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なぜ、未亡人は美しく見えるのか? Chapter 2 「会社・お店・施設」の驚きの「色」仕掛けを解明する(8)

改装に失敗したお店の話

改装に失敗したお肉屋さんの話

肉屋さんを舞台にした有名な話があります。
ある肉屋さん。もっとお客さんに来ていただき、多くの売上を上げられるように、古くなったお店を明るくリニューアルしました。
壁は人を安心させる柔らかいクリーム色に統一。お店全体はその目的の通り、見事に明るい感じに変身しました。しかし、なぜかその日を境に、お客さん自体は以前より多く来るものの、売上の方はガタッと下がってしまったというのです。
実はこれも、先ほどお医者さんの手術着のところでお話した「補色」が原因です。
お肉屋の店頭で美味しい肉といったらどんな色のでしょう。もちろんそれは、鮮やかな赤い色をした、いかにも新鮮そうな肉です。
ところがこの肉屋さんは、店内を明るくしたいと考えるあまり、店内をすべて「クリーム色」にしてしまいました。
クリーム色の補色は「青紫」です。つまり明るいクリーム色の壁の色を目にしていたお客さんが、いよいよ商品の肉に目を移したとき、そこには「青紫」の残像が残り、せっかく新鮮な赤い色をした肉が、すべて腐ったような色に見えていたのです。これでは、いくら良い商品を並べても売れません。

反対色(補色)効果は「引き立て」の基本

ただ、こうした知識を少し知っていますと、逆に補色を使った効果的な演出も可能となります。たとえばサラダがその典型です。
緑のレタスに、赤いトマトを配置する。ただコレだけで、そのサラダが緑一色のときに比べて、グッと立体感溢れ、美味しそうな存在になるのはご存知の通り。特に色の知識がなくとも実行されている方も多いでしょう。
肉やお刺身などに、必ず大葉など緑の葉が添えられているのも、とても効果的です。お肉屋さんのショーケースでも緑のパセリなどが配置されて、赤(この場合は赤いほど新鮮)が際立つように演出されています。

赤いバラの花と葉の関係やクリスマスの演出なども、非常に効果的です。
実はこれ、すべて補足の効果を巧みに使ったものなのです。
「赤」と「緑」の2色は補色の関係にあります。
するとどうなるか。
緑のレタスを目にして、「赤」の残像を溜め込んだ人がトマトを目にすると、そのトマトの赤い色は、もともとの色と残像が組み合わさり、余計に鮮やかな赤となるのです。
そして正反対の色同士は、お互いを引き立てる効果もあります。
簡単なことなのですが、見事に残像の効果を利用していたわけです。先にトマトを食べてしまった後のサラダが、少しだけ古びて美味しくなさそうに感じるのも、実はこのためなのです。
もう一つ例をご紹介しましょう。
牛乳のパックの白地に青いライン。よく目にする取り合わせです。
実はこれも補色の効果がきちんと計算された上での配色なのです。
「青」の補色は「クリーム色」。牛乳を手にとった人は、この効果によって白地を見ているとき、残像によって無意識にクリーム色を見ていることになります。
クリーム色を感じながら牛乳で連想することといえば、濃いお乳ですね。青い線を見ることで、何となく濃い牛乳を買うような意識を持っていたというわけです。
もちろんこうした関係は、顔色とファッションにも大いに影響してきます。自分の顔色が、ある色を着るとどうも元気がなさそうに見えてしまう。この原因の一つが服の色の聖である可能性は大いに考えられます。そんなときには、違った服の色をぜひ試してみましょう。


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