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春の味、ははの味


毎年、春になるとスーパーで見かけるフキ。
離婚してからは一度も手にした事がなかった。
理由はとくにない。
敢えて言うなら面倒だったから(^^;

今年もスーパーでフキを見かけるようになった。
そして今年は何となく買ってみた。


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長いままだと持ち帰りづらかったので輪にしてしまった。
フキは見事にカーブしたまま(^^;

鍋に入る長さに切って、下茹で。
その後、皮を剥く。
手で端をつまむと、ペロ~ンとバナナの皮のように剥けるのだけど、昔はこの作業のあとはフキの灰汁のせいで指先が茶色になっていた。
娘と二人で剥いたので、量が少ないせいだったのか指先は茶色にもならずあっという間に終わってしまった。


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あとは一晩経ってから食べやすい大きさに切って煮るだけ。


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フキだけで煮ようと予定していたけれど、娘に聞いたらコンニャクも一緒がいいと言うので、ついでに油揚げも加えて完成!


タイトルに「ははの味」と書いたが、実母は一度も作ったことはない。
2年ほど前に他界した元夫の母、義母に教わったものだ。

田舎だったので近所から季節の野菜を頂くことが多くて、フキもそのうちの一つだった。
自宅の庭にも少量あって、頂き物と合わせると下茹での画像の大鍋の半分強程の量になる。

フキはあちこちの家からワンシーズンで2~3度頂いていただろうか。
そのたびに義母が下茹でをし、茶の間の座卓に座って色々な話をしながら皮剥きをしていたことを思い出した。

子供のこと義父のこと元夫のこと、ご近所の噂話・・・

フキだけではない、季節ごとに野菜は異なれど何度も座卓に向かい合わせで座り下ごしらえを二人でしたものだ。

今思い返すと、私の作る料理の味は実母の味より義母の味に近い。
今日のフキも娘に「おばあちゃんの味に近い」と及第点を貰えた。
未だに煮物は義母の味とそっくり同じにすることはできない。
微妙に違うのだ。

同じ材料、同じ調味料を使っていてもやはり義母の煮物の方が美味しい。
料理ってそういうものなんだろう。


念の為に補足をしておくが、実母も料理はそこそこうまい。
実母も田舎の人なのでこじゃれた物は作らないが、実家にいる時にはほとんど一緒に料理を作らなかったので実母の味を受け継げなかっただけだ。

唯一、餃子は実母から教わっているが、それも我流にアレンジされていて実母のそれとは味が違う(と思っている)。


今夜は食卓にフキの煮物が並ぶ。
コンニャクと油揚げの分量ましされているので明日も楽しめるだろう。


お義母さん、あなたに教わった料理、作りましたよ。
「よくできた。美味しいよ」と言ってくれるといいけれど。




2020/4/18  vol.15  yunta🍀



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