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社内ニートは楽じゃない

社内ニートになったことはありますか?

私はあります。
諸事情により、今までやっていた業務がなくなり、手持ちの仕事がゼロになりました。

「だらだらして給料が出るなんて最高じゃん!」

と、当初は思いました。
現実的に言うと2日間くらいは思っていました。

社内ニートの一日を見てみましょう。
とりあえず始業時刻までに出社し、出勤ボタンを押します。

それからとりあえずメールや社内チャットを立ち上げ、
新着がないかチェックをします。
一斉送信のものしか来ていないので、一瞬で終わります。

それから、暇な時間の始まりです。

他の人が忙しそうにしている中、私は何もすることがありません。
あからさまにサボるわけにもいかないので、とりあえずPCを見ています。

あーこの業務はこんな風になってるんだなあ、
なんて思いながら。

しかしながら、自分に案件は舞い込んできません。
席が近い人に「今日、時間が空いているので何かあればお手伝いしますよ」と声をかけてみます。

ですが何もありません。
本当に何もないのです。

私が入っているチャットグループで、私以外の人たちで会話が盛り上がっています。
ですが私にメンションがつくことはありません。

「あなた、暇?それならこれをお願い!」
と、言われたのは書類のホチキス留めでした。

ホチキス留めが嫌、というわけではないんです。
でも、こういうことがやりたくてこの会社に入ったわけではありません。
声を上げてみましたが、上司は「検討するから、待って」の一点張り。
ええ…このままでは私自身はスキルアップどころか、腐っていってしまうよ…
などと思いながら、私はホチキス留めをやる。
丁寧に、やる。
真面目だけが取り柄なんだから、言われた指示は、しっかり守らなきゃ。
守るけど…このままくすぶっていたくない。
そんなことを思いつつ、けれど何もすることがない…

「しんどい」

ぽつりと私はつぶやきました。
誰にも聞こえないくらいの声で。

そして、席を立ちトイレに行きました。

そして、ボロボロと涙を流しました。
何が悲しいのかも分かりません。
けれど、涙は止まりません。

楽な仕事ではあります。
ホチキス留めをしているだけで、知識もいりません。
それなのにお給料はもらえる。
最高の環境です。
なのに…涙が止まらなくなったのです。

いま考えると、「何も期待されていない自分」が悔しかったんだと思います。
他の人は仕事を任されているのに、私は情報すら共有されていない。
会議の日程だけ送られてくるのに、資料にはアクセス権限が付与されていない。

初めのうちは、「アクセス権限を付与してください!」などと、
自分の権利を主張していました。
ですが、もうそれにも疲れてしまっていました。
いつも、「私はここにいるよ!仲間に入れてよ!」と大声で叫ばなくてはなりません。
これって、案外疲れるんです。
だから、次第にやる気が削がれてしまいます。
「どうせ私なんていらないんだ…」と感じてしまいます。

けれども、お給料をいただいている以上、私は仕事をしなければなりません。
その想いはあるのですが、仕事が回されないのです。

「おはようございます」と挨拶をして
「お疲れ様でした」と帰宅する日々。

これ、たまにならいいんです。
けど、ずっとだと辛くなるんですよ。

ぜいたくな悩みだ、と思われるかもしれません。
確かに、猛烈に仕事に追われる生活よりはいいかもしれません。
ただ、実際にその状況にならないと、その悩みの本質を理解するのは不可能です。
個人的にですが、以前かなり忙しい仕事をしていた時と社内ニートの時を比べてみると、
「どちらもとてもしんどい」という感想にいきつきます。
しんどさの種類が違うので、うまく比べることができません。

ただ、確実に言えるのは、どちらもしんどいということ。

それから完全な社内ニート期間は脱したものの、この期間を経験してしまったことにより、
会社全体に何となく不信感を抱いてしまうようになりました。
「私なんて、どうせ会社のお荷物でしょ」という気持ちが、常に心の片隅から消えないのです。
誰が悪いというわけではなく、会社全体に惑いを覚えてしまったのです。

これ、会社としてはかなりマズいと思います。
常に不信感を持った社員を抱えていることになるのですから。

今の仕事にやりがいは感じています。ですが、絶対にこの会社で働きたい!というような気概が私にはありません。
そんな気持ちがなくても、日常業務では困らないので、淡々と仕事をする毎日です。
ですが、仕事をとことん突き詰めることができなくなるような気がします。
具体的な例が出せないのですが「ここぞ」という時に私は会社を簡単に捨ててしまうと思います。
これは間違った洗濯ではありません。
ですが、お給料をいただいて働いている人間としては、少し寂しい気もします。

せっかく今まで積み重ねてきた経験や知識が生かしきれない悔しさ、
助けを求めたのに後回しにされる虚しさ、
それを知ってしまっては、いくら今がよくても「会社のために頑張ろう」とは思えないのです。

今の私はいわば「会社に飼い殺しにされている」とも言えます。
そんな自分が嫌だな、いつか絶対、自分を活かせる環境に飛び込みたい。

そう、虎視眈々と「その時」を狙っているのです。

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