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利益はどこに消えた?
そういえば、ちょっと前に「利益は出ているのに、お金が増えていない」という相談がありましたので利益とお金について話してみたいと思います。
まず、大前提として利益=現金増にはなりません(売上のほとんどが現金で即受け取りだったり、利益≒現金増となることもないことはないですが稀です)
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利益はどこに消えた?
では、稼いだはずの利益はどこに消えてしまったのでしょうか。
今回相談のあったケースは比較的シンプルなケースで、ポイントは『売掛金』でした。
利益は【売上ー経費】というシンプルな式で表すことができますが、売上=入金でないというのは現状ほとんどの事業で起こることだと思います。小売業や飲食業などは現金売上も多いですが、クレジットカードやQR決済などキャッシュレス決済が普及したいま、現金売上の比率は少しずつ少なくなっているのではないでしょうか。
この未入金の売上のことを『売掛金』と言います。
つまりどんなに利益が出ても、この売掛金の分現金にはなっていないということになります。今回の相談ケースの場合、利益はおおよそ現金と売掛金に変わっていました。ざっくりとですがこの場合【利益≒現金+売掛金】の式が成り立つ状態です。
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その他のケース
今回のケースの他に、利益と現金のズレを引き起こす要因にはどのようなものがあるでしょうか。
買掛金・未払金
売掛金とは逆のケースです。「売上=入金ではない」と言いましたが、経費=出金でもありません。飲食店でも仕入れを行う際は掛け取引を行うことが一般的ですし、給料も前月分を翌月に支払うことが一般的です。
経費には計上されているが、まだ支払っていないというのは利益以上の現金が残るという冒頭のケースとは逆の現象が起こります。
借入金
もう一つ売掛金や買掛金とも違う大きな影響を及ぼす項目があります。それが借入金です。借入金は借入れた時に現金が増え、返済によって現金が減ります。また、借入金は【利益=売上ー経費】という式のどこにも該当しません。つまり利益とは全く関係のないところで現金が増えたり減ったりするわけです。
コロナ禍によって借入金が増加した企業は多いと思います。そしてその借入金の返済が始まっている企業がほとんどだと思います。この返済金額が「稼いでいるはずが、思った以上に現金が残らない」という状況を生み出します。返済額を加味した稼ぐ必要のある利益を意識した経営が必要になってきます。
設備投資
最後に、大きなところで『設備投資』を上げたいと思います。
固定資産の購入ですね。固定資産については購入した金額が経費になるわけではなく、数年に分けて経費計上を行います。つまり【支出した金額=経費】にならないということになります。
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このように【利益=現金】にならない原因は多く、ほとんどの企業でこのズレは当たり前のように起きています。
売上拡大を目指している時、借入をしたい、返済が予想以上に苦しい、設備投資を検討してる。など、早めに教えていただけると、対策など相談に乗れるのかなと思いますのでぜひ顧問税理士へ相談してみてください。
それではまた!