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【名盤チェック】#3 NUMBER GIRL: SAPPUKEI (2000)

どうも、yuzuramenですよ。

タイトル通り名盤を一つ一つ聴きながらレビューし、自分の中の音楽の価値観を広げていこうという企画です。
音楽のレビューなどまともにしたことも無いので見苦しいかもしれませんが、どうかお付き合いいただけると幸いです。

聴くアルバムの基準ですが、かれこれ5年以上視聴している「み○ミュージック」様のアルバムランキングを参考に、邦・洋楽問わずトップ30辺りに入っているものを適当に選びます。その中でも、僕が今までマニアになったアーティストが好んで聴いていたものを選ぶ傾向にあると思うので、ご了承を。

3回目の今回はNUMBER GIRLの「SAPPUKEI (2000)」でございます。初の邦楽ですね。

いろいろ概要

中尾憲太郎 (Ba), アヒト・イナザワ (Dr), 向井秀徳 (Vo, G), 田淵ひさ子 (G)

福岡市博多区出身で、1997年に(実質)デビューし、2003年に解散した短命なバンドですが、2019年に再結成し2022年まで諸々活動を行うなど、割と最近まで活躍していました。
アルバムは僅か4枚で、そこまで大衆的な音楽をやっていた訳でも売れていた訳でも無いですが、そのあまりに独特なオルタナティヴ・ロックの音楽性から、アジカンや凛として時雨など、後世のバンドに絶大な影響を与えています。

僕がナンバガを知ったきっかけは、ある日突然YouTubeで「サッポOMOIDE IN MY HEAD状態 (解散ライブのアルバム)」に収録されている「OMOIDE~」の動画がおすすめされたことですね。
誰かも分からないのに何となく再生ボタンを押した途端、圧倒的な疾走感で駆け抜けるあの演奏が流れた衝撃はとても言葉では言い表せませんでしたね。単純に曲が格好良すぎて痺れました。一回は見てください。

そこからナンバガにのめり込むようなことはしなかったものの、「TATTOOあり」「鉄風鋭くなって」「NUM-AMI-DABUTZ」等、「OMOIDE~」とは雰囲気が全く違う有名曲をつまみ食いのように聴いていました。

そんなこんななのでナンバガには未だに「向井の癖の強すぎる歌い方と楽譜がこんがらがったレベルのヘンテコギターサウンドに惑わされながら聴くバンド」という意味分からん偏見を持っていたんですが、そんな僕でもアルバムは聴いたことが無かったので、今回は国内外の評価が最も高い、3rdの「SAPPUKEI」に手を伸ばすことに。
果たしてどんな難解なロックが待ち受けているのか?

アルバム全体の感想

出た気持ちは「あれ、想像以上にシンプルな曲構成とギターアンサンブルだな...」でした。

所々和音もへったくれも無いメインコード使ってるせいで乗り切れない曲もありますが、全体的に一貫して「無機質で緊張感のある」ロックで一貫しています。バラードは勿論無ければ、「透明少女」「OMOIDE~」のようにパワーコード中心のクリアな曲も一切無くひたすらに闇を切り裂いているよう(前作もそうかもしれないけど)。
ただ必要以上に曲の構造をこねくり回す訳でもなく、レディへのように方向性の無いアンサンブルを延々と繰り返す間も無く端的に纏めてあるので、退屈せず聴けたのは意外でした。勝手にもっと複雑で厄介なメロディ作ってるバンドだと思ってました、偏見てやっぱり良くないですね。

相変わらず向井のボーカルは賛否分かれそうな唸り声なんですが、やはり哀愁漂う刹那的な歌い方も、疾走感溢れる叫びを多用した曲も、音程の伸びは不安定ですが掴まされるものがあります。ただ意味の分からん文章怒鳴ってるだけで格好良いって天性ですよねもはや。

あれ、もっと変な作品のはずなのに普通の事しか言ってない... 伝えるのって難しいですね...。

曲ごとの感想

素人なので音楽的な事柄は詳しく語れないですが、ここが印象に残った!というような雑な感想を書いていきます。好きな曲にはYouTubeの動画を添付する方式です。

1.BRUTAL NUMBER GIRL
自らの名を冠した珍しい曲ですが、初っ端からアヒトのカウントが入り歪んだバンドサウンドが参上します。歌よりリフ主体の2分程度の短い曲で、アルバムの幕開けとしてこれ上ない役割を果たしています。普通に好き。

2.ZEGEN VS UNDERCOVER
哀愁を誘う素晴らしいアルペジオから一気に疾走し、「バリヤバい」という特徴的なフレーズを叫ぶ。狂気とオシャレさを兼ね備え、向井も珍しく綺麗なメロディを歌い上げている名曲です。

3.SASU-YOU
一体何なのか分からない不穏なコードのリフが間髪入れずに切り込む。Cメロからラスサビまでの一連の流れが特に好きですね。あまり言うことが無い。

4.URBAN GUITAR SAYONARA
なんとピアノのイントロから始まる驚き。ただその後はヘヴィーなギターとドラムが座り込む、ミドルテンポのサウンドが展開。伴奏は明るめの音で構成されているのに不気味な雰囲気で囲まれている、ダーク一辺倒のナンバガとしては結構レアな曲。

5.ABSTRACT TRUTH
メインは左右で流れるギターリフが特徴的なミドルテンポの部分ですが、2番後にいきなり倍のテンポになり、シャウトと共に盛り上がりに拍車がかかります。向井の少しラップぽさがある歌い方も好みです。

6.TATTOOあり
これまた寂しげなギターフレーズと共に、「右肩」「イレズミ」など向井の4連続シャウト。全体的に本作随一のハードロックサウンドで作られていますが、間奏で若干静けさを取り戻すエモい構成は見事。

7.SAPPUKEI
盛り上がりがひと段落し、割と軽めのギターで始まった...と思ったらサビではいつものように激しさに突入していました。これ以上言うこと無いですがやっぱり好きですよ。本作嫌いな曲無いですね。

8.U-REI
本作で一番狂気の部分が出ている曲かと思われます。サビでヘッドバンギングしてれば取り敢えずこの曲は好きになるでしょう。そのくらい勢いが全ての曲。しかしナンバガはやはりCメロ~サビメロの凝り具合が最高ですね、必ず格好いいです。

9.YARUSE NAKIOのBEAT
久々のミドルテンポ。至極単純な短いリフで構成された、気怠い雰囲気の休憩曲... かと思いきや中盤と終盤で再びドラムが激しさを取り戻し一発盛り上がる。割と長尺でも中弛みさせない構成はとても好きです。

10.TRAMPOLINE GIRL
再びハイテンポに突入。まぁ通常運転のナンバガといった感じでしょうか。他の方が好きですね。

11.BRUTAL MAN
本作を締めくくる、コード2つだけで構成された多分今回一シンプルな作品。終わるとしてはもう少しテンション爆上げでも良いかも分かりませんが、後味悪い訳では無いので良いでしょう。

まとめ

コードに特に拘らず、その時の衝撃だけで完成されたような曲が特徴の彼らですが、本作はまさにナンバガの持つ狂気の部分を最大限活かした、一種のコンセプトアルバムだと言えます。「この曲が良い」等というよりは「SAPPIKEI」という大作として捉え、同じ世界観の中で曲調が移りゆく様を楽しむべきでしょう。
僕はTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのように分かり易くテンション高いガレージロックを好むのであまりナンバガは深く聞き込めずにいたんですが、想像以上に結構好きな作風かもしれません。更に好きになれそうです。それでは。

評価: ★★★★☆

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