「白蛇伝」について⑴

 皆さま、突然だが蛇はお好きだろうか。私は、触らなくていいなら(鑑賞だけなら)5本の指に入るくらいには好きだ。(猫、犬、蛇、ああでもカワウソもいいなあ、イルカもいいなあ、というわけで、五本)ちなみに6番目はチンアナゴだ。ついでに語らせてもらうと、チンアナゴのチンは珍ではなく狆だ、日本犬の。なぜ狆アナゴというかといえば、狆のように目が大きく見えるためだそうだ。チンアナゴもかわいいが、なぜか五本の指には入らず、6番目になってしまう。それはそれとして。蛇が嫌いでも楽しめる小説がある。それが「白蛇伝」だ。一昨年くらいのNHKの朝ドラ(「なつぞら」)でも取り上げられた(作中では「白蛇姫」)し、覚えている方も多いだろう。また、「日本初の長篇カラーアニメーション映画」としても知られている(いったい「日本初」はどこにかかるのだろう)。そんなわけで、日本でも親しまれているこの作品だが、中国文学由来なのはご存じだろうか。

 蛇が嫌いでも楽しめる小説、と先ほど申し上げたが、ただ一つ、条件がある。それは、バッドエンドが大丈夫なことである。なんだそんなこと、と言われそうだが、私の”ソウルメイト”Sはバッドエンドは嫌いらしいから、バッドエンド嫌いも一定数いるのかもしれない。もっとも、のちのちの「白蛇伝」はハッピーエンドばかりなのであるが。

 さて、さんざん「白蛇伝」がああだ、こうだと言ってきたが、実は「白蛇伝」は流動的で、具体的な定義は決められていない。つまり、「白蛇伝的な物語」があったらそれはもうすでに「白蛇伝」なのである。もっと言うと、蛇が出てこない「白蛇伝」も「白蛇伝」を名乗ってしまえば(そして違和感がなければ)名乗ることができるようで、実際、白蛇が出てこない白蛇伝も存在している。そんな「白蛇伝」だから、「白蛇伝の原型」も、研究者によって異なる。

  今回は、そんなあやふやな「白蛇伝」物語の中から、『警世通言』巻28「白娘子永鎮雷峰塔」を紹介したい。


参考


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