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絵本探求講座第4期第1回を受講して

2023年9月10日から始まった東洋大学文学部国際文化コミュニケーション学科准教授竹内美紀先生の絵本探求講座第4期に入会しました。
第1回を受講し受講動機、目標、今回の講義内容、受講して行動したこと得たことを振り返ってみたいと思います。


1、受講の動機

2021年11月に絵本セラピストの資格を取り大人に絵本を読む活動をしてきましたが、絵本選びに絵本力のなさを痛感していて、もっと絵本のことを知りたい、選書力を高めたいと思っていたところ絵本探求ゼミの存在を知りました。
募集要項に
この講座の目的は、「絵本理論を学び、自分の経験をベースに自分の頭で考え、言語化できるようになる」ことです。問いを立て、講義を聴き、グループディスカッションをして、自分の言葉でアウトプットするという流れです。チーム編成をとり、チームリーダー(FA)のサポートのもとに、仲間と励まし合いながら学んでいく、大学のゼミ方式です。

と書かれてあり、絵本を絵本理論から学ぶだけでなく私の苦手な言語化する事、またアウトプットする事、を一人ではなくチームで行うということに魅力を感じ受講したいと思いました。
 
また、今期のテーマが①「絵本の絵を読み解く」、②「翻訳」であったことも大きな要因です。
大人に絵本を読むとき文字は読みますので絵に注目して聴いてくださいとお願いするのですが、私自身が絵を読み解けていないと感じていましたので絵の文法を学び絵の意味を読み解いていくというテーマに惹かれました。
また、『はなをくんくん』や『しろいうさぎとくろいうさぎ』の英語の原題を見た時に訳文と全く違っていたので絵本の翻訳についても知りたいと思っていました。

2、受講の目標

①   絵本のことを学ぶこと、文献に目を通してみること
②   紹介された絵本を読むこと
③   幅広く活動されているゼミ生のお話を聴くこと
④   アウトプットに必要なツールについて学ぶこと
⑤   アウトプットしてみること
⑥   以上のことを今の活動につなげていくこと
⑦   楽しむこと

3、自己紹介を兼ねた紹介絵本

自己紹介もかねて絵本を紹介しました。
 
『ちいさいおうち』
バージニア・リー・バートン文・絵
石井桃子 訳
岩波書店 
1954年4月15日第1刷発行

8歳の誕生日に叔母からプレゼントされて以来大好きであり大切にしてきた絵本です。同時に『赤毛のアン』もプレゼントされはまりました。
1日の流れ四季の移り変わり周りの環境が変わっていく様子が優しい美しいタッチで描かれ、ちいさいおうちがどうなってしまうのだろうというドキドキとまごのまごのそのまたまごがみつけてくれて再び丘の上に戻ったときの安堵感がいつまでも心に残る絵本です。
ずっと心にあったこの絵本が絵本で何かしたいと思ったきっかけでもありこのゼミを受講する原動力でもあるので紹介しました。

4、参考文献

今回は第4期なので、すでに第1,2,3期で学習された絵本論の参考文献の紹介もありました。
その中で
藤本朝巳『絵本の仕組みを考える』日本エディタースクール出版部、2007
生田美秋、石井光恵、藤本朝巳・編著『ベーシック絵本入門』ミネルヴァ書房、2014
『絵本の力学』ニコラエヴァ・スコット、川端有子他訳、玉川大学出版部、2011
を図書館で借り目次を見ただけで幅広く奥が深く膨大な研究に気が遠くなりそうでした。
『ベーシック絵本入門』は絵本論の基礎と必読の絵本60冊の作品解説が掲載されていて絵本探求には必須と感じたので購入しました。

5、翻訳について

翻訳の講義に使われた絵本がなんと『ちいさいおうち』でした。
実は前の週に開催した絵本の会で大人に読んだのもこの絵本でした。
その時の参加者の感想は一様に’こんなに長かった?‘でした。なぜでしょうね。
一つ印象深かったのは、子どものころ読んで田舎がいいなあと思ったのですか?という質問でした。今は理解できますが子どものころは真っ暗な田舎で育ったので都会がいいなと思っていましたということでした。そこで私は都会暮らしだったからこの絵本が好きになったのかなと思ったりしたのでした。

石井桃子さんの翻訳

1907年生まれで101年を生き抜かれた石井桃子さんの翻訳本を多数読んで育ちました。
そして今も読み継がれています。何故引き付けられるのでしょう。
文字が読めない、人生経験が少ない、物事の捉え方が大人とは異なる子どもが分かるように訳すにはどうすればいいのか。(1)物語を耳で聞き(2)文字も目で見る(3)絵をじっくり見る子どもたちへの翻訳には(1)声に出して読む「音読の声」(2)文字を持たない民族の認識の仕方である「声の文化」(3)テクストの文章の響きである「作品の声」に耳を澄ませるというという3つの「声」の側面があるとのこと。まだ理解ができていませんが原文の声を日本語の声にいかに訳していけるのか、今後この3つの声を探っていきたいと思います。

『ちいさいおうち』がずっと心の中にあったとはいえ、英文と読み比べたことはなかったのでなるほどと思ったところを最初の数ページですが挙げてみました。

Way out in the country →いなかのしずかなところに
This Little House shall never be sold for gold or silver → どんなにたくさんおかねをくれるといわれても、このいえをうることはできないぞ。
She will live to see our great-great-grandchildren’s great-great-grandchildren living in her→わたしたちの まごのまごの そのまた まごのときまで このいえは きっとりっぱにたっているだろう
The Little House was very happy as she sat on the hill and watched the countryside around her→それから ながいあいだ ちいさいおうちは、おかのうえから まわりのけしきを ながめて、しあわせにくらしてきました。
The moon grow from a thin new moon to a full moon, then back again to a thin old moon→お月さまは みかづきから だんだんまるくなって、それから また だんだんほそくなりました。

最初の数ページでも主語の選び方、日本語にない単語の置き換え、live とsat の訳し方、間接話法と直接話法の使い分けなど子どもが聞き取りやすく、美しい日本語に訳されているように思いました。
絵本の翻訳とは文字を単に置き換え意味が分かればいいというのではないことが分かったように思います。

まごのまごの そのまた まごのときまで というフレーズがながいながい時を表していると幼心に思っていました。原文とも比べてみて心にずっと残っている理由を探っていきたいと思います。

参考文献
『絵本翻訳教室へようこそ』灰島かり著、研究社、2005年→2021年新版
『石井桃子の翻訳はなぜ子どもをひきつけるのかー声尾を訳す文体の秘密―』竹内美紀著、ミネルバ書房、2014年

5、講座を受けて

講座のあと実践してみたことです。
①参考文献を探す
②紹介絵本を探す
③所有している絵本のタイトルを原語とくらべてみる
タイトル         原語タイトル
きみがしらないひみつの三人 DER CLUB
ちいさいおうち THE LITTLE HOUSE
せきたんやのくまさん TEDDY BEAR COALMAN
はたらきもののじょさつしゃ けいてぃ KATY AND THE BIG SNOW
ふわふわくんとアルフレッド FUZZY AND ALFRED
こすずめのぼうけん The Sparrow Who Flew Too Far
ちゃぼのバンタム RED BANTAM
あなたがうまれたひ ON THE DAY YOU WERE BORN
ぼちぼちいこか WHAT CAN A HIPPOPOTAMUS BE?
どこへいってた? WHERE HAVE YOU BEEN?
りんごのき O JABLONGE
おおきなかぶ The Turnip-an old Russian tale
さわってごらん!ふしぎなふしぎなまほうの木 Tap the Magic Tree
ねこのピートだいすきなよっつのボタン Pete the Cat and His Four Groovy Buttons
ぼくはびっくりマーク exclamation mark
おじいちゃんのゆめのしま GRANDAD'S ISLAND
どんなにきみがすきだかあててごらん GUESS HOW MUCH I LOVE YOU
わすれられないおくりもの BADGER'S PARTING GIFTS
かぼちゃひこうせんぷっくらこ DEN UNDERBARA PUMPAN
おやすみ、ぼく GOOD NIGHT , ME
ペレのあたらしいふく PELLES NYA KLADER
満月をまって Basket Moon
ルピナスさん Miss Rumphius
かべのむこうになにがある Little Mouse and the Red Wall
ちいさなもみのき THE LITTLE FIR TREE
7ひきのこうさぎ SEVEN LITTELE RABBITS
春のピクニック BRAMBLY HEDGE-SPRING STORY
おつきさんどうしたの SQUAWK TO THE MOON, LITTLE GOOSE
はなをくんくん THE HAPPY DAY
しあわせならてをたたこう IF YOU'RE HAPPY AND YOU KNOW IT<CLAP YOUR HANDS!
ノアの箱舟 THE ARK
きりのなかのはりねずみ A HEDGEHOG LOST IN A FOG
みずたまのたび BON VOYAGE, PETITE GOUTTE
ゆかいなゆうびんやさん THE JOLLY POSTMAN
ゆかいなゆうびんやさんのクリスマス THE JOLLY CHRISTMAS POSTMAN
心をビンにとじこめて The Heart and the Bottle
みらいのえんそく Field Trip to the Moon
まよなかのだいどころ IN THE NIGHT KITCEN
さむがりやのサンタ FATHER CHRISTMAS
三匹のこぶた The Three Piglets
メルローズとクロック えがおをさがしに MELROSE AND CROC:FIND A SMILE
あかいひかり みどりのひかり RED LIGHT, GREEN LIGHT
ふしぎなガーデン THE CURIOUS GARDEN
こたばコレクター THE WORDS COLLECTOR
ずっと ねがいはひとつだけ STAY A Girl, a Dog, a Bucket List
たくさんのドア So Many Days
ちいさなあなたへ Someday
わたしとなかよし I LIKE ME!
そらいろ男爵 LE BARON BLEU
わたしたちのたねまき PLANTING THE WILD GARDEN
しろくまさんはどこ? QUI A VUL'OURS?
おちゃのじかんにきたとら The Tiger who came to tea
庭をつくろう Ein Garten Fur Kinder Der Stadt
はじめたのふゆ HENRIETTA'S FIRST WINTER
わたしたち NOSOTROS
おおきな木 THE GIVING TREE
ほらなにもかもおちてくる All Falling Down
うさぎのおうち HOME FOR BUNNY
ぼくのおじいちゃん O MEU AVO
しろいうさぎとくろいうさぎ THE RABBITS' WEDDING
おやすみなさいフランシス BEDTIME FOR FRANCES
かしこいビル Clever Bill
エマおばあちゃん、山をいく GRANDMA GATEWOOD
ガンピーさんのふなあそび MR GUMPY'S OUTING
はなのすきなうし THE STORY OF FERDINAND
葉っぱのフレディ THE FALL OF FREDDIE THE LEAF
にぐるまひいて OX-CART MAN
はらぺこあおむし THE VERY HUNGRY CATERPILLAR
だいじょうぶだよ、ゾウさん Vieil Eephant
ぼくお月さまとはなしたよ HAPPY BIRTHDAY, MOON
つきのぼうや DRENGEN I MANEN
サムはぜったいわすれません SAM WHO NEVER FORGETS
まりーちゃんとひつじ JEANNE-MARIE COUNTS HER SHEEP
わたしとあそんで PLAY WITH ME
かもさんおとおり MAKE WAY FOR DUCKLINGS
すばらしいとき TIME OF WONDER
じぶんだけのいろ A COLOR OF HIS OWN
つきはかがやく MOON
とんでいったふうせんは the remember balloons
ずーっと ずっと だいすきだよ I'LL ALWAYS LOVE YOU
そのままの訳もあればなるほどという訳もありました。
今後の翻訳本探しの参考にしたいと思います。

④講義を見直す
⑤ZOOMの録画とYOU TUBEアップの勉強会の参加
⑥Noteの勉強会の動画を視聴する
⑦Noteのアカウント作成

参考文献を手に取り、紹介された32冊の絵本のうち、17冊読んだことのない絵本がありましたが数冊は読むことができ、zoomの録画方法とYoutube での編集方法を学び、Noteのアカウントを作り、絵本について考え、文章を作成することができました。
今後ミッキー先生の講座を受講しチームの皆さんやゼミ生の皆さんと交流を深め絵本の世界を楽しみたいと思います。


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