言葉は刃物

私には10年経った今でも忘れられない台詞がある。
もちろん悪い意味で笑
気分が落ち込んだ時に芋づる式に思い出し、当時の悔しくて悲しくてやるせない気持ちを鮮明に体感できる。
看護学生時代に実習指導者(看護師)と教員から言われた言葉だ。

「そんなに辛い?」
「もしかしてそんなひどい顔で患者さんと話してるの?患者さん不安になるわよ。」

というもの。
どうしてこんなに心をえぐられたのか振り返ってみよう。

看護学生1年目、冬休み後にあった5日間の実習でのこと。
ちょうど父が亡くなった心労で胃腸炎になってしまい、食事が全然取れなかった。
実習前に2日間テストもあったが、体調不良で欠席したため再試扱いになった。
実習だけは行かないと進級に関わると思い、弱った身体を起こして何とか参加した。

さて、過酷スケジュールの始まりだ。
実習終わり記録を見てもらった後に技術チェックを行い、再試を受けていたため帰宅は21時頃。
そこからお風呂に入り、残りの記録を済ませて寝るのは4時〜5時。
体力的にもギリギリの中、メンバーのひとりと受け持ち患者に行う足浴の打ち合わせをしていた。
するといきなり指導者が入ってきて、私の方を見ながら「そんなに辛い?」と呆れたように言ってきた。
体調を崩していることは指導者には報告済みだから無理はしないようにと、クラスの担任から言われていた。
もちろん父親が亡くなった経緯も含めて伝えていたはずだ。
体調を心配しているというより、「(親が死んで)そんなに辛い?(甘えるな)」という風に聞こえた。
記録室で座って打ち合わせをしていたのが気に食わなかったのだろうか。
その時は「すみません。」と謝ることしかできなかった。

更に、実習担当の教員から「もしかしてそんなひどい顔で患者さんと話してるの?患者さん不安になるわよ。」と鼻で笑われた。
頭が真っ白になり、何も言い返せなかった。
その変わりに涙が溢れて止まらなくなった。
父の死、慣れない実習、再試に追われる毎日、終わらない記録物……。
張り詰めていた糸がプツンと切れた瞬間だった。

心身共に疲弊している状態で実習へ行くと決めたのは自分だ。
だから、厳しい指導も甘んじて受ける覚悟だった。
しかし、看護に携わる人からこんな心無いことを言われると思わなかった。
親を亡くして悲しんでる18歳にかける言葉がそれなのか?
そう考えると怒りが込み上げてくる。

言葉は刃物。
慎重に選ばないと相手に大きなダメージを与える。
使い方には十分気を付けたい。



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