心理的安全性と匿名性について

「心理的安全性を高めるために、まずは匿名でも意見を集める」みたいなケースをたまに見かけます。

が、自分は正直ほとんどの場合で、これは成り立ないと感じています。

心理的安全性が高い場とは「誰でも意見を言える場」であって、それは誰が意見を言おうと何も不利益がないという信頼関係が構築されている場です。

一方で、「匿名なら意見を言える場」は、実名では言えない理由があることの現れであって、すなわち実名で言えば不利益を生じるかも知れないとみんなが知っている場そのものです。

心理的安全性を高めるには、意見を受け取る側と意見を言う側の意識改革が必要だと思っています。

まずは意見を受け取る側の教育が必須です。意見を受け取っても、意見者に不利益を生じさせないように努めることです。
次に、意見を言う側にも慣れてもらう必要があります。意見をいっても不利益を被ることはないんだという成功体験を積んでもらわなければなりません。その果てに信頼関係の構築があります。

方法論は様々あると思いますが、大枠としてはこのような2ステップが心理的安全性を高めるためのものだと思っています。
そのため、この途中に「匿名でも意見を言う場を用意する」ステップは必要ない、というのが自分の考えです。むしろ、このステップを挟んでしまうと信頼関係を構築する機会がなくなるため、心理的安全性が高まることはないと考えています。

また「匿名で意見をいわないと責任を負わされる」ので「匿名の場もあるべき」と思う人がいます。

自分としてはそもそも「心理的安全性が高い」=「無責任になんでも言って良い」は成り立たないと考えています

匿名であれば、無責任に正当性なくとりあえず不満や不平を言えるかもしれません。が、これは組織にとっても個人にとってもなにも良いものをもたらしません。むしろ不健康とさえ言えます。実名でなければ、その不満につながる背景なども掴めないため、改善しようがないのです。


これまで、「心理的安全性が高める」ために「匿名」を用いることについて、触れてきましたが、全てを「実名」にすべきとは思っていません。

たとえば、ハラスメントなどに対する内部告発などは「匿名」であるべきです。他にも「心理的安全性を測るアンケート」も「匿名」であるべきだと感じています。意見を受け取る側の意識改革がまだ不十分な状態では不利益を被るケースがでたり、アンケートに不正がでてくるからです。

組織においては、基本的には「実名」にしつつも、どういうものを「匿名」にするのかはしっかりと決くと良さそうです。

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