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五味川純平「人間の条件」(3)

 第3部のあらすじ
・ 補充兵として関東軍に入隊。“赤い色のついた”新城1等兵との交流。
・ 同時に召集された補充兵たちのキャラクターが描かれていく。その中心は体力もなく、嫁・舅問題を抱えている要領の極めて悪い小原。その対極の佐々。
・ 内務班における古兵の初年兵いじめ。事実を告げ庇う梶への厳しいビンタ。
・ はがき事件。新城、梶への准尉・軍曹の常軌を逸した体罰。
・ 繰り返される内務班の新兵へのいじめ、暴力と士官たちの不干渉。「星の数より年の数」。我が物顔の古兵たち。
・「約束された土地}への脱走を密かに打ち明ける新城と同調を避ける梶
・ 美千子の隊長宛の手紙。訪問許可。
・ 一夜限りの悲しくも激しい再会。
・「帰ってきてね!」 「何を上げたらいいの!」 「取ってちょうだい!あげるものがなんにもないのよ、なんにも!」
・ 銃の手入れで重大な事故を起こしてしまった小原。初年兵同士の諍い、仲裁する梶。捧げツツ2時間の懲罰に必死で耐えようとして崩れる小原。見かねる梶。
・ 検閲の最終日の行軍。梶が小原の装備などを持って支援しも落後してしまった小原。待っていたものは凄まじい虐め。小原の自殺。
・ 虐めの中心人物吉田上等兵の処罰を要求する梶は、営倉入り後に分哨に派遣される。1等兵に昇進。
・ 野火発生。国境へ走る新城。追う吉田と梶。偶然の衝突で沼地にはまり込んだ吉田。もがく吉田を見捨てるか・・・。
・ 助け出された吉田は死亡。疑惑の目にさらされる梶であったが、病が彼を救う。チフスで入院。

第4部のあらすじ
・ 入院先での丹下一等兵との出会い。新城と同じ体臭を梶は嗅ぎ取る。病院も所詮は階級社会(婦長=軍曹)。徳永看護婦に美千子を重ね合わせる梶。
・ 丹下の原隊復帰。空虚感を感じる梶に転属命令。国境の町。将校官舎当番になるが金銭紛失問題で将校・同夫人・妹と対立。再度の転属。ソ満国境に近い。
・ 赤星上等兵の登場。学友の影山少尉が隊長として赴任、梶と再会。配置された陣地には大砲などなく木製の偽砲が備え付けられている実態。兵士たちの失望。
・ 上等兵になり影山の指示で初年兵の教育係になる。古兵の妬みと、初年兵のミスに乗じた執拗な虐め。正義感の強い鳴戸。
・ 広中軍曹に敬礼をしなかった鳴戸への体罰。班内全員の体前支え罰。他のものへの許しを請う鳴戸が遂に切れる。3人の下士官に襲うとするのを梶が割り込む。3日間の営倉入りを終えた鳴戸。班内の空気の微妙な変化。
・ 影山の好意で100㎞後方の陣地構築派遣の機会があったのを梶は拒否、死ぬ時には死ぬのだ、それならば古兵の中に残される半数の初年兵のために残る決心をする。
・ 衛兵下番を出迎えなかった初年兵。その責任を追及する古兵たちの暴力。殴るだけでなく木銃を使っての暴力に悶絶する梶。帯剣を抜いた梶。1対5.そこへ初年兵たちがなだれ込んでくる。喧嘩両成敗の形で陣地へ派遣される。
・ 梶たちの原隊がソ連軍の奇襲を受けて全員玉砕の報知に動揺する初年兵。後退する梶たちの部隊に3人の原隊の下士官が合流。
・ 砲声を聞きながら美千子に語りかける梶。「戦争のその後に来るものを本当にお前は信じているのだろうか?」
・ 敵を目前にして下士官・古兵の甘味品の勝手な処分。初年兵たちにはごく僅かな量しかないのを見た梶は分配のやり直しを赤星達に要求。梶をビンタする下士官・古兵。迫害された数百日の記憶が瞬間に沸騰した梶は、最後の機会と思い対決。初年兵に銃を構えさせる。赤星以下にこれまでの非を認めることを要求する。小野寺兵長の小声の“認める”の一言。
・ 初年兵への訓示は、①臆病になるな ②決して諦めるな。蛸壺の中で恐怖に震える兵士たち。
・ 投降の夢想にふける梶。ソ連軍に射殺されるリスク、美千子への裏切り、初年兵たちの軽蔑・・・。「行かないでね!」、「帰ってきてね!」思い起こす美千子の声。・・・「梶は、銃をとり、丹念に拭いた。女に心からの言い訳をするように、丹念に。」
・ 翌朝、梶の命令:「小隊分隊、位置につけ」

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