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好きじゃないことを仕事に出来るほどの忍耐力がなかっただけ、とも言う

気になるハッシュタグがあったので、初めて書いてみることにしました。
職業はパタンナー、東京出身、フリーランサーの田中です。

いろんな方のエピソードを読み漁りたくなるテーマ #この仕事を選んだわけ ですが
せっかくなので自分のことを綴ってみようかと思います。


職業:パタンナー


さて、パタンナーとは。
ざっくり言うと洋服の設計士です。

例えば病院や整体等へ行くと初診票に職業欄がありますが、パタンナーと書いてあっさり話が通じる確率は五分五分(わたし調べ)。

何を担っているかは凡そ下記のとおりです。

デザイナーから絵やイメージ写真や文言での説明を受け、実際の洋服にするための構造を考えつつ、パーツをひとつひとつ設計します。
それを組み立てるとどんな形になるのか確認するために、シーチングと呼ばれる仮の布で一旦組み上げてみて、デザイナーの持つイメージと差異がないかを確認。

問題なさそうであれば、実際の布で作るためにパターンを完成させます。
縫い代(のりしろ的な、組み上げるために必要な余白)を付け、どのような仕様にするのかを書き込んでいきます。

その後実際に縫ってくださる縫製士の方が、全体像を理解するために必要となる'仕様書'と呼ばれる書類も作成します。

以上の作業に付随した、その他の細かい作業もありますが、デザインひとつひとつに対して以上の作業を繰り返し行うことが主な業務の流れです。


記憶を辿ると紆余曲折あった感も


洋服を作ることを仕事にしたいと思ったのは確か14歳近辺。
そもそも幼い頃から絵を描いたりなにかを作ることが好きで、その頃にファッションに興味を持つようになってからは洋服を作ることを仕事にしたいと思ったのでした。

高校を卒業してから、大学へは進まず専門学校へ直行。
当時はデザイナーになる気で入学したように記憶しています。

専門学校は3年制で、2年生の頃から就職したい会社のリサーチが課題に出たり、将来を見据えた準備を始めなければいけませんでした。

が、わたしはいくら就職担当や担任に注意を受けようとも就職活動を一切しませんでした。志望動機を書いてみた記憶もありません。


好きなものに携わりたいのだから、好みじゃない服を作っている会社に就職する意味が分からない


中学・高校の時、むしろそれよりも前からな気もしますが、興味のないことに時間を割くことが出来ない性格だったわたし。
ファッションは好きでも、アパレル大手が作っている服で好ましいものはなく、当時の担任(フランス人)に言わせると私の作風はANN DEMEULEMEESTERRAF SIMONSの間だったそうなので、そりゃ合うところなんて国内アパレルじゃなかなか見つからないでしょうね、という感じ。

入りたいと思えない会社に、嘘をついてでも入社しなくちゃとは思えなかったため、心に素直に従って一切の就職活動をしませんでした。

「好きなものに携わりたくてアパレル業界に足を踏み入れたはずなのに、好きじゃない服を作っている会社に就職するなんて意味が分からない」

当時、担任や友人になぜ就活をしないのかと問われる度に当時のわたしはそう答えていました。
生意気なやつだな、と思われていたはず。

その後、担任(既出、日本人教師陣とはイマイチでしたが担任とは相性が良かった)に紹介してもらったマンションメーカーで、卒制を作りながらインターンとして働いた後そのまま雇って頂き、そちらに3年弱務めました。
ご縁に乗っかって、24歳でフリーランスになった後は衣装製作等も経て今に至ります。

現在35歳ですが、時間を経たことによって理解した自分の特性を思うと
パタンナーを生業にしていることは自然の流れだったなと思います。


得意なこと、ストレスの少なさを追求したら今の仕事に辿り着いた


想像したものや、目の前にある完成されたものがどんな工程で出来上がるのかを無意識に考えてしまう性質です。
例えば外食に行くと、食べながら使われている材料や作り方を分析してしまいがち。
インテリア雑貨等でも、これ自分で作れないかな?と始まり、材料の仕入れ方とかを考えてしまう。

職業としてデザインが出来るほど器用じゃないことを途中で悟ったので、デザイナー職は選びませんでした。好きじゃないものも作らないといけない、雇われデザイナーという職業は自分には不向きすぎるのです。
自分でブランドを作るとしても、所謂ファッションブランドの周期(年2回以上新作を作る流れ)と自分の好みの移り変わりのスピードが合致しないため、レディースファッションブランドをやることも性分に合わないなと悟りました。

デザインを自分でしていないと、変なエゴやこだわりに固執されることもなく、いい具合に割り切れることも仕事とする上で自分に合っているようです。


・デザイナーの考えているものを差異なく、なんなら想像以上の出来で形にすること
・美しいと思えるフォルムの構築
・生活する上での機能性
以上のことを踏まえながら、ひとつの衣服を作り上げる作業はまるでパズル解き。

実際設計していく製図作業も、もはや立体パズルの組み立て作業なので、わたしはひたすらにパズルを解くことを生業にしている感。
(実際、携帯アプリ等でもパズルゲームは大好きです。)


好きなことがはっきりしすぎていて、我慢が苦手な私の特性を活かした職業。それがパタンナーでした。
自然な流れでたどり着いた結果ですが、振り返ってみるとなるようになっているなと思います。


さて、自分のことをつらつらと綴ってみたので
いざ皆さんの #この仕事を選んだわけ を拝読しようと思います。
長々とありがとうございました。

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