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逸材 #10

昨日は、投手・大谷翔平のスタッツを振り返りながら、来季の展望を述べた。

後半は、打者・大谷翔平のスタッツである。

【2021年 スタッツ】
155試合 639打席 46HR 96四球 出塁率 .372 長打率 .592 OPS .965
※代打出場含む
【Yusuge予想 開幕前】
99試合 445打席 31HR 66四球
※代打出場は除外
【Yusuge予想 6/20修正】
148試合 607打席 42HR 90四球 出塁率 .379 長打率 .624 OPS 1.003
※代打出場含む

質(出塁率、長打率、OPS)はともかく、ここまで量(試合数、打席数、本塁打数)を稼ぐとは思わなかった。
個人的に、OPS1.000越えをできなかったのが心残りであるが、それでも圧倒的なパフォーマンスを魅せつけた。
特に、6月のパフォーマンスは言葉にできない。

ここで、スラッガーとして名に恥じない3つの数字を見てみる。

①11.67
これは1本塁打あたりの打数を示しており、MLB全体で2位の数値(1位はFernando Tatis Jr.の11.38)であった。

つまり、この数値が少ないほど少ない打数でホームランを打っていることになる。
ちなみに、打数とは打席数から四球や死球を差し引いたものである。
開幕前に445打席と仮定して、そこから恣意的に30本塁打を達成するためには1本塁打あたりの打数は12と推測したが、質も量も予想を上回る結果となった。

②.335
これはISO(Isolated Power)を示しており、MLB全体でトップの数値を叩き出した(2位はFernando Tatis Jr.の.328)。
ISOとは長打率(塁打数 ÷ 打数)から打率(安打 ÷ 打数)を差し引いた指標である。
安打は単打、二塁打、三塁打、本塁打の4種類があり、単打以外の安打を総称して長打と呼ぶ。
また、単打1、二塁打2、三塁打3、本塁打4でカウントされる。

つまり、打率は単打も本塁打も1としてカウントしているわけだ。
ここで、打者・大谷翔平の2021年シーズンの数値を当てはめてみる。

安打:138(単打58、二塁打26、三塁打8、本塁打46)
打数:537
打率:.257 安打 ÷ 打数 = 138 ÷ 537
長打率:.592 塁打数 ÷ 打数 =(58 x 1 + 26 x 2 + 8 x 3 + 46 x 4)÷ 537
ISO: .335 長打率 - 打率 = .592 - .257

裏を返せば、ISOは単打の要素を除いたものであり、長打率だけでは評価することができないともいえる。
極端な例であるが、100打数40安打ですべて単打の打者Aと100打数10安打ですべて本塁打の打者Bの長打率はともに.400であるが、ISOは.000と.300となる。

【打者A】
打率:.400 安打 ÷ 打数 = 40 ÷ 100
長打率:.400 塁打数 ÷ 打数 =(40 x 1 + 0 x 2 + 0 x 3 + 0 x 4)÷ 100
ISO: .000 長打率 - 打率 = .400 - .400
【打者B】
打率:.100 安打 ÷ 打数 = 10 ÷ 100
長打率:.400 塁打数 ÷ 打数 =(0 x 1 + 0 x 2 + 0 x 3 + 10 x 4)÷ 100
ISO: .300 長打率 - 打率 = .400 - .100

よって、ISOは純粋な長打力を表す指標であることがわかる。

③22.3% / 12.2%
これらはそれぞれBrls / BBE %(フェアゾーンにボールが飛んだ打球のうちバレルゾーンで打った打球の割合)Brls / PA %(100打席中にバレルゾーンで打った打球の割合)を示している。
Brls / BBE %はMLB全体でトップ、Brls / PA %はMLB全体で2位の数値であった。
ちなみに、Fernando Tatis Jr.はそれぞれ21.3%(MLB全体2位)、12.8%(MLB全体トップ)である。

Brls(バレルゾーン)とは、打球速度と打球角度から割り出された指標で、理論上“打球速度157km/h以上、打球角度26〜30°”で打った打球は高い確率で長打になりやすいとされている。

特にBrls / BBE %に関して、Brls78回(MLB全体トップ)であるだけでなく、四球数と三振数もリーグ上位であったことから、フェアゾーンの打球数(打席数から四死球と三振を除いたもの)が打席数の割りに少なく、MLB全体トップの一因となった。
上記で示した1本塁打あたりの打数やISOは、これらの数値を高めることで質を高めることができるといえる。

来シーズン以降ここまで量をこなせるシーズンが果たしてあるのかの懸念はあるが、質に関さら2021年シーズンレベルは期待せずにはいられない。
三振数の多さを指摘する人も少なからずいるが、個人的にはそこはあまり気にしなくてもいいと考える。
すべての打席を見たわけではないが、シーズン終盤のように極端に勝負を避けられる場面が増えたことによって、特にアウトコースのストライクゾーンが他のバッターよりも広くなっていると感じた。
そういう意味では、打者・大谷翔平の圧倒的なパフォーマンスの高さにより自分自身の首を閉めているようにも見えた。

また、来シーズンは選球眼と確実性と長打力を兼ね備えた世界最強打者Mike Trout選手が復帰することから、どのような打順を組むのか注目される。
個人的には、Trout、大谷の一、ニ番コンビが最もフィットする形と考えている。

さて、最もエキサイティングなポストシーズンが明日から幕を開ける。

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