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アニメ虹ヶ咲 第02話の感想 新しいラブライブの萌芽

 第01話に続いて今回も視点ごとに感想を書いてみました。虹ヶ咲のツートップの1人中須かすみ回のため言葉として整理できず見送った部分もありますが、今回も視点ごとに記してみます。

作品単体として

 『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』廃部の背景と今後あるべき姿について、主に同好会を取り戻そうと動く中須かすみを中心に描かれました。1人1人の大切にしたいことと目指す方向が違うと提示され、その姿に寄り添える同好会を作っていく話へと向かっていきます。つまりはストーリーのコンセプトを決めた回です。

もう少し深掘りすると物語は折り重なるように進んでいます。
 ・スクールアイドル同好会を取り戻そうとするも「大切にしたいこと」と「押しつけない」の両立に悩む中須かすみ
 ・自分らしい表現(「かわいい」)に気付いて自己紹介を仕上げる上原歩夢
 ・かすみに手を差し伸べ新しい同好会像を提示していく高咲侑
 ・エマの相談を受け同好会の面々を集めながら優木せつ菜に廃部の事情を聞きに行く朝香果林
 ・生徒会長としての姿を貫く優木せつ菜
 ・一緒にいる日常描写を貫いている宮下愛と天王寺璃奈

とりわけ蚊帳の外にいるのが愛と璃奈です。この2人が物語に加わるまではもう少し時間がいるのでしょう。次では心に留まったトピックを3つ挙げます。

かすむワンダーランドを探す新たな始まり

 中須かすみにとって同好会は自分の「かわいい」を原動力にした理想(ワンダーランド)へ行ける道しるべであり居場所でもありました。だから彼女はプレートを強引にも奪い返し、自分から部長となってプレートを書き換えます。

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その行為の代償として活動中は学園に近寄れないと話す彼女は、流浪するかのように部室を求め有明から対称的な場所にある潮風公園に辿り着きます。侑と歩夢を同好会に引き入れたかすみが勧誘のための早速動画を作るところからも、彼女のひたむきな姿を窺い知れます。

 しかし、レクチャーの中で上原歩夢がかわいさを見失っていく姿を目の当たりにします。自分がせつ菜に覚えた押しつけられた気持ちをせつ菜にもやっていたこと、そして新しい同好会でも歩夢に同じことをしていること。同じ過ちを繰り返しそうな部長は悩みます。

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そこに侑が手を差し伸べ、1人1人が持つ「一番大切にしたいもの」を尊重しながら叶えていくやり方を探していくことになります。押しつけではない自分の言葉で自己紹介をやりとげた歩夢を合格と認め、「かわいい」と「かっこいい」が同居できる新たな場所を求めて学園の外から3人で動き始めます。一度はかすんだワンダーランドへの道が新しく作られ、侑の助言と歩夢の自己紹介は悩む部長の背中と同好会再建を後押して物語は幕を下ろします。

同じ「かわいい」と違う「かわいい」

 せつ菜とかすみの衝突は「かっこいい」と「かわいい」で分かりやすい図式でしたが、歩夢とかすみのズレのルーツは単語では同じ「かわいい」でした。

「かすみん、最強にかわいいスクールアイドル同好会にしてみせますから」「かわいい・・・だったらやろうかな」

しかし、当然のことながら2人が思い表現したいかわいさは違っているもので結果的にかすみに押された歩夢がかわいさで悩むことになります。アイドルにとって避けて通れない単語を通して目指すことの違いを表現していく流れは、今後の展開の礎になる話でした。そして違う「かわいい」を受け入れつつも譲れない「かわいい」をきちんと言ってのけるところが中須かすみらしさなのでした。

楽しいし、かわいいと思います。(中略) でも、歩夢先輩。どんなに素敵な同好会でも世界で一番かわいいのは、かすみんですからね!

中川菜々とメガネ

 物別れの当事者だった中須かすみが過ちに気付いた一方で、優木せつ菜はどうやら中川菜々が正体であると果林達に突き止められます。

そこで改めて第01話の言動を振り返ってみると、彼女のメガネはたびたび目(表情や思い)を覆い隠して窺い知れなくなる表現として用いられてるのが面白いところです。第02話の終わりではレンズの奥に秘めた表情をひときわ目立つように描かれます。

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スクスタなどの別世界線と比較して

 スクスタではキズナエピソードが個別回のような扱いになっているため、概ねあなたとかすみの1:1ストーリーで進んで行きます。それはそれでキャラクターを知る意味ではとても良いのですが、ある意味箱庭のようで横の広がりがあまり感じられませんでした。

一方のテレビアニメでは個別回のような立ち位置でありながらも他のキャラクターを介したやりとりがあります。広がりを持ちつつ楽しめるのが良いですね。スクスタでは部室をもらえなかったワンダーフォーゲル部がパワーアップして奪い返しに来ると思っていたら本当に奪い返していてツボでした。

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相変わらずネタの仕込み方が巧い。

他のラブライブ!シリーズと比較して


コンセプトを決定づけた回

 抱え込んでいることや思い込みを浄化してグループに入り1つの目的へ全力で走っていく。そんな歴代テレビアニメシリーズの枠組みは2話でも崩されて行きます。

自分なりの一番をそれぞれ叶えるやり方って、きっとあると思うんだよね。探してみようよ。それに、その方が楽しくない?

そしてかすみも歩夢回と同様に自ら問題・課題に向き合おうとしますが、2話ではそんなかすみに侑が手を差し伸べて新しい同好会の枠組みが決まっていきます。いよいよ10人目が同好会の物語を動かしていくようです。そうして全員が集まった先で一体どんなストーリーを描いていくのかが作品としてのアニメ虹ヶ咲の正念場となるでしょう。

デフォルメ顔が復活したラブライブ!

 μ'sでたびたび見られたデフォルメの強い表情はAqoursで一度封印されましたが、虹ヶ咲では1話以来多用されるようになりました。表情にメリハリが付く一方であざとさが隠せない面もあるので、今後どうなるか個人的に気になっています。

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廃部を決めたせつ菜が考えていそうなこと

 廃部を決めた理由は第03話で描かれると思いますが、9人の中でひときわ大好きを歌にして他人の好きなことを尊重しようとする姿勢にはヒントがあるように思います。彼女なりにファンの皆に楽しんでもらおうと頑張ってきたのに、実は好きを奪ってしまった。そんな自分にもう大好きを歌う資格はない。予想を裏切ってもらいたいと思いつつ、今はそんな感じがします。

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 スクスタでの中川菜々生徒会長は親からの言いつけとスクールアイドルを続ける両立を図るための戦略でしたが、今のところテレビアニメでは正体を隠す設定と追及を逃れるために描かれています。その上で他媒体を知っている身から言えば、今の中川菜々の姿は優木せつ菜を失ってもう1つの自分に籠もっている姿のようにも見えます。

とはいえせつ菜本人にとって万全と全く言えないライブであっても、それに突き動かされた侑と歩夢。そして間違いに気付いたかすみ。正体を暴いて聞きに行った果林達の道とどこで交わるのか分かりませんが、3人の気持ちはおそらくスクールアイドルを辞めたせつ菜を再び揺り動かすものになるのでしょう。

舞台で比較して

2つの2020年に翻弄される舞台・お台場

 今回ライブステージで登場した潮風公園はオリンピックの大型仮設会場があるために閉鎖中です。いわば巡りたくても行けません。他にも台場公園などがオリンピックに向けて閉鎖されていましたが、延期により徐々に再開放されて今に至っています。

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そして今年は感染症も相まって地元のライブは配信になり、アニメ虹ヶ咲のクライマックスを迎える年末のコミケもなければレインボー花火もありません。駅や商業施設ではアニメ虹ヶ咲の広告やポスター掲出が始まりましたが、いわば、あったはず/できていたはずのことがない/できない状態で放映が進んでいます。

そんなない尽くしが実状だったりしますが、今は放映されるアニメを精一杯楽しんで生まれた新しい景色を楽しむことに専念していきたいです。来年のオリンピック開催に向けて再び春先から入れない場所は増えると思います。舞台巡りは後悔の無いように...。

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気に入った風景カット

13号地公園記念碑

 現在のお台場一帯は1960年代に埋め立てられ13号地と名付けられていました。そして港区・江東区・品川区で帰属を争う紛争が10年以上続き、1982年に台場・青海・東八潮で分けられます。この記念碑は潮風公園の名前が付く前に作られたものでした。虹ヶ咲で13号地の名前を見られる一部が映り込んだのはお台場について調べていた人間には沁みるカットです。

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THE SOHO Odaiba

 船の科学館から南へ行ったところにある住宅を兼ねた建物がこちら。実物はカラフルに塗り分けられていますが、そこを敢えてモノクロにしてニジガクのタイを引き立てる贅沢な使い方が印象的でした。

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ウェストプロムナード

 ウェストプロムナードの中でも南端のテレコムセンターに近い場所。ここは人通りが少なく臨海副都心の中でもとりわけ静かな時間が流れている一帯です。緑が多くイメージカラーが合うエマちゃんがいるのはとても自然なチョイスで好きです。テレコムセンタービルに反射する光や夕陽がとても綺麗なのでカメラを片手に試行錯誤したい場所のひとつです。

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