「逃げよう!」

三男ブタ「でも、外にはオオカミが!」

三匹のブタは、
大きなレンガの窯で燃やされた。
逃げられもせず、ただじっくりと。

ブタ狼「俺を見放したからだぜ。」

すべてはブタ狼の策略だったのだ。
煙突から木を投げ入れ、火を育てる。
あとは、オオカミとして、外で待つ。

このままなら、
三男ブタがまたなんとかしたかもしれないが、あえて空腹の俺を見捨てさせ、
裏切らせたところで行うことによって、
その可能性は消える。
なぜなら悪いことをしたやつがひどい目にあうからだ。
俺はこれをグリムパワーと名付ける。
ブタを食べながらブタ狼はにやにやと
笑っていた。

ここから、オオカミたちの逆襲が始まっていく。

~おわり~

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?