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「地球温暖化はウソ?世論動かす“プロ”の暗躍」

原題 The Campaign Against the Climate
製作国 デンマーク
製作年 2020

80年代アメリカではNASAの科学者が温暖化ガスの深刻な影響を訴え、ブッシュ大統領はCO2削減を掲げた。しかし、温暖化に懐疑的な論客が次々とメディアに登場し、批判を繰り広げる。その裏には、CO2削減政策によって損失を被る石油業界によるキャンペーンがあった。懐疑派の立役者たちの生々しい証言でその実態を暴く。

BS世界のドキュメンタリー

ここに登場するのは環境や気候の専門家というより宣伝のプロたち。とにかく相手を言い負かすことに長けている。
現在の地球温暖化をめぐる議論の構図はニコチンは体に害がないとする議論の推移と似通っている。
しかも驚くべきことに、出てくる専門家というのが同じ人物だったりするのだ。

ジェームス・ハンセンの証言をきっかけに世界のリーダーたちが地球温暖化への対策を訴え始めたのは1989年のこと。

しかし、ハンセンの証言より前に石油会社は二酸化炭素の増加が環境にもたらす影響について独自に調査しており、将来深刻な状況をもたらしかねないと認識していたという。
エプソンモービルの1978年の内部調査では温暖化の被害の恐れについて報告がなされた。シェルでも同様に調査が行われており、その影響について報告があがっていた。

環境に優しい技術のためなどの名目でシンクタンクに資金提供を続けてきた企業。
大学側の姿勢にも問題がある。2001年にタバコ業界からの医療分野への献金を受けないと決めたのとは対照的だ。

今年のノーベル物理学賞も、科学の側からの危機感のあらわれかもしれない。

ハンソンの時に世界が動いていたらどうなっていたか。それから20年以上にわたって問題を先延ばしにすることに成功しているのだから、今のところは彼ら”専門家”の勝利といえる。
しかし、この先、環境問題への取り組みが進んだとしても同じような”専門家”は現れ、題材を変えて同じような議論を繰り返していくことになるのだろう。

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