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私家版 ロックかるた 「む」
どうしても欲しくて、でも売っていない。だから、自分で作ってしまった「私家版 ロックかるた ブリティッシュ・ロック編」。
世界にたった1セット。
![](https://assets.st-note.com/img/1717029743721-MqVEC3tOjb.jpg?width=800)
リンゴのドラムは真似できない。
『ヘイ・ジュード』のレコーディングのときの逸話です。
リハーサル中にリンゴがトイレに立ちました。
メンバーは気づかず、レコーディング開始。
帰って来たリンゴ、いきなり完璧なタイミングでインします。
これはいい。これ、採用です。ポール、納得。出色の出来でした。
遅れたら遅れたで、いいタイミングですっと入っていける。
軽ーいタッチで、ごく自然に。無理しません。
リンゴは練習嫌いなようで、「5分もすると飽きる」と言っています。
スコア譜でリンゴのパートを見ても、難しいところはありません。
また、リンゴはその時々の自分のフィーリングで叩くので、無理して難しいことをひねり出すこともない。
だから、練習は嫌い、する必要もない。だいたい、叩くたびに毎回違うんだから。
だけど、だけどなのですが、多くのドラマーが口をそろえます。
あのリンゴの独特のニュアンスを再現することは並大抵でない。できない、と。
なんだか、違うのです。
聞けばすぐに、あ、リンゴのドラムだって、わかっちゃうのです。
左利きで右利き用セットのドラムを叩いているってだけじゃない、微妙な違い。
なんか、タイミングが、ずれてるんじゃない?
ソロやらないし。タムが1個しかないセットなんて。
やっぱり、下手クソなんじゃない?
そんな誤解を持たれていたこともありました。
似たようなドラマーに、チャーリー・ワッツがいます。
彼も、特に難しいことをするわけではありません。
たしかにちょっとした手癖はありますが。
しかし、なんだか真似できない。なんだか独特。その味わい。そのニュアンス。
キース・リチャーズが、「チャーリーでなければストーンズではない」と語ったことがありますが、まさにリンゴもそれです。
『レイン』『ストロベリーフィールズフォーエバー』あたりのドラミングは神がかっています。
こんな感じに叩いてみてね、という作曲者の意図を完全に理解し、まさに「外さない」選択でリズムを刻む、グルーブを生み出す。
何も足さない、何も引かない。『レイン』のベースとドラムの絡みは本当に傑作です。
昔々、TVを見ていたら加藤和彦さんがビートルズで一番好きな曲は何?と聞かれて「レイン」と答えていました。「わー、やっぱ加藤和彦はわかっているぞ」と変に納得したことを覚えています。
(つづく)
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