物色される投資ショッピングの希少アイテムと日本市場
日本を訪れる外国人旅行者の中で「必ず行くべき場所」として紹介されるようになっているのがリサイクルショップや中古専門店である。日本で販売される中古品の品質は、世界で最も高いと評判で、海外コレクターの中では聖地化しているショップも少なくない。これは、日本製の中古品に限った話ではなく、欧米ブランドの中古品も、日本では掘り出し物を探すことができる。
たとえば、渋谷にある「Davids clothing(デヴィッズ・クロージング)」は、英国のヴィンテージ古着を専門に扱うショップで、40年以上前に仕立てられたメイド・イン・イングランドのジャケット、コート、シャツなどが多数販売されている。その中でも、1940~90年代に作れたバーバリーのトレンチコートは世界的に人気が高まっており、古着市場での価格が高騰している。
■英国古着の名店紹介(MEN'S NON-NO)
その他にも、渋谷、原宿、高円寺、下北沢などのエリアには高品質な古着を扱うショップが多数あり、ファッションに興味のある外国人旅行者の観光コースとしも紹介されている。外国人が日本でヴィンテージ古着を購入する理由は、円安によって割安で購入できることに加えて、日本の古着は大切に扱われていること、古着特有の破損状況についても、正直で詳しい説明されている「透明性」が評価されている。
もともとは、欧州や米国で販売されていた古着を、日本人バイヤーが現地で買い付けて持ち帰り、丁寧なクリーニングや修理をして付加価値を高めた上で再販する古着ビジネスは日本人が得意とする分野として、欧米でも一目置かれるようになっている。
■22 best vintage stores in Tokyo for bargain second-hand clothes
中古品の中でも、高級ヴィンテージ市場が成長している背景には、SNSで自分のコレクションを披露できる場が広がっていること、ノスタルジー(郷愁)への憧れや回帰があるが、過去の生産数は限定されるため、人気化したアイテムは高騰しやすく。投資目的での購入も増えている。
中古高級品再販サイトの「The RealReal」では、2022年に新規顧客が530万人増加して、トータルの顧客数は2800万人を超した。それら顧客の41%はZ世代とミレニアル世代である。彼らは、有名ブランド品の他にも、ノーブランドの古い婦人服、スカート、時計、ペンダント、婚約指輪なども積極的に購入しており、中古品の中でも「ヴィンテージ」のカテゴリーは、前年比で439%の売上増加となった。
The RealRealでは、これらの消費トレンドを「買い物と投資を兼ねた行動(投資ショッピング)」と分析しており、まだ人気化していないヴィンテージ品を発掘してレトロファッションを楽しんだ後、数ヶ月に転売してプラスのリターンを稼ぐ副業が流行っている。無名のヴィンテージアイテムでも、InstagramやTikTokで影響力のあるインフルエンサーが紹介すると、瞬く間に The RealRealの人気リストにランキングされて、取引値が上昇する現象が起きている。
その対象は、日本で1980~90年代に流行ったDCブランドにも及んでおり、Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)、ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)、コムデギャルソンなどの当時販売された服も、現在の再販価値が上昇してきている。
■The RealReal vintage
これら古いコレクションを発掘、再販する仕事は「ヴィンテージバイヤー」と呼ばれている。成功者の中でも、もともとは趣味が講じて店をオープンさせたところ人気店となっているケースが多く、プロとアマチュア(副業者)との境界線も低くなっている。日本国内には、ヴィンテージとして潜在価値が高い名品が沢山眠っているため、それらを発掘することも有望ビジネスになる。
JNEWS LETTER 2023.11.26
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