美食エッセー少2

第12回 リヨンのローストチキン

その土地に再び訪れることがあれば、必ずあれだけは食べておきたい、と強く思うもの、絶対的な必須であり、むしろそれがあるからその土地を再訪するのだとすら感じる根強い欲望、そんな思い出深いご馳走がそのひとにどれだけの数あるかが幸福を計るひとつの指標ではないか。

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