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親の子育て通信簿

子供にも親を評価してもらおう

わが家の双子たちは今年の秋から女子大生になりました。バイトしてお金を稼いだり、車を運転して友達同士でご飯を食べに行ったりと「大人っぽい世界」を楽しんいるようです。
大学生になるタイミングというのは「子供」から「大人」になる過渡期でしょう。そして親にとっても「子育て事業」の一区切として、おおよそ18年間の「子育て」について評価してもらう良い機会だと感じました。そこで、子供が親のパフォーマンスを評価する「親の子育て通信簿」というものを作ってみました。

実際に娘たちにやってもらいました

この通信簿をさっそく印刷して娘たちにやってもらいましたが、まず反応は「よくこんなこと思いつくね~」でした。そして、どうせやるなら母親と父親それぞれ別々に点数をつけたいと要望があったので、1枚のシートに二人分の評価をカラーコード分けてして書いてもらうことになりました。結果は・・・

総合的な結果としては「おおむね良い」という判定をいただけたようで正直ホッとしてます。5段階評価を数値化すると総合評価は5点満点中、妻が4.6ポイントで私が4.57ポイントでした。
ある程度は自信がありましたが(そうじゃないとやりませんよね!)、いくつかの項目では希望より低い点で残念に思ったものもあります。あと、妻の方が評価が高いだろうなというのは予想していましたがやはりその通りでしたが、娘たちは「同じ、同じ・・・」と言ってくれました。他にも通信簿の内容については「どの時期か」とか「パパは仕事をしていたのでその点数は仕方ない」とか、いろいろと事情や状況があってそれらをすべて正しく反映できるフォーマットではない、と冷静なフィードバックをもらいました。逆にそういう風に冷静に考えることが出来る人に育っていることが嬉しく感じました。

私たち夫婦がもっとも重要視している項目

通信簿は全部で15項目あります。夫婦で結果をみましたが、妻はその中でも2項目が最も重要で、それさえ良かったらあとはおまけという反応でした。私も全く同意です。それは以下の2項目で、幸い夫婦ともに満点の5ポイントをいただきました。

  • 親はあなたに対して定期的に愛情を示し、安心感を与えてくれましたか?

  • 家はあなたにとって安心してリラックスできる場所でしたか?親は家庭を安全で快適な場所に保つために努力しましたか?

これは「愛情と安定の提供」と「安全で安心な環境の提供」で特に人格や精神の成長においてとても重要だと感じます。子供たちは外の世界で揉まれて、時には心が折れそうになりながら家に帰ってきます。そんな時「ああ、ここは安心できる」とか「ここなら気が休まる」と感じれる「場所」があることは本当に大切だと思うのです。このような環境は親や保護者が提供すべき最低限のものだと考えます。親の子供に対して果たす責任・義務の最も重要なものだと思うのです。

社会性に関わる項目

子育てを通して親がするべきことで他に重要なのはやはり「社会性を身につけてもらうこと」だと思います。人間はひとりで生きてくことは出来ないし、他者と関わっていく生き物です。人間としての幸福は「他者との関わりや関係性」によって大きく左右されることは周知の事実でしょう。具体的には人に思いやりを持って接することができるか、他者の事情を考慮したりできるか、他者の立場から物事をみることができるか、また同時に自分を大切にしながら他者と関わっていけるか、といったことが大切だと思うのです。通信簿の中で該当する項目には以下のものが含まれるでしょう。

  • 親はあなたの意見や感情を尊重し、決断をする際にあなたの意見を考慮してくれましたか?(子供の意思の尊重)

  • 親はあなたの友達付き合いや社会活動に関して自由に探求させ、適切なアドバイスをしてくれましたか?(社会的交流の促進)

  • 親はあなたの感情を理解し、応答し、常に肯定的な言葉を使ってくれましたか?(感情の理解と肯定)

  • 親はあなたの個人的な価値観や信念を尊重し、自己価値を理解させるために努力しましたか?(価値観の尊重と自立の促進)

  • 親はあなたの話をじっくり聞き、悩みや質問に対して適切な助言やサポートをしてくれましたか?(コミュニケーションの重視)

私たちの成績はおおむね良しでしたが、いくつかの項目ではもう少し頑張っていたらな、と思うものもありました。これらの項目は子供たちにそのように接することで、子供たちが他者に対しても同じように接することを促す目的があります。例えば子供たちの話をじっくり最後まで、遮ることなく聞く姿勢を示すことで、子供たちが友達に対しても同じような態度を自然に持つように期待するといったものです。
これはある程度うまくいったと信じています。なぜなら娘たちは私や妻の話を同じようにしっかり最後まで聞いてくれるからです。おそらく学校の友達やバイト先の同僚にも同じように接しているだろうと想像できるからです。
私は、子育ての方法のひとつは「好ましい行動の模範やモデルを示し、それをまねてもらうこと」だと考えていますが、それはある程度正しかったと感じます。逆に子育ては「粘土細工のように子供を自分好みにカスタマイズすること」と勘違いしているケースをたまに見かけますが、私はそれは違うと感じています。

子供の個の成長に関わる項目

親が子育てで要求されることには「個の成長」もあると思います。精神的に成長し、他者と良好な関係を築くことができ、そして自分の個性を活かしながら自己実現し、最終的には自立して他者や自分の子供を育てる人になる、というのが大きな目標ではないでしょうか。
個の成長に関わる項目は以下が含まれると思います。

  • 親はあなたと共に読書をし、学ぶ楽しさを促進してくれましたか?(教育と学習の促進)

  • 親はあなたに責任を教え、自立心を育てるためのサポートをしてくれましたか?(自立の支援)

  • 親はお小遣いを通じて金銭管理を教え、経済的な意思決定にあなたを巻き込んでくれましたか?(経済教育)

  • 親はあなたの趣味や興味に関してサポートし、新しいことに挑戦する自由を与えてくれましたか?(趣味や興味の尊重)

  • 親はあなたの学校の成績や宿題に積極的に関与し、教育的なサポートをしてくれましたか?(教育への関与)

  • 親はあなたの才能や興味をどのように認識し、それらを伸ばすための支援をしてくれましたか?(才能と興味の育成)

私たちの成績は、娘たちの間でもいくらかバラつきのあるものでした。「個」に関してなので一律でないのは当然だと思います。もう少しきめ細かいサポートを出来たらなと思いますが、現在大学生になったばかりということでまだ挽回できるかもしれないという期待もあります。ここは引き続き頑張って(お金を稼いで)いこうと思います。
才能や適性に関しては意識的に「興味を示したら出来るだけ試させてあげる」という方針はりました。なので娘たちは、ダンス、空手、バレーボール、バレエ、体操、バイオリン、お絵かき&工作、アーチェリーなどを継続的にやったりお試しでやったりしてきました。常に「何かやってみたい?」というオープンな姿勢を持ち、可能であれば「自ら適性かどうか、好きかどうか」を判断する機会を与えるようにしました。この点はもしかしたら「無理にでもピアノを習わせていたら、将来感謝されていた」というような式の個の成長サポートもあったかもしれません。これは我々親にも子育てについては千差万別ということになるでしょうか。

その他、聞かなかった項目

通信簿には含まれていないいくつかの項目があります。それは一般的には解釈がバラバラすぎて、含めるには適切ではないと思えたものもあります。例えば:

  • ゲームを自由にやらせてくれたか

  • 男女の交際を自由にさせてくれたか

  • お金の使い方を自由にさせてくれたか

このような項目があるでしょう。これは親や家庭の価値観によって変わってくるし、正解はひとつではないので評価の対象とは言えないかもしれません。我が家のポリシーに関しては上の3つの項目については「ほぼ100%自由」でした(娘たちに確認は取っていないですが同意してもらえるでしょう)。
ゲームに関しては私自身がすごい時間をゲームに使いますし、家族4人でマインクラフトやマインクラフト・ダンジョンなどを楽しんできました。娘たちはSwitchでスプラトゥーンやマリオやゼルダなどをやりますが、ゲームの時間制限は中学校ぐらいからは一切設けませんでした。ゲーム廃人のようになるリスクもあると思いますが、通信簿にあった他の重要項目さえしっかりしていれば、子供はじきに飽きて普通の使い方になりました。
恋愛やお小遣いの使い方についてもほとんど制約なしでした。ここについても本人にとっての「学びの過程」なので、それを親があれこれ指図して学びの機会を奪ってしまうのは良くないという考えです。ただ、これらについてはやはり親と子供で話し合って、それぞれの家庭でバランスを取りつつ決める性質のものだと思います。

まとめ

「子育て通信簿」を作って実際にやってもらって、思ってたのと違う!という結果もあって私たちにとって学びになりました。通信簿のほとんどの項目で、自分たちが信念として貫いた結果が本人たちにも評価してもらえたので安心しました。
このような通信簿を子供たちにやってもらうことをお勧めします。私たち自身の気づきもそうですが、子供たちにも「親にとっても子育てプロジェクトは初めて」ということ「親も完全・完璧じゃなくて上手にできないこともある」ということを客観的に考えるよいきっかけになると思うのです。そして、子供たちが大人になり「子供を育てる役目」に着いたとき、通信簿で評価したことを思い出して、子育ての指針として使うようになってくれるかもしれません。


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