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騒音のない世界の音楽について語りたい

 こんにちは。柚子瀬です。

 私はひとりインストバンド騒音のない世界の音楽が大好きなんですよね。たいてい「好き」という気持ちは多分に感覚的なものだと思いますし、その理由を言葉にしてしまうと失われてしまうものが少なくないのだと思います。私の騒音のない世界の音楽に対する感情も同じです。好ましいという気持ちが先行していて、そのことに理由なんていらないし、あるいは蛇足なのかもしれない。ただ好ましいと感じた自分の感覚を信じてあげればいい。それでも私は、私が好ましいと感じた気持ちに言葉をみつけてみようと思う。そうすることで初めて気づけることがあるのかもしれない。そんなふうに考えています。

 私はべつに音楽に造詣が深いわけではありません。だから私は、音楽について語るための専門的な言葉は持ち合わせておりません。私が語ることができるのは率直で素直なことだけです。そんなことに価値はあるのだろうか、と思わないわけではないですが、価値があるとかないとかは書き手が決めるだけのことではないですし、書きたいと思ったらなによりもまずは書いてみるのがいいのではないでしょうか。少なくとも私はnoteとはそういう場なのだと考えています。

 さて、前置きは以上です。以下、具体的なタイトルを挙げながら言葉をみつけていきます。

 いちばん初めになにを挙げるのかは迷わないわけにはいかなかったのですが、やはりこれをおいてほかにないだろうと。それがこちら。

 「それゆけワンダーランド」です。なんと魅惑的なタイトルなのでしょう! 「それいけ!アンパンマン」を想起される方が少なくないでしょうが注意してください。「い」ではなく「ゆ」です。なおかつ「!」はありません。気恥ずかしい話なのですが、この音楽に出会えたのは当時大学生だったころにゼミのゼミ長がラインの音楽にこちらを設定していたからなんですね。なんとなく聴いてみたところ、イントロにやられてしまいました。「歌詞のある曲だろう」という偏見があったので、インストだと知ったときは驚きました。リズミカルな旋律、思わず歌詞をつけたくなってしまうような軽やかな曲調──。うっとりしてしまいました。周りに人がいなかったら思わずダンスしてしまうかもしれません(不格好な)。「それゆけワンダーランド」で初めて騒音のない世界の音楽を知ったので、こちらが騒音のない世界のでもっとも聴かれている音楽だということは知る由もありません。

 ふたつ目はこちら。

 「ひとり」です。この音楽には個人的にものすごく思い入れがあるんですよね。大切なものに順番なんてつけたくないけれど、騒音のない世界の音楽のなかでいちばん大切に思っている音楽です。個人的なことですが、昨年進学が決まっていた大学院に体のことがあって進学を断念せざるをえなくなったとき、日々をどう過ごしてゆけばいいのかまったくわからなくてまっくらやみに沈んでいました。どんなに正しい言葉も信じられなかったし、やさしさの価値さえも見失ってしまうような時期でした。そんなときに唯一といってもいい過ぎではないでしょうが、私とともに一緒にいてくれたのがこの「ひとり」です。言葉はいらず、ただこの音楽を流すことがありました。沈黙は言葉よりも雄弁で、私は少しずつ、でも確かに、自分とともにいられるようになっていきました。「自分自身に気づかせてくれる音楽」。今でもそのように考えています。個人的に1:38~1:52が大好きです。

 みっつ目はこちら。

 「雨とネオン」です。騒音のない世界の音楽のなかでおしゃれな音楽といえばなんといってもこちらだなあ、と。私は以前阿佐ヶ谷に住んでいたときがあるのですが、阿佐ヶ谷には「gion」というネオンライトが特徴的な喫茶があるんですね。個人的にこの音楽を聴くと「gion」が想起されます。落ち着いたテンポの音楽で、「それゆけワンダーランド」と同様に、個人的に歌詞をつけたくなってしまいます。あと、動画の概要欄の「彼女は雨の日しか会えない」というのが素敵ですよね。「雨とネオン」は雨の日に聴くと心にするりと入ってきます。

 続いてとくに気に入っている音楽を一気に。

 「電脳都市にて」「平成生まれ」「きらめくウィークエンド」「文明開化」「ぶらり漫遊記」「さんさんドライブ」「ガラスの金魚」「新生活」「ねじ巻きの木」「ウォークウェイズ」の10曲を挙げました。それぞれ「電脳都市にて」「平成生まれ」はアルバム『2019』、「きらめくウィークエンド」は『2021』、「文明開化」「ぶらり漫遊記」「さんさんドライブ」は『2022』、「ガラスの金魚」は『2023』、「新生活」「ねじ巻きの木」は『2011-2016』、「ウォークウェイズ」は『2010-2011』に収録されています。自分の騒音のない世界の気に入っている音楽をみてみると、私がどんな音楽が好きなのかなんだか系統立ててわかってしまうような気がしますね。

 騒音のない世界の音楽について自分のなかにある言葉をみつけてきました。やはり好きなものに理由をつけるのはむずかしいですし、ときには蛇足になるものですね。それでも言葉にすることで初めて自分自身が気づいていないことに気づけることもある。そういうものかなあ、と。いちおう断っておくと、私は騒音のない世界の音楽はどれも気にっています。同じことを話していても誰が話しているかで印象や受け取り方が変わってくるように、私はbecoさんというクリエイターが作られる音楽であればどれも好ましく思うのでしょう。本でもそうですが、「この人が書かれた作品であればなんであろうとまずは読んでみよう」という関係が生まれることは大きな喜びですよね。私なんかはそれは信頼のひとつの形なのだと考えています。


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