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コミュニケーション能力

僕は人と話すのが得意じゃない。
最初は女性と話すのが苦手だと思った。
男兄弟の真ん中だし親戚の女性くらいしかまともに話してこなかったし、学校の女の子も友達を介さないとどもって喋れない。
と理由を雑に並べて子供の時は言い訳をしていた。確かに女性と話すのが苦手なのは間違いないがそもそも人と話す事自体が苦手なんだと社会に出てから気付かされた。

僕は看護師を生業としている。
療養上の世話と診療の補助が主な仕事内容だ。(Wikipedia参照)
この仕事をしていると様々な人と関わる。看護師・医者・リハビリ・患者さん。年齢もバラバラだ。比率で言えば女性が多い。
さっき述べた通り女性との会話は苦手だったが看護学校でもマイノリティーだった男性側だったのもあってある程度話せる、働いていれば必要最低限の話す技術は嫌でも身につくもんだろう。と思った。

けれどそう上手くはいかなかった。まず患者とのコミュニケーションにつまづき嫌われて入職して3ヶ月で7キロ痩せた。医師や同僚とのコミュニケーションエラーで思っていたより仕事がスムーズに出来ない。これまで同年代・同じ志を持った仲間という要塞を様々な年代・職種・その人のバックグラウンドが荒波のように押し寄せて決壊させた。
社会とは思っていたよりコミュニケーション能力が重要だと認識した。そして女性とか関係なかった、僕は人と話すのが苦手な人見知りだった。

人見知りなだけで人が嫌いなわけではない。
だから人と話す努力はしていた。
お笑いが好きだったのもあってなるべくオチのある話を準備したり、相手からの返事も予想してその回答も準備したりする。
しかしいかんせん結果は乏しいのだ、緊張しいは人と会話するときに目が合わない、人の顔を見て話せていない。ちゃんと見られると緊張して上手く話せない、汗が大量に噴き出てくる。
顔から火が出るという表現、あれは本当なんだよなと思うほどだ。

話しかける前にオチまでの流れを頭の中で反芻してタイトルマッチ並みの緊張感で話しかける。そんな臨戦態勢の会話を一体誰が楽しんでくれるだろうか。
本来の会話は言葉のキャッチボールだ。
僕は自分のことばかり話して相手に関心を持たない、話題を引き出すことができていない、まるでキャッチボールが成立していない。
「相手と話すときは相手の目を見て話しましょう」
小学校でも教えてもらえそうな教養に大人になって社会に出てぶつかるとは。

僕の周りにはコミュニケーションモンスターがやたらといる。
裏表なく快活に笑うやつ、豊かな才能と魅力で人を惹きつけるやつ、僕くらい人が苦手なくせにイエスマンすぎる優しいやつ、人の幸せを泣いて喜ぶやつ。
どれもが自分にはない魅力で嫉妬する。羨ましいのだ彼らが。

比較してもいいことがないのは承知しているが考えすぎて自己嫌悪に陥る性格は以前書いたとおりだ。

今でも正直フリとオチは考えるし、下は向いてる、汗も止まらない。
個性だと割り切って多少は諦めることも年齢を重ねて身についてきたつもりではあるが本質はそう変わらないのだと思う。
18歳のバイト時代もなるべくコミュニケーションを避けるため接客するホールじゃなくキッチンを選んだくらいだから。
少しずつ歩みを牛歩でいいから進めていきたいと思う。

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